【4月米雇用統計】雇用者数は42.8万人増、失業率は3.6%で横ばい

4月の雇用統計では雇用者数が前月比42.8万人増と、40万人程度の増加が見込まれていた市場予想をやや上回った。一方、失業は前月の3.6%から横ばいとなり、3.5%への改善を見込んでいた市場予想には届かなかった。堅調な結果を受けて株式市場は下落。失業率とインフレ率がトレードオフの関係にある旧ノーマルが復活している中で、インフレ率が高止まりするとの見方が広まり、FRBが利上げを急ぐ姿勢に変化はないと受け止められた。

雇用者数、4月は42.8万人増 市場予想をやや上下回る

4月の雇用統計では、非農業部門の雇用者数は前月比42.8万人増となり、市場予想の40万人程度の増加をやや上回った。水準は新型コロナウイルス流行前の20202月を120万人(0.8%)下回っている。

業種別では、レジャー・ホスピタリティ、製造業、輸送・倉庫業で主に増加した。

レジャー・ホスピタリティでは4月に7.8万人増加した。飲食サービス業が4.4万人増、

宿泊が2.2万人増と好調だった。20202月と比べると140万人(8.5%)減少している。

製造業では5.5万人増加した。耐久財では3.1万人の増加となり、輸送機器(1.4万人増)や機械(0.7万人増)などが好調だった。非耐久財では2.4万人増加した。食品製造(0.8万人)やプラスチック・ゴム製造(0.6万人増)などが堅調だった。製造業は202月の水準を5.6万人(0.4%)下回っている。

輸送・倉庫業は5.4万人の増加となり、20202月の水準を67.4万人上回った。

4月は倉庫業(1.7万人増)、宅配・メッセンジャー(1.5万人増)、トラック輸送(1.3万人増)、 航空輸送(0.4万人増)などが好調だった。20202月と比べると、倉庫業(46.7人増)、宅配・メッセンジャー(25.9万人増)が大きく伸びている。

平均時給は前月比0.10ドル増の31.85ドルだった。前年同月比では5.5%増加した。週平均労働時間は34.6時間で前月と同じだった。

2月分が3.6万人下方修正されて71.4万人増に、3月分は0.3万人下方修正されて42.8万人増となり、2カ月合計では3.9万人の下方修正となった。

4月失業率は3.6%、前月から横ばい 予想ほど改善せず

4月の失業率は3.6%と前月から横ばいとなり、市場予想の3.5%には届かなかった。

失業者数はおおむね変わらずの590万人となった。コロナ流行前の20202月は失業率が3.5%、失業者数は570万人だった。

失業率は、成人男子(3.5%)、成人女子(3.2%)、ティーンエイジャー(10.2%)、白人(3.2%)、黒人(5.9%)、アジア系(3.1%)、ヒスパニック系(4.1%)となり、いずれも前月から大きな変化はなかった。

失業者のうち、通常の失業者は140万人で、前月と同じだった。一時解雇者も前月とほぼ変わらずの85.3万人で、いずれも20202月とほぼ同じ水準に戻っている。

失業期間が27週以上の長期失業者は150万人で、前月とほぼ同じだった。長期失業者は全体の25.2%を占め、20202月の水準を36.2万人上回っている。

労働参加率は62.2%、雇用率は60.0%でいずれも前月からほぼ変わらずとなった。ともに20202月の水準を1.2ポイント下回っている。

フルタイムを希望しているが、見つからないなどの理由でパートタイムで働く経済的理由でのパートタイマーは400万人で前月からほぼ変わらずとなり、20202月の水準35.7万人下回った。

求職活動をしていないことから、労働人口にも失業者にもカウントされない非労働人口は前月からほぼ変わらずの590万人となった。20202月は500万人だった。このうち、過去12カ月以内に求職活動をしていたが、最近4週間では活動をしていない周縁労働者は160万人で、前月から26.2万人増加した。

新型コロナの影響で在宅勤務をしている就業者は全体の7.7%で、前月の10.0%から低下した。新型コロナの影響で職場が閉鎖となり、まったく仕事をしていないかごく限られた勤務に従事している人は170万人で前月の250万人から減少した。このうち19.0%には少なくとも給与の一部が支払われ、この割合は前月とほぼ同じだった。

58.6万人が新型コロナの影響で職探しができない状態にあり、数字は3月の87.4万人から減少した。こうした人たちは職探しをしていないことから失業者にはカウントされていない。

旧ノーマル継続、FRB7月まで3会合連続で0.50%利上げへ

4月の米消費者物価指数(CPI)の伸び率は前年同月比8.3%となり、前月の8.5%から伸びを鈍化した。ただし、市場予想の8.1%ほどには低下しなかった。コロナ禍からの景気回復過程では、インフレ率と失業率の間のトレードオフの関係が復活し、最近までは失業率が低下する一方で、インフレ率が上昇していた。4月は失業率の低下とインフレ率の上昇が共に止まった格好となり、今後は失業率の上昇とインフレ率の低下が期待される。ただし、インフレ率は上昇が一服したものの、6%を上回るのは7カ月連続で米連邦準備制度理事会(FRB)が目標とする2%には程遠い状況だ。

FRB5月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で0.5ポイントの利上げを実施した。利上げは2会合連続で、0.5ポイントの引き上げは2000年以来、22年ぶりとなった。インフレ率は鈍化の兆しを見せているものの、水準は以前として高く、6月および7月の会合でも0.5ポイントの利上げが見込まれている。当面はインフレ退治を優先し、速いペースでの利上げが予想されていることから、米主要株価指数では年初来安値の更新が続いている。

シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループが発表しているフェデラル・ファンドレート(FFレート)先物市場が織り込む金利変更確度を示す「フェドウォッチ」によると、514日現在、6月会合での0.5ポイントの利上げ確率が92.5%、0.75ポイントが7.5%となっている。6月と7月の会合で合計1.0ポイントの利上げ確率は86.7%、1.25ポイントでは7.0%となっている。