5月の雇用統計では雇用者数は250万人増、失業率は13.3%に低下した。新型コロナウイルス対策で停止していた経済活動が一部で再開されたことが、労働市場の改善につながった。業種別では、娯楽・接客業、建設業、教育、ヘルスサービス、小売業で顕著に増加した。一方、政府部門は引き続き大幅な減少となった。
雇用者数は250万人増、予想外の増加
5月の米雇用統計では、非農業部門の雇用者数は前月比250万人増加した。雇用者数は3月に140万人、4月に2070万人、それぞれ減少していた。5月は大幅に増加したものの、雇用者数は2月を13%下回る
3月分は88万1000人減から140万人減へ49万2000人分下方修正、4月分は2050万人減から2070万人減へ15万人分下方修正され、2カ月合計では64万2000人分の下方修正となった。
セクター別では、娯楽・接客業で120万人増加した。3月に74万3000人、4月に750万人、それぞれ減少していた。飲食店での増加が140万人と、非農業部門全体での増加の約半数を占めた。飲食店では、3月と4月の合計で610万人減少していた。対照的に、宿泊業では14万8000人減少し、2月からの累計は110万人減となった。
建設業は46万4000人増となり、4月の99万5000人減のほぼ半分を取り戻した。
教育・ヘルスケアは42万4000人増。4月は260万人減少していた。ヘルスケアは31万2000人増となり、うち歯科医事務が24万5000人増、内科医事務が5万1000人増、その他ヘルスケアで7万3000人増となった。社会支援も7万8000人増加し、このうち子供のデイケアは4万4000人増加した。私的教育も3万3000人増えた。
小売業は36万8000人増加。4月は230万人減少していた。衣料品店で9万5000人、自動車ディーラーで8万5000人増となった。一方電子機器店は9万5000万人減、自動車関連は3万6000人減となった。
平均時給は0.29ドル下落し、29.75ドルとなった。4月は1.35ドル上昇していた。低賃金労働者での雇用が大幅に増加したに集中したことから、平均時給が圧迫された。
失業率は1.4%ポイント低下の13.3%、失業期間は長期化
5月の失業率は1.4%ポイント低下の13.3%、失業者数は210万人減の2100万人となった。ただ、新型コロナの有効とその対策の影響で、2月と比べると失業率は9.8%ポイント上昇、失業者数は1520万人増加した。
失業率は、男性が11.6%、女性が13.9%、10代が29.9%、白人が12.4%、黒人が16.8%、アジア人が15.0%、ヒスパニックが17.6%となり、黒人、アジア人、10代では前月とほぼ同じとなった。
失業者のうち一時解雇が270万人減の1530万人。一時解雇は4月に1620万人増加していた。通常解雇は29万5000人増の230万人だった。失業を期間別で見ると、5週間以下が1040万人減の390万人で、全体の18.5%を占めた。5~14週間が780人増の1480万人となり、全体の70.8%を占めた。27週以上の長期失業者数は22万5000人増の120万人で、全体の5.6%を占めた。
労働参加率は0.6%ポイント上昇の60.8%。4月は2.5%ポイント低下していた。
就業者数は380万人増の1億3720万人、雇用率は1.5%ポイント上昇の52.8%となった。雇用率は4月に8.7%ポイント低下していた。
フルタイムの労働者は220万人増の1億1650万人、パートタイムは160万人増の2070万人。パートの増加が全体の約5分の2を占めた。フルタイムを希望しているが、見つからないなどの理由でパートタイムで働く経済的理由でのパートタイマーは1060万人で、前月とほぼ変わらずとなった。ただし、2月と比べると630万人増加した。
求職活動をしていないことから、労働人口にも失業者にもカウントされない非労働人口は95万4000人減の900万人となった。4月は440万人増加していた。このうち、過去12カ月以内に求職活動をしていたが、最近4週間では活動をしていない周縁労働者は240万人で、前月とほぼ同じとなった。
米4-6月期GDPは40%超下落の可能性、低迷長期化と第2波警戒へ
5月の雇用統計で雇用者数が予想外に増加したことを受けて、市場は企業活動の再開に伴る米景気のV字回復への期待が高まった。5月の小売売上高も過去最大の17.7%増となり、回復への期待に拍車がかかっているもようだ。
とはいえ、4-6月期の景気の落ち込みは依然として深刻となる見通しだ。6月17日時点でのアトランタ連銀のGDPナウは、マイナス45.5%と予想されている。6月上旬には55%近くのマイナスが見込まれていたことから、雇用統計や小売売上高で10%ポイント近く戻してはいるが、悲劇的な数字であることに変わりはない。NY連銀のナウキャストは6月19日時点でマイナス19.03%と比較的高めの予想となっている。ナウキャストでは7-9月期もマイナス1.89%とマイナス成長が続くと予想している。6月FOMCでの経済見通しでは、2020年10-12月期GDPは前年同期比マイナス6.5%と予想されており、V字ではなくL字に近い回復が見込まれているようだ。
6月13日までの週の新規失業保険申請件数は、151万件と前週の157万件から減少したが、減少幅は4月初めに減少に転じて以降で最小となった。エコノミストの予想は129件で、予想ほど減少しなかった。最悪期を脱したことは確かだが、回復の足取りは鈍い可能性を示唆した。
米国ではほとんどの州で5月から経済活動の再開が始まり、5月の経済指標は軒並み上振れた。その一方で、経済活動を比較的早く再開した南西部の州を中心に、新型コロナへの感染確認者数が増加しており、第2波への警戒感も高まっている。
