10月の雇用統計では雇用者数が前月比26.1万人増と、20万人程度の増加を見込んでいた市場予想をやや上回った。失業は前月の3.5%から3.7%に上昇。市場予想では前月から横ばいの3.5%が見込まれていた。堅調な雇用拡大が確認された半面で、失業率が悪化するなどまちまちな内容となったことを受けて、株式市場は上昇。市場では今回の結果について、米連邦準備制度理事会(FRB)が次回会合で利上げ幅を縮小する方針に変更を与えるものではないと受け止めた。
雇用者数、10月は26.1万人増 市場予想を上回る
米労働省が発表した10月の雇用統計によると、非農業部門の雇用者数は前月比26.1万人増加し、20万人程度の増加を見込んでいた市場予想を上回った。10月までの月平均は40.7万人増、昨年は56.2万人だった。
業種別では、ヘルスケア、専門・技術サービス、製造業で主に増加した。
ヘルスケアは5.3万人増加した。外来診療サービス(3.1万人増)、介護施設(1.1万人増)、病院(1.1万人増)などで増えた。ヘルスケアは10月までの月平均が4.7万人増となった。21年は月平均で0.9万人増だった。
専門・技術サービスは4.3万人増加した。経営・技術コンサルタント(0.7万人増)、建築・エンジニアリング(0.7万人増)、科学調査・開発サービス(0.5万人増)が引き続き好調だった。10月までの月平均は4.1万人増となった。21年は5.3万人増だった。
製造業は3.2万人増加した。耐久財(2.3万人増)が大半を占めた。10月までは月平均で3.7万人増加した。21年は3.0万人増だった。
平均時給は前月比0.12ドル(0.4%)増の32.58ドルだった。前年同月比では4.7%の増加となり、前月の5.0%から伸び率が鈍化した。週平均労働時間は34.5時間で5カ月連続で横ばいとなった。
8月分が2.3万人下方修正されて29.2万人増に、9月分は5.2万人上方修正されて31.5万人増となり、2カ月合計では2.9万人の上方修正となった。
10月失業率は3.7%、前月から0.2ポイント上昇 予想外に悪化
10月の失業率は3.7%と前月から0.2ポイント上昇し、横ばい(3.5%)を見込んでいた市場予想に反して悪化した。失業者数は30.6万人増の610万人となった。
失業率は、成人女子(3.4%)と白人(3.2%)で上昇した。成人男子(3.3%)、ティーンエイジャー(11.0%)、黒人(5.9%)、アジア系(2.9%)、ヒスパニック系(4.2%)はいずれも前月から大きな変化はなかった。
失業者のうち、通常の失業者は前月とほぼ変わらずの120万人だった。一時解雇者は84.7万人で前月からほぼ変わらずだった。
失業期間が27週以上の長期失業者は120万人で、前月比でおおむね変わらず。長期失業者は全体の19.5%を占めている。
労働参加率は62.2%で前月からほぼ変わらず。雇用率は60.0%で前月から変わらずとなった。労働参加率、雇用率ともに2020年2月の水準を1.2ポイント下回っている。
フルタイムを希望しているが、見つからないなど経済的理由でのパートタイマーは370万人で前月からほぼ変わらずだった。
求職活動をしていないことから、労働人口にも失業者にもカウントされない非労働人口は前月からほぼ変わらずの570万人となった。2020年2月は500万人だった。このうち、過去12カ月以内に求職活動をしていたが、最近4週間では活動をしていない周縁労働者は150万人で、前月からほぼ変わらずとなった。
12月FOMCでは0.5ポイント利上げへ、賃金の伸び鈍化で上げ幅縮小
11月の米連邦公開市場委員会(FOMC)では4会合連続では0.75ポイントの利上げが決定された。パウエルFRB議長は会合後の記者会見で、12月FOMCでの利上げ幅縮小の可能性を示唆。急速な利上げによる景気後退の可能性に配慮した格好となった。
10月雇用統計では、雇用の堅調な拡大が確認された半面で、失業率が上方したほか、賃金の伸びも鈍化した。強弱まちまちな内容となったことを受けて、市場では次回FOMCでの利上げ幅は0.50ポイントに縮小されるとの見方が強まり、株式市場は大幅高で引けた。
シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループが発表しているフェデラル・ファンドレート(FFレート)先物市場が織り込む金利変更確度を示す「フェドウォッチ」によると、11月4日現在、12月会合での0.5ポイントの利上げ確率が61.52%となっている。
