【4月米雇用統計結果】雇用者数2050万人減、失業率14.7% 戦後最悪

4月の雇用統計では雇用者数の減少、失業率ともに戦後最悪となった。新型コロナウイルス対策で非常事態が宣言され、主要都市での屋内退避命令が相次ぎ、企業活動が全国的に停止したことで、労働市場が急速に悪化したことが示された。

雇用者数は2050万人減、戦後最悪

4月の米雇用統計では、非農業部門の雇用者数は前月比2050万人減少した。減少は統計を遡れる1939年以降で最大となり、雇用者数は20112月以来の低水準となった。

2月分は275000人増から23万人増に4.5万人下方修正され、3月分は70.1万人減から87万人減に16.9万人下方修正された。2カ月合計では21.4万人の下方修正となった。

事業所調査では、12日を含む給与支払い期間で支給を受けた人が、実際にこの期間に働いていなくても雇用者としてカウントされる。企業の約3分の1は週払いで、40%超が隔週、約20%が月2回、月払いはごく少数となっている。

セクター別では、娯楽・接客業で47%に相当する770万人減少し、最も深刻な打撃を受けた。飲食店での減少が550万人とほぼ3分の2を占めた。アート・娯楽・レジャー施設は130万人減、宿泊業は839000人減だった。

教育・ヘルスケアは250万人減少。歯科医事務が503000人、内科医事務が243000人減、その他ヘルスケアで205000減となった。社会支援で651000人減少し、このうち子供のデイケアは336000人減少した。私的教育も457000人減少した。

専門職・企業サービスが210万人減少。派遣サービスで842000人減少した。

小売業は210万人減少。衣料品で74万人減、自動車関連で345000人、雑貨で264000人減、家具で209000人減となった。その一方で、スーパーなどで93000人増えた。

平均時給は1.34ドル増加し、30.01ドルとなった。前月比で4.7%増、前年同月比では7.9%増加した。失業が低賃金労働者に集中したことから、平均時給が増加した。

失業率は10.3%ポイント上昇の14.7%、マイノリティーに打撃

4月の失業率は10.3%ポイント上昇して14.7%となり、198211月と12月の10.8%を上回り、比較可能な統計の残る1948年以降で水準、伸び率共に最大となった。

失業者数は1590万人増の2310万人。失業率の算定に利用される家計調査は、面談と電話により実施されているが、4月は面談での実施を見送った。4月の回答率は70%で、従来より約13%ポイント低下した。

失業率は、男性が13.0%、女性が15.5%、10代が31.9%、白人が14.2%、黒人が16.7%、アジア人が14.5%、ヒスパニックが18.9%となり、黒人を除いて過去最大となった。女性やマイノリティーでより深刻に悪化した。

一時解雇が約10倍増の1810万人、通常解雇は544000人増の200万人だった。失業期間別では、5週間以下が1070万人増の1430万人、514週間が520万人増の700万人だった。一方、27週以上の長期失業者数は225000人減の939000人で、全失業者の4.1%だった。

労働参加率は2.5%ポイント低下の60.2%となり、19731月の60.0%以来の低水準となった。就業者数は2240万人減の13340万人だった。雇用率は8.7%ポイント低下の51.3%で、統計を遡れる19481月以降で最も低い数字となった。

フルタイムの労働者は1500万人減少、パートタイムは740万人減少した。パートタイムは約3分の1を失った。フルタイムを希望しているが、見つからないなどの理由でパートタイムで働く経済的理由でのパートタイマーは約2倍増の1090万人となった。

求職活動をしていないことから、労働人口にも失業者にもカウントされない非労働人口は約2倍の990万人となった。このうち、過去12カ月以内に求職活動をしていたが、最近4週間では活動をしていない周縁労働者は855000人増えて230万人となった。

失業率は実質では20%、広義では30%近くの可能性

家計調査では、すべての人が就業者、失業者、非労働人口のいずれかに分類される。一時解雇された人は、復帰の予定があり、福利厚生が継続されていたとしても失業者として分類される。

4月は一時解雇が急増したが、同様に就業者でありながら仕事を休んだ人も大幅に増加した。雇用統計では、新型コロナ対策での企業活動停止に伴う一時帰休者はすべて失業者とみなされるが、実際には失業者に分類されなかった人が多数いた可能性がある。労働省によると、仕事を休んでいた就業者を一時帰休とみなすと、失業率は約5%ポイント上昇する。

経済的理由でのパートタイマーや職探しをあきらめた人などを含む広義の失業率は22.8%と前月の8.7%から14.1%ポイント上昇した。

仕事を休んでいた人も含めると、実質的な失業率は30%近くに達していた可能性がある。198211月の10.8%を上回り戦後最悪となった。

4-6月期GDP30%超マイナスの可能性、市場は活動再開に期待

米労働市場は大恐慌以来の悪化と経験していることが明らかとなったが、金融市場は4月の雇用統計をポジティブに受け止めた。発表日のダウ平均は1.9%高で取引を終え、10年債利回りも上昇してリスクオンの動きを強めた。

雇用者数の減少が事前予想を下回ったほか、失業者の大半が一時帰休だったことから、市場は早期復帰が見込まれると解釈したようだ。また、米国では企業活動再開に向けた動きが強まっており、既に30州で活動が再開されたか、5月中の再開を予定していることも背景にある。

米政府はコロナ危機とは無関係に20年債債の発行を1986年以来、34年ぶりに再開することを決めていたが、債券市場では当初の見込みを大幅に上回る発行額となることも警戒されてようだ。

CMEのフェドウォッチによると、6月米連邦公開市場委員会(FOMC)では金利の据え置きが100%で見込まれている。すでにゼロ金利となり、米連邦準備制度理事会(FRB)がマイナス金利の導入に消極的なこともあって、雇用統計発表前後で確率に変化はなかった。

1-3月期GDP4.8%減と200810-12月期以来の大幅な落ち込みとなった。4月雇用統計の結果を踏まえて、アトランタ連銀のGDPナウは4-6月期のGDP34.9%減と予想。発表前の17.6%減から大幅に下方修正した。NY連銀のナウキャストは31.2%減と予想した。米議会予算局(CBO)は4月下旬に40%減と予想している。

米国では一部で企業活動の再開が始まっていることから、4-6月期GDPは当初の予想ほど悪化しない可能性もある。とはいえ、戦後最悪の落ち込みとなることはほぼ確実で、7-9月期以降も景気の低迷が継続するリスクは残されている。

52日までの週の失業保険の申請件数は316.9万件と前週の384万件から減少した。600万件超となった3月下旬からは半減したものの、依然として高水準であることに変わりはない。7週間の累計では3300万件となった。