【5月米雇用統計】雇用者数は39万人増、失業率は3.6%で横ばい

5月の雇用統計では雇用者数が前月比39万人増と、30万人程度の増加が見込まれていた市場予想を上回った。一方、失業は前月の3.6%から横ばいとなり、3.5%への改善を見込んでいた市場予想には届かなかった。堅調な結果を受けて株式市場は下落。失業率とインフレ率がトレードオフの関係にある旧エコノミーが復活している半面で、失業率の上昇が見られなかったことから、インフレ率が高止まりするとの見方が広まり、急ピッチな利上げ見通しに変化はないと受け止められた。

雇用者数、5月は39万人増 市場予想を上回る

5月の雇用統計では、非農業部門の雇用者数は前月比39万人増となり、市場予想の30万人程度の増加を上回った。水準は新型コロナウイルス流行前の20202月を82.2万人(0.5%)下回っている。

業種別では、レジャー・ホスピタリティ、 専門・ビジネスサービス業、輸送・倉庫業で主に増加した。

レジャー・ホスピタリティでは5月に8.4万人増加した。飲食サービス業が4.6万人増、

宿泊が2.1万人増と好調だった。20202月と比べると130万人(7.9%)減少している。

専門・ビジネスサービス業は7.5万人増加した。会計サービス(1.6万人増)、コンピュータシステム(1.3万人増)、研究開発サービス(0.6万人増)などが好調だった。専門・ビジネスサービス業は202月の水準を82.1万人上回っている。

輸送・倉庫業は4.7万人の増加となり、20202月の水準を70.9万人上回った。5月は倉庫業(1.8万人増)、トラック輸送(1.3万人増)、 航空輸送(0.6万人増)などが好調だった。

平均時給は前月比0.10ドル(0.3%)増の31.95ドルだった。前年同月比では5.2%増加した。週平均労働時間は34.6時間で3カ月連続で同じだった。

3月分が3.0万人下方修正されて39.8万人増に、4月分は0.8万人上方修正されて43.6万人増となり、2カ月合計では2.2万人の下方修正となった。

5月失業率は3.6%、前月から横ばい 予想ほど改善せず

5月の失業率は3.6%と前月から横ばいとなり、市場予想の3.5%には届かなかった。

失業者数はおおむね変わらずの600万人となった。コロナ流行前の20202月は失業率が3.5%、失業者数は570万人だった。

失業率は、アジア系が2.4%に低下した。成人男子(3.4%)、成人女子(3.4%)、ティーンエイジャー(10.4%)、白人(3.2%)、黒人(6.2%)、ヒスパニック系(4.3%)はいずれも前月から大きな変化はなかった。

失業者のうち、通常の失業者は140万人で、前月と同じだった。一時解雇者も前月とほぼ変わらずの81万人で、いずれも20202月とほぼ同じ水準に戻っている。

失業期間が27週以上の長期失業者は140万人で、前月から若干減少した。長期失業者は全体の23.2%を占め、20202月の水準を23.5万人上回っている。

労働参加率は62.3%、雇用率は60.1%でいずれも前月からほぼ変わらずとなった。ともに20202月の水準を1.1ポイント下回っている。

フルタイムを希望しているが、見つからないなどの理由でパートタイムで働く経済的理由でのパートタイマーは430万人で前月から29.5万人増加し、20202月の水準とほぼ同じとなった。

求職活動をしていないことから、労働人口にも失業者にもカウントされない非労働人口は前月からほぼ変わらずの570万人となった。20202月は500万人だった。このうち、過去12カ月以内に求職活動をしていたが、最近4週間では活動をしていない周縁労働者は150万人で、前月からほぼ変わらずとなった。

新型コロナの影響で在宅勤務をしている就業者は全体の7.4%で、前月の7.7%から低下した。新型コロナの影響で職場が閉鎖となり、まったく仕事をしていないかごく限られた勤務に従事している人は180万人で前月からほぼ横ばいとなった。このうち19.9%には少なくとも給与の一部が支払われ、この割合は前月とほぼ同じだった。

45.5万人が新型コロナの影響で職探しができない状態にあり、数字は4月の58.6万人から減少した。こうした人たちは職探しをしていないことから失業者にはカウントされていない。

旧エコノミーはやや足踏み状態、雇用堅調でFRBはタカ派姿勢維持へ

4月の米消費者物価指数(CPI)の伸び率は前年同月比8.3%となり、前月の8.5%から伸びを鈍化した。同じく4月の米個人消費支出(PCE)価格指数は前年同月比6.3%上昇と3月の6.6%から伸び率を縮小した。また、5月の平均時給は前年同月比5.2%増と4月の5.5%増から伸びが鈍化した。賃金の伸びはインフレ率と正の相関があると考えられている。

一般にインフレ率と失業率はトレードオフの関係にあると考えられているが、特に1990代は低インフレと低失業率が並存し、この関係が崩れてニューエコノミーと呼ばれた。

コロナ禍からの景気回復過程では、インフレ率と失業率の間のトレードオフの関係が復活し、最近までは失業率が低下する一方で、インフレ率が上昇していた。足もとでは失業率の低下とインフレ率の上昇が共に止まった格好となっており、今後は失業率の上昇とインフレ率の低下が期待される。

インフレ率は上昇が一服しているものの、7カ月連続で米連邦準備制度理事会(FRB)が目標とする2%には程遠い状況だ。FRB5月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での0.5ポイントの利上げに続き、6月および7月の会合でも0.5ポイントの利上げが見込まれている。堅調な雇用統計は失業率の上昇に伴うインフレ率の低下を見込みずらいことから、FRBによる速いペースでの利上げを後押しするので、株価には逆風となる可能性がある。実際、雇用者数の伸びが予想を上回ったことを受けて、雇用統計発表当日は米主要株価指数が下落した。

シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループが発表しているフェデラル・ファンドレート(FFレート)先物市場が織り込む金利変更確度を示す「フェドウォッチ」によると、64日現在、6月会合での0.5ポイントの利上げ確率が98.2%、6月と7月の会合で合計1.0ポイントの利上げ確率は88.6%、1.25ポイントでは11.3%となっている。