2月の雇用統計では雇用者数が前月比31.1万人増と、21万人程度の増加を見込んでいた市場予想を大きく上回った。失業率は前月から0.2ポイント上昇の3.6%で、前月比で横ばいを見込んでいた市場予想に反して悪化した。雇用者数の伸びは予想を上回ったものの、失業率の上昇などで労働市場に減速の兆しがうかがえたことから、次回米連邦公開市場委員会(FOMC)での0.5ポイントの利上げ見通しが後退した。
雇用者数、2月は31.1万人増 市場予想を大きく上回る
米労働省が発表した2月の雇用統計によると、非農業部門の雇用者数は前月比31.1万人増加し、21万人程度の増加を見込んでいた市場予想を大きく上回った。ただし、過去6カ月の月平均(34.3万人増)をやや下回った。
業種別では、レジャー・ホスピタリティ、小売業、政府部門、ヘルスケアなどで主に増加した。一方、情報、輸送・倉庫業で減少した。
レジャー・ホスピタリティは10.5万人増となり、過去6カ月の月平均(9.1万人増)とほぼ同じだった。飲食店が7.0万人増と好調を維持。宿泊施設も1.4万人増と増加基調を維持した。レジャー・ホスピタリティでの雇用者数はコロナ禍前の2020年2月の水準を41.0万人(2.4%)下回っている。
小売業は5.0万人増。総合スーパーが3.9万人増加し、けん引役となった。
政府部門は4.6万人増。過去6カ月の月平均(4.4万人増)とほぼ同じだった。地方政府部門が3.7万人増と堅調を維持した。政府部門全体では、コロナ禍前の2020年2月の水準を37.6万人(1.6%)下回っている。
このほか、専門・技術サービスは4.5万人増、ヘルスケアは4.4万人増加した。
一方、情報が2.5万人減、輸送・倉庫業が2.2万人減と低調だった。
平均時給は前月比0.08ドル(0.2%)増の33.09ドルだった。前年同月比では4.6%の増加となった。週平均労働時間は34.5時間で前月から0.1時間減少した。
12月分が2.1万人下方修正されて23.9万人増に、1月分は1.3万人下方修正されて50.4万人増となり、2カ月合計では3.4万人の下方修正となった。
2月失業率は3.6%、前月から0.2ポイント上昇 予想外に悪化
2月の失業率は3.6%と前月から0.2ポイント上昇。3.4%で横ばいを見込んだ市場予想に反して悪化した。失業率は昨年3月以降、狭いレンジ内での推移が続いている。失業者数は前月から小幅に増加し590万人となった。
グループ別の失業率は、 ヒスパニック系が5.3%に上昇。成人男子(3.3%)、成人女子(3.2%)、ティーンエイジャー(11.1%)、白人(3.2%)、黒人(5.7%)、アジア系(3.4%)はいずれも前月から大きな変化はなかった。
失業期間が27週以上の長期失業者数は110万人で、前月からほぼ横ばいだった。長期失業者は全体の17.6%を占めている。失業期間が5週未満の短期失業者数は前月比34.3万人増の230万人となった。
労働参加率は62.5%、雇用率は60.2%で、前月からほぼ横ばいだった。労働参加率、雇用率ともに2022年の序盤とほぼ同じ水準にある。2020年2月の労働参加率は63.3%、雇用率は61.1%で、足もとではいずれもコロナ禍前の水準を下回っている。
フルタイムを希望しているが、見つからないなど経済的理由でのパートタイマーは410万人で前月からほぼ変わらずだった。
求職活動をしていないことから、労働人口にも失業者にもカウントされない非労働人口は前月からほぼ変わらずの510万人となった。このうち、過去12カ月以内に求職活動をしていたが、最近4週間では活動をしていない周縁労働者は140万人で、前月からおおむね横ばいだった。
賃金の伸び鈍化、3月FOMCは0.25%利上げへ
2月雇用統計では、予想を上回る堅調な雇用の拡大が確認された一方で、失業率は予想外の悪化となった。また、賃金の伸び率は4.6%と前月の4.4%から上昇したが、市場予想の4.7%は下回った。このほか、2月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比6.0%上昇と、前月の6.4%から減速し、市場予想と一致した。
賃金の伸び鈍化が示されたことで、インフレ圧力が緩和し、米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げペースが緩やかになるとの見方が広まった。一方、雇用統計が発表された3月10日、米中堅銀行のシリコンバレー銀行の破綻が伝わり、米銀の健全性に対する懸念が強まったことから株式市場は下落した。
シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループが発表しているフェデラル・ファンドレート(FFレート)先物市場が織り込む金利変更確度を示す「フェドウォッチ」によると、3月21日現在、次回3月22日会合での利上げ確率は0.25ポイントが87.1%、据え置きが12.9%となっている。インフレ鈍化の兆しがうかがえることに加え、金融システム不安も台頭していることから、2月雇用統計では引き続き労働市場の堅調さが示されたものの、早期利上げ停止観測が浮上している。
