12月の米雇用動態調査では求人数の鈍化と採用数の頭打ちが確認されました。1月の雇用統計を受けて、インフレ加速への警戒感が強まっていますが、労働市場には鈍化の兆しもうかがえるほか、労働市場とインフレとの関係もあいまいなことから、労働市場のひっ迫がインフレを加速させるとの判断にはやや慎重になる必要があるのかもしれません。
求人数は減少傾向を維持、採用も2カ月連続減少
12月の米雇用動態調査(JOLTS)によると、求人数は前月比16.7万件減の581.1万件と2カ月ぶりの減少となりました。前月分が9.9万件上方修正されたことから、3カ月連続での減少には至りませんでしたが、求人数は9月の617.7万ピークに緩やかな減少傾向にあります。求人率も9月4.0%から12月は3.8%へと低下しています。
採用を見ても、12月は前月比0.5万件減とわずかながらも2カ月連続で減少しています。ただし、FRBが労働市場の健全性の指標として重視している自発的離職率を見ると、12月は2.2%と前月から0.1%ポイント上昇しており、こちらは明るい材料となっています。
労働市場は堅調でも物価上昇にはつながらない可能性も
1月の米雇用統計では雇用者数が前月比20.0万人増と予想以上に好調な数字となり、労働市場が引き続き堅調であることが確認されました。
とはいえ、広義失業率が2カ月連続で上昇したほか、週労働時間も低下するなど労働市場にはかげりも見え始めています。
こうした中、1月の賃金の伸びは前年比+2.9%と予想を上回る高い伸びとなったことから、市場ではインフレ加速への警戒感が強まり、株価が急落しています。
この点について、セントルイス連銀のブラード総裁は6日、堅調な労働市場が必ずしも物価上昇ペースを速めるとは限らないとの見方を示しています。
同総裁は、労働市場とインフレの間に見られた相関関係が弱まっており、関係がなくなっている可能性さえあると指摘。過去の経験則にとらわれて今後の予想をすることに警鐘を鳴らしています。
求人数の減少や採用数の頭打ちは労働市場がスローダウンしている徴候かもしれません。現時点で労働市場が底堅いことは事実としても、インフレを加速させるほど労働市場がひっ迫しているのかどうかはやや慎重に判断する必要がありそうです。
