12月のFOMCでは利上げが決定されました。ただし、利上げペースが据え置かれたことで長期金利が低下し、その影響でドル円は円高に振れています。経済見通しでは成長率が上方修正され、失業率も引き下げられましたが、物価見通しは据え置きとなり、かみ合わない内容となっています。
失業率低下でも物価は上がらず、経済見通しに違和感
12月のFOMCでは利上げが決定されましたが、来年の利上げ見通しが据え置かれたことから長期金利が低下し、その影響でドル円は円高となりました。
経済成長の加速により、利上げペースも速まるのではないかと警戒されていましたが、利上げ見通しに変化がなかったことから長期債に買い安心感が広がった模様です。
声明文では特筆すべき変更はありませんでしたが、前回よりも労働市場の強さが強調され、将来的な物価上昇への確信を強めているようです。ただし、物価の見通しそのものは据え置かれています。
シカゴ連銀のエバンス総裁とミネアポリス連銀のカシュカリ総裁が反対票と投じており、FOMC内でも意見が大きく分かれていることが伺えます。
経済見通しでは、2018年のGDP成長率が2.5%と前回9月の2.1%から大きく上方修正されました。2020年まで2.0%超えの成長が見込まれており、長期的に潜在成長率(1.8%)を上回る成長が続くと予想されています。
2018年の失業率は3.9%と前回の4.1%から引き下げられました。長期見通しが4.6%から変更されておらず、長期的な均衡水準から大きく外れた状況がしばらくは続く見通しとなっています。次回の見通しでは長期見通しが下方修正される可能性もありそうです。
失業率の改善が続く一方で、2018年のインフレ率は1.9%と前回から変わらずとなっています。一般に、失業率とインフレ率は逆相関の関係にあると考えられており、失業率が改善するのであれば物価見通しは上方修正されるのが適当となりますが、この辺りはスルーされています。
インフレ見通しに変化がなかったこともあり、2018年の利上げ回数も3回と前回から変化がありませんでした。
インフレ見通しに変化がなく、政策金利だけが引き上げられた影響で、長短金利差が縮小しており、景気後退のサインとして関心が高まっています。この点について、セントルイス連銀のブラード総裁は、2018年末までには逆イールドが発生する可能性があると警告しています。過去の経験則では、逆イールドが発生するとしばらくして景気の後退が訪れています。
おおまかな見通しでは、2018年中に予定通りに3回の利上げが実施され、その影響で逆イールドが発生した場合には、2019年に景気後退に陥る可能性が高いといえそうです。
次回利上げは3月が有力、投票権保持者は様変わり
来年1月からは投票権を持つ地区連銀総裁が入れ替わります。今回反対票を投じたエバンス総裁とカシュカリ総裁を含む4名が投票権を失い、タカ派として知られているクリーブランド連銀のメスター総裁、タカ派的な発言が目立つサンフランシスコ連銀のウィリアムズ総裁らが投票権を得ます。
したがって、2018年の投票権を持つメンバーは現在よりとタカ派となることが見込まれています。
2月にはイエレン総裁が退任し、理事1名分の空白が増えます。現在、理事に指名されているカーネギー・メロン大学のグッドフレンド教授が上院での承認待ちとなっています。また、12月中には10月に辞任したフィッシャー副議長に代わる副議長候補が指名される予定です。加えて、ニューヨーク連銀のダドリー総裁は18年半ばに退任する予定となっています。NY連銀総裁はFOMCで常に投票権を持ちます。
次回の利上げは来年3月のFOMCが予定されていますが、前回のFOMCから参加しているクオールズ副議長(銀行監督担当)を加えて、かなりフレッシュな顔ぶれでの投票となりそうです。
減税が成長を押し上げ、インフレ率はいずれ上昇
2月で退任するイエレン議長にとって記者会見は今回が最後となります。
減税が成長が押し上げるとみており、今回の経済見通しの上方修正には税制改革の影響が反映されていると述べています。ただし、成長が加速し、失業率もさらに低下することが予想される中で、なぜ物価見通しが上昇していないのかについては明確に答えていません。現時点では物価はいずれ上昇するとみており、上昇しない可能性についても注意しているとのスタンスです。
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