米景気は堅調な拡大が続いており、株高も手伝って個人消費も好調です。ただ、個人消費の拡大の支えているのが債務の増大であることから、持続性に問題があるとの指摘も出ています。
10月の個人消費支出は精彩を欠く
10月の個人消費支出は前月比0.3%増となり、9月の0.9%増から減速しました。ハリケーンの影響がはく落したことが背景となっています。実質では0.1%増と物足りない数字となりました。個人所得は0.4%増と堅調を維持しましたが、貯蓄率は3.2%と9月の3.0%から上昇しています。9月は2007年12月以来、ほぼ10年ぶりの低水準となっており、過剰消費が懸念されています。
11月米小売売上高は予想外に好調、年末商戦への期待が膨らむ
しかし、11月の米小売売上高は前月比0.8%増加と3カ月連続の増加し、事前予想の0.3%を大幅に上回りました。10月の個人消費が精彩を欠いたことから、減速が懸念されていたほか、年末商戦の行方を占う上でも注目されていましたが、予想を上回る数字となったことで市場には安心感が広がった模様です。
雇用増や株高などで家計の資産が増えているほか、11月の消費者信頼感指数が約17年ぶりの高水準となるなど消費者の景況感も極めてよく、年末商戦は過去の平均を上回るとの期待が膨らんでいます。
10月の消費者信用残高の伸び、GDPや賃金を大きく上回る
ただし、旺盛な消費活動の影で借金が膨らんでいることが警戒されています。10月の消費者信用残高は3兆8022億ドルと、前月から205億ドル増加。年率換算の前月比で6.5%の増加となり、GDPや賃金の伸びを大きく上回っています。
消費者信用残高はローンなどの借り入れによる個人消費の動向を示しており、10月はクレジットカードなど「リボルビング払い」ローンが9.9%、自動車ローンや教育ローンなど「非リボルビング払い」ローンは5.3%それぞれ増えています。
消費を支えているのが債務の増大であることが浮き彫りとなっており、消費拡大の持続性には懐疑的な見方もあるようです。
12月は消費者信頼感が低下、将来への不透明感で
12月のミシガン大消費者信頼感指数は96.8となり、前月から1.7ポイント低下し、事前予想の99.9も下回りました。「現在の景況感」は115.9で2.4ポイント上昇しましたが、「今後の見通し」は84.6と4.3ポイント低下しています。
調査担当者は「消費者は景気改善が続いていると感じている一方で、長期見通しへの懸念が強まった」と指摘。個人消費の先行きにも楽観は禁物といえそうです。
IMF、家計債務の増大に警鐘
IMFは10月に公表した世界金融安定報告で「家計債務の増大は経済成長に短期的な恩恵をもたらす一方で、中期的にはマクロ経済と金融の安定を脅かす」と指摘。GDPに占める家計債務の拡大は成長加速と失業率低下をもたらす一方で、こうしたプラスの影響は3-5年で反転する傾向にあり、銀行危機のリスクを高めると警鐘を鳴らしています。
金融危機以後の家計債務は先進国と新興国の両方で増大しています。IMFの調査によると、先進国ではGDPに対する家計債務の比率が2008年の52%から2016年には63%へと上昇し、新興国でも15%から21%に拡大しています。
