トランプ大統領が“相互税”導入を示唆~貿易赤字縮小に本腰、円高リスクも

トランプ政権が保護主義的な貿易政策の動きを加速させています。1月にセーフガードを発動したのに続き、2月には鉄鋼やアルミに対する関税を示唆、また輸入品に対する“相互税”の導入を検討するといった具合です。狙いは貿易赤字の縮小にあり、ドル安志向を強めていることから、円高リスクが高まっているようです。

トランプ政権が“相互税”を検討、世界貿易戦争を警戒へ

トランプ大統領は2月12日、「人々が米国に来て好き勝手に金を盗み、米国人に膨大な関税や税金を課すことを認める一方で、相手国には何も課税しないという状況を続けるわけにはいかない」と述べ、米国製品に関税を課している諸外国に対し“相互税”を導入する考えを示しました。

相互税の詳細は明らかにされていませんが、トランプ大統領は昨年4月、国境調整税は“名称”が好ましくないと指摘し、「相互税と呼べば誰の怒りも買うことはない」と述べていることから、法人税減税の際に検討された国境調整税が念頭にあるようです。

また、「米国は中国、日本、韓国などあまりにも多くの国に対して多額の損を出している。これらの国々は過去25年間好き勝手にしてきたため多少の困難を強いることになる」と指摘していることから、日中韓に対して厳しい見方をしていることがうかがえます。

このほか、米商務省は2月16日、鉄鋼とアルミニウムの輸入を制限するように大統領に提案しています。トランプ大統領は昨年、鉄鋼とアルミの輸入が国家安全保障の脅威になっていないかどうかの調査を商務省に指示していました。

鉄鋼については4月11日、アルミについては4月20日までに決定が下される見通しで、鉄鋼に関しては日本を含むすべての国に対し最低24%、アルミ二ウムは最低7.7%の関税をかけるなど複数の案が提示されています。

また、トランプ政権は1月、太陽光パネルと洗濯機に対し、2002年以来16年ぶりとなるセーフガード(緊急輸入制限)を発令しています。太陽光パネルは中国、洗濯機は韓国を主な対象としています。

こうした動きに対し、中国は鉄鋼などに対して実際に高関税が課せられた場合には報復すると明言しており、米中貿易戦争の勃発を匂わせています。同様に、韓国政府は2月20日、はトランプ政権の課す保護主義的な制裁措置に対し、世界貿易機関(WTO)に提訴したことを発表しており、世界的な貿易戦争への突入のシグナルとして警戒されています。

貿易赤字の削減に意欲、「ドル安」容認で円高リスクも

トランプ政権が保護主義的な貿易政策を加速させている背景には、米貿易赤字の拡大があります。

トランプ大統領は米国内での雇用を奪うとの考えから、貿易赤字の縮小を公約に掲げていますが、就任1年目の2017年は前年から貿易赤字が拡大しており、11月の中間選挙を見据えて公約の実現に着手しているようです。

こうした中、トランプ米大統領は2月21日に議会に提出した大統領経済報告で、貿易赤字の削減に意欲を示したほか、輸出に有利なドル安を容認する姿勢もうかがわせています。

報告では「貿易収支の不均衡を是正する一つの重要な手法は為替相場の調整」と指摘し、ドル安になれば外国製品の価格が上昇して輸入が減り、米国製品は値下がりして輸出が増えるので、貿易収支は均衡に近づくと説明しています。

2017年の国別での米貿易赤字を見ると、日本は中国、メキシコに続く3位となっており、日本への風当たりが強まる公算大と言えるでしょう。

トランプ大統領がドル安誘導を狙い再び為替市場に「口先介入」する可能性が高まっており、円高の流れが強まる恐れがありそうです。