IMFが中国に対し、成長目標よりも金融の安定を優先すべきとの提言をまとめています。これまでも債務膨張による高成長の維持に警鐘を鳴らしてきましたが、いよいよ身の丈に合わない成長目標の放棄を本格的に促して始めたようです。ただし、中国政府には届いていないようで、与信が急拡大しています。
IMF、中国は身の丈にあった成長目標を
国際通貨基金(IMF)は12月7日、金融セクター評価プログラム(FSAP)による中国に関するリポートを公表しました。成長目標の追求や雇用喪失回避を目的とした企業支援が、特に地方政府の債務急増につながっていると指摘。成長目標より金融安定を優先すべきだと提言しています。
リポートでは、「地方における大規模な雇用落ち込みを防ぎ、成長目標を達成するという主要目標が金融安定といった他の政策目標と相いれなくなっている」と指摘。「規制当局は金融安定の重要性が成長目標を上回るという考えを強く持つべきだ」と述べています。
また、中国が債務リスク解消に向けた対策をとっているものの、債務急増の抑制には高い成長予想を重要視しない姿勢が必要だとも述べており、暗に身の丈にあった目標設定を促しています。
12月は与信が急拡大、提言もどこ吹く風?
中国の国内総生産(GDP)に対する貸出残高の比率は世界標準からみて非常に高く、特に高利回り投資商品である「理財商品」の拡大が懸念されています。
中国政府は既に理財商品に対する規制を強化しており、一定の成果を上げている模様です。ただし、その影響で金利が上昇するなどの副作用も発生しています。また、社会の安定を優先し、存続が難しい企業にも融資が続けられてるようです。
1-11月期の固定資本投資は前年同期比+7.2%と前月の7.3%から低下。11月の鉱工業生産も前年同月比+6.1%と前月の+6.2%から鈍化しており、生産関連の経済指標は伸び率が鈍化傾向にあります。
また、中国への対内直接投資は2年連続で減少する見通しです。2期目を迎えた習体制は中央政府の指導を強化するとの思惑から、海外企業が投資に二の足を踏んでいるようです。
さらに、11月は生産者物価指数(PPI)や消費者物価指数(CPI)も伸び率が鈍化しており、経済が活気を失っている観も否めないところです。政府目標である環境汚染対策も生産活動を抑制しており、製造業の活動が一段と弱まるのではないかと警戒されています。
ただし、失速ぎみの景気動向を踏まえ、11月の新規融資は1兆1200億元と10月の6632億元からほぼ倍増しています。また、11月のマネーサプライ(M2)も前年比+9.1%と10月の+8.8%から上昇しています。10月は1996年の統計開始以来、最低の伸びとなっていました。
結局のところ、1-11月期の新規融資は12兆9400億元となり、金融規制強化の取り組みにもかかわらず、過去最高だった2016年の12兆6500億元を上回っています。
失速していた銅価格も12月に入って持ち直しており、短期的には中国の生産活動が上向く可能性が高まっているといえそうです。
こうした状況はIMFの提言をまったく無視しており、与信の拡大による景気浮揚によりどこまで成長を維持できるのかが注目されます。
