9月の雇用統計では雇用者数が前月比26.3万人増と、25万人程度の増加を見込んでいた市場予想をやや上回った。失業は前月の3.7%から3.5%に低下。市場予想では前月から横ばいの3.7%が見込まれていた。堅調な雇用拡大が確認されたことを受けて、株式市場は下落。市場では、今回の結果は米連邦準備制度理事会(FRB)の積極的な利上げにつながる可能性が高いと受け止められた。
雇用者数、9月は26.3万人増 市場予想をやや上回る
米労働省が発表した9月の雇用統計によると、非農業部門の雇用者数は前月比26.3万人増加し、25万人程度の増加を見込んでいた市場予想をやや上回った。9月までの月平均は42万人増。昨年は56.2万人だった。
業種別では、レジャー・ホスピタリティとヘルスケアで主に増加した。
レジャー・ホスピタリティは8.3万人の増加と、8月までの平均とおおむね一致した。
飲食サービス業が6.0万人増と好調だった。ただし、レジャー・ホスピタリティは2020年2月の水準を110万人(6.7%)下回っている。
ヘルスケアは6.0万人増となり、2020年2月の水準を回復。通院医療サービスと病院がそれぞれ2.8万人ずつ増加した。
専門・ビジネスサービス業は4.6万人増加した。9月までの月平均は7.2万人増と増加基調が続いている。人材派遣サービス(2.7万人増)が好調だった。調査・セキュリティサービス(0.9万人増)や科学調査・開発サービス(0.5万人増)も堅調だった。一方、ビジネス支援サービス(1.2万人減)、法律サービス(0.5万人減)、広告サービス(0.5万人減)が低調となった。
平均時給は前月比0.10ドル(0.3%)増の32.46ドルだった。前年同月比では5.0%増加した。週平均労働時間は34.5時間で4カ月連続で横ばいとなった。
7月分が1.1万人下方修正されて53.7万人増に、8月分は31.5万人増で変わらずとなり、2カ月合計では1.1万人の上方修正となった。
9月失業率は3.5%、前月から0.2ポイント低下 予想外に改善
9月の失業率は3.5%と前月から0.2ポイント低下し、横ばい(3.7%)を見込んでいた市場予想に反して改善した。失業者数は580万人に減少した。
失業率は、ヒスパニック系(3.8%)が低下した。成人男子(3.3%)成人女子(3.1%)、ティーンエイジャー(11.4%)、白人(3.1%)黒人(5.8%)、アジア系(2.5%)ではいずれも前月から大きな変化はなかった。
失業者のうち、通常の失業者は17.3万人減の120万人だった。一時解雇者は75.8万人で、前月とほぼ同じだった。
失業期間が27週以上の長期失業者は110万人で、前月からほぼ横ばいだった。長期失業者は全体の18.5%を占めている。
労働参加率は62.3%で前月からほぼ変わらず。雇用率は60.1%で前月から変わらずとなった。労働参加率、雇用率ともに2020年2月の水準を1.1ポイント下回っている。
フルタイムを希望しているが、見つからないなど経済的理由でのパートタイマーは380万人と前月から30.6万人減少した。
求職活動をしていないことから、労働人口にも失業者にもカウントされない非労働人口は前月からほぼ変わらずの550万人となった。2020年2月は500万人だった。このうち、過去12カ月以内に求職活動をしていたが、最近4週間では活動をしていない周縁労働者は160万人で、前月からほぼ変わらずとなった。
新型コロナの影響で在宅勤務をしている就業者は全体の5.2%で、前月の6.5%から低下した。データの集計が始まった2020年5月は35.5%がコロナの影響で在宅勤務をしていた。
新型コロナの影響で職場が閉鎖となり、まったく仕事をしていないかごく限られた勤務に従事している人は140万人で前月の190万人から減少した。2020年5月は4980万人だった。コロナの影響で仕事が限られた人のうち21.4%には少なくとも給与の一部が支払われ、この割合は前月とほぼ同じだった。
45.2万人が新型コロナの影響で職探しができない状態にあり、数字は8月からほぼ横ばいだった。こうした人たちは職探しをしていないことから失業者にはカウントされていない。
雇用堅調で11月FOMCは0.75ポイント利上げへ
9月の米消費者物価指数(CPI)の伸び率は前年同月比8.2%となり、前月の8.3%からわずかに伸びを鈍化させたものの、市場予想の8.1%までには低下しなかった。変動の激しいエネルギーと食品を除くコア指数は6.6%と前月の6.3%から加速。市場予想と一致した。
一般にインフレ率と失業率はトレードオフの関係にあると考えられているが、特に1990代以降は低インフレと低失業率が並存し、この関係が崩れていた。ただし、コロナ禍からの景気回復過程では、インフレ率と失業率の間のトレードオフの関係が復活しており、最近までは失業率が低下する一方で、インフレ率が上昇していた。足もとでは失業率の上昇とインフレ率の低下が見られている。
失業率の低下とCPIコア指数の上昇を受けて、次回9月の米連邦公開市場委員(FOMC)では0.75ポイントの利上げが織り込まれた。シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループが発表しているフェデラル・ファンドレート(FFレート)先物市場が織り込む金利変更確度を示す「フェドウォッチ」によると、10月14日現在、11月会合での0.75ポイントの利上げ確率が97.2%となっている。
FRBは高インフレはしばらく続くとみており、来年前半が見込まれている利上げピークは4.5~5.0%で、その後しばらくはこの水準で様子をみると予想されている。堅調な雇用統計はFRBの積極的な利上げを後押しすることから株式市場では、現在のマクロ環境下ではマイナス材料と受け止められる傾向にあり、雇用統計が発表された7日の米株式市場は大幅安で取引を終えている。
