3月FOMCでは年内の利上げ回数があと2回との数字が示されましたが、ドットチャートをみると数字よりもタカ派的な内容でした。景気見通しが上方修正されたこともあり、利上げペースの加速に対する警戒感が広がったようです。また、景気見通しに対する実際の景気の弱さやイールドカーブのフラット化の動きも心配されているようです。
数字以上にタカ派、適温経済に黄信号
3月FOMCでは事前予想通り、0.25%ポイントの利上げとなり、1.50-1.75%へ引き上げが決定されました。賛成は全会一致で反対者はありませんでした。
FOMCメンバーによる経済見通しによると、2018年末の政策金利は2.1%、2019年末が2.9%となっており、この数字から逆算すると年内にあと2回、来年は3回の利上げが見込まれていることがわかります。これは、12月FOMCでの見通しと比べ、2018年は変わらず、2019年は1回増えたことを意味します。
マーケットでは年内の利上げ回数に変化がなかったことから、当初は安心感が広がりリスクオンとなりましたが、その後は来年の利上げペース加速が警戒されて株価は反落しています。
ドットチャートを見ると、年内にあと2回の利上げを見込む委員が6人、3回が6人と拮抗しており、2回になるか3回になるかは五分五分といえそうです。平均で2回となっているには、年内の利上げの必要はない、すなわちゼロと予想した委員が2人いることが影響していますので、この2人を除いて考えるほうがより現実的といえそうです。
したがって、決定は数字よりもタカ派的となり、適温経済に黄信号が点滅している可能性もありそうです。
成長見通し、失業率ともに上方修正でもマーケットは懐疑的
成長見通しと失業率がともに上方修正されたことも利上げペース加速への警戒感を強めたようです。
2017年の米GDP成長率は2.5%、2018年は2.4%とそれぞれ0.2%ポイント、0.3%ポイントずつ上方修正されました。
また、失業率は2018年が3.8%、2019年が3.6%とそれぞれ0.1%ポイント、0.3%ポイントずつ引き下げられています。
成長の加速と雇用情勢のさらなる改善見通しが示されたことから、利上げスピードも加速するのではないかとの憶測を生んだわけです。
ただし、成長率や失業率が改善したにもかかわらず、物価見通しに変更はありませんでした。PCE物価指数は2018年が1.9%上昇、2019年が2.0%上昇と12月から据え置かれています。
パウエル議長は成長率や失業率の改善でもなぜ物価が上昇しないのかとの質問に「物価目標は常に2%だからだ」とそっけない回答をしています。
年内にあと2回、来年3回の利上げは物価目標2%の達成から逆算されて導かれたものなので、景気が改善しても物価目標に変化がないのはFRBとしては当然なのかのもしれません。
とはいえ、マーケットは強気の経済見通しとタカ派的な金融スタンスには懐疑的であり、その心配が株安に反映されているようです。
また、イールドカーブのフラット化が引き続き注目されており、10年債利回りと2年債利回りのスプレッドは50bps台まで低下し、金融危機以降で最低となっています。
モルガン・スタンレーは年内にイールドカーブが逆ザヤになると予想しており、逆ザヤ 化は景気後退入りのサインと考えられています。
実体経済をみても、GDPナウの3月16日現在の1-3月期GDP見通しは1.8%にとどまっており、強気なFRBの予想とは裏腹に景気減速が示唆されていることも気がかりです。
