11月の米雇用統計はおおむね事前予想に沿った内容となり、大きなサプライズはありませんでした。雇用者数が予想を上回る増加となったことで、景気の現状に対する安心感が広がりましたが、賃金の伸びは予想に届かず、こちらは不安を残す内容となっています。
景気の底堅さを確認も先行きへの不安は払しょくできず
11月の雇用者数は前月比22.8万人増と事前予想の19.5万人を上回り、堅調な景気拡大が続いていることが確認されました。失業率も4.1%と前月から横ばいとなり、17年ぶりの低水準を維持しています。
1-11月の雇用増の月平均は17.4万人増と2016年の18.7万人増からやや減少していますが、人口の増加を吸収するのに必要な雇用の増加は7.5万人から10万人とされていますので、堅調なペースで雇用が拡大していることは間違いなさそうです。
ただし、家計調査での就業者数は5.7万人増にとどまり、失業者数の9.0万人増を下回っています。失業率が横ばいとなったのは職探しをあきらめた人の増加が影響しており、数字ほど内容はよくないのかもしれません。
また、経済的理由でのパートが4.8万人増、経済的理由以外でのパートが9.5万人増と雇用の増加がパート主導となっている可能性がある点も気がかりです。
賃金の伸びは前月比0.2%上昇と事前予想の0.3%を下回りました。前年同月比では2.5%上昇と前月から0.1ポイント改善していますが、昨年12月の2.9%を下回る状況が続いており、賃金は伸び悩みとなっています。
賃金の伸びを上回るペースで債務が増加、消費にも影響か
賃金の低い伸びは、インフレ見通しの低下や利上げペースの鈍化と関連して指摘されることが多いのですが、低インフレや低金利は個人消費にとってはプラス材料であり、成長を後押しする可能性もありますので、受け止め方によっては懸念材料とも言い切れない面があります。
ただし、賃金の伸びが低いからといって借金を膨らませて消費を拡大してもよいわけではありませんので、債務に依存した消費の拡大には自ずと限界があるといえるでしょう。
7-9月期の米家計債務残高は前期比1160億ドル増、前年同期比6050億ドル増の12兆9600億ドルとなり、過去最大を更新しています。ただ、問題は規模ではなくそのペースです。7-9月期は前期比で0.9%、前年同期比で4.9%のペースで増加しており、賃金の伸びを大きく上回っています。
たとえば、米新車販売はハリケーンの影響もあって9月以降は好調さを取り戻していますが、これらは借金を増やして購入しているということです。
ローン遅延率は全体としてはまだ低い水準にとどまっていますが、クレジットカードや自動車ローンでの遅延率が上昇傾向にあり、このまま賃金が伸びずに借金が増え続けた場合には個人消費にも深刻な影響が及ぶ恐れがありそうです。
