1月の雇用統計では雇用者数が前月比51.7万人増と、19万人程度の増加を見込んでいた市場予想を大幅に上回った。失業率は前月から0.1ポイント低下の3.4%で、3.6%への上昇を見込んでいた市場予想に反して改善した。労働市場が予想以上の堅調さを示したことから、米連邦準備制度理事会(FRB)による利上げ継続見通しが強まり、株式市場は下落した。
雇用者数、1月は51.7万人増 市場予想を大幅に上回る
米労働省が発表した1月の雇用統計によると、非農業部門の雇用者数は前月比51.73万人増加し、19万人程度の増加を見込んでいた市場予想を大きく上回った。また、2022年の月平均(40.1万人増)も上回った。
業種別では、レジャー・ホスピタリティ、専門・技術サービス、ヘルスケアなどで主に増加した。
レジャー・ホスピタリティは12.8万人増。飲食店が9.9万人増と好調を維持。宿泊施設も1.5万人増と増加基調を維持した。レジャー・ホスピタリティは2022年通年では月平均で8.9万人増加していた。レジャー・ホスピタリティでの雇用者数はコロナ禍前の2020年2月の水準を49.5万人(2.9%)下回っている。
専門・技術サービスは8.2万人増。専門・科学・技術サービスが4.1万人増と好調だった。専門・技術サービスは2022年に月平均で6.3万人増加していた。
ヘルスケアは5.85万人増加した。外来診療サービス(3.0万人増)、介護施設(1.7万人増)、病院(1.1万人増)などで増えた。ヘルスケアは2022年通年での月平均が4.7万人増だった。
平均時給は前月比0.10ドル(0.3%)増の33.03ドルだった。前年同月比では4.4%の増加となった。週平均労働時間は34.7時間で前月から0.3時間増加した。
11月分が3.4万人上方修正されて29.0万人増に、12月分は3.7万人上方修正されて26.0万人増となり、2カ月合計では7.1万人の上方修正となった。
1月失業率は3.4%、前月から0.1ポイント低下 予想外に改善
1月の失業率は3.4%と前月から0.1ポイント低下。3.6%への上昇を見込んだ市場予想に反して改善し、約53年ぶりの低水準となった。失業率は3月以降、狭いレンジ内で推移している。失業者数は前月とほぼ変わらずの570万人となった。
グループ別の失業率は、成人男子(3.2%)、成人女子(3.1%)、ティーンエイジャー(10.3%)、白人(3.1%)、黒人(5.4%)、アジア系(2.8%)、ヒスパニック系(4.5%)のいずれのカテゴリーでも前月から大きな変化はなかった。
失業期間が27週以上の長期失業者数は110万人で、前月からほぼ横ばいだった。長期失業者は全体の19.4%を占めている。失業期間が5週未満の短期失業者数は190万人に減少した。
労働参加率は62.4%、雇用率は60.2%で、人口動態の年次改定の影響を除くと前月から横ばいだった。労働参加率、雇用率ともに2022年の序盤とほぼ同じ水準にある。2020年2月の労働参加率は63.3%、雇用率は61.1%で、足もとではいずれもコロナ禍前の水準を下回っている。
フルタイムを希望しているが、見つからないなど経済的理由でのパートタイマーは410万人で前月からほぼ変わらずだった。
求職活動をしていないことから、労働人口にも失業者にもカウントされない非労働人口は前月からほぼ変わらずの530万人となった。このうち、過去12カ月以内に求職活動をしていたが、最近4週間では活動をしていない周縁労働者は140万人で、前月からおおむね横ばいだった。
堅調な雇用統計受け利上げ継続見通し強まる、株式市場は軟調に
1月雇用統計では、予想を上回る堅調な雇用の拡大が確認された。賃金の伸び率は4.4%と前月の4.8%から低下したものの、依然として高水準にあり、市場予想の4.3%も上回った。
また、1月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比6.4%上昇となり、前月の6.5%から減速したが、こちらも市場予想(6.2%)を上回った。FRBが重視する1月の個人消費支出(PCE)価格指数は前年同月比5.4%上昇と、前月の5.3%から伸びを加速。市場予想では5.0%への減速が見込まれていた。
堅調な労働市場を背景に、インフレ率の高止まりに対する警戒感が強まっており、FRB高官からもインフレを懸念する声が相次いでいる。シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループが発表しているフェデラル・ファンドレート(FFレート)先物市場が織り込む金利変更確度を示す「フェドウォッチ」によると、2月27日現在、次回3月22日会合での利上げ確率は0.25ポイントが78%、0.5ポイントが22%となっている。5月会合までに0.5ポイント引き上げが72%、6月会合までに0.75ポイントの引き上げが55%の確率で織り込まれており、市場では0.25ポイントの引き上げをあと3回実施するとの見方が織り込まれつつあるようだ。利上げ継続見通しが嫌気され、雇用統計発表後の株式市場は軟調な展開となっている。
