1月の雇用統計では雇用者数が前月比46.7万人増と、市場予想の15万人増を大幅に上回った。一方、失業は4.0%に上昇し、市場予想の3.9%よりも悪化した。雇用者数は一部で減少も見込まれていた中で、予想を大幅に上回る堅調さを示し、賃金の伸びも予想を上回ったことを踏まえて、市場では3月米連邦公開市場委員会(FOMC)で0.5%ポイントの利上げ見通しがやや強まった。
雇用者数、1月は46.7万人増 市場予想を大きく下回る
1月の雇用統計では、非農業部門の雇用者数は前月比46.7万人増となり、市場予想の15万人増を大きく上回った。2021年は月平均で55.5万人増加した。雇用者数は2020年4月以降の累計で191万人増加したが、新型コロナウイルス流行前の20年2月を290万人(1.9%)下回っている。
業種別では、レジャー・ホスピタリティ、専門・ビジネスサービス業、小売業、輸送・倉庫業が引き続き伸びた。レジャー・ホスピタリティでは1月に15.1万人増加した。2020年2月と比べると180万人(10.3%)減少している。1月は飲食サービス業が10.8万人増、宿泊業が2.3万人増と好調だった。
専門・ビジネスサービス業は8.6万人増加した。経営・技術コンサルタント(1.6万人増)、
コンピュータシステム(1.5万人増)、建築・エンジニアリング(0.9万人増)、専門・技術サービス(0.7万人増)などが堅調だった。派遣サービスも2.6万人増と好調を維持した。
専門・ビジネスサービス業は20年2月の水準を51.1万人上回っている。派遣サービス(18.5万人増)、システム設計(16.1万人増)、経営・技術コンサルタント(15.1万人増)などがけん引した。
製造業では2.6万人増加した。主に耐久財で増加した。ストライキからの復帰で機械(0.8万人増)も大きく伸びた。製造業は20年2月の水準を21.9万人下回っている。
小売業は6.1万人増加した。総合小売店(2.9万人増)、美容品店(1.1万人増)、スポーツ・趣味・本・音楽店(0.7万人増)、建築・園芸(0.6万人増)などで増えた。小売業は2020年2月の水準を6.1万人上回っている。
輸送・倉庫業は5.4万人の増加となり、2020年2月の水準を54.2万人上回った。1月は宅配・メッセンジャー(2.1万人増)、倉庫業(1.3万人増)、トラック輸送(0.8万人増)、 航空輸送(0.7万人増)などが好調だった。2020年2月と比べると、倉庫業(41万人増)、宅配・メッセンジャー(23.6万人増)が大きく伸びている。
平均時給は前月比0.23ドル増の31.63ドルだった。前年同月比では5.7%増加した。
週平均労働時間は前月から0.2時間減少の34.5時間だった。
年次改定で過去データが遡及改定され、11月分と12月分が合計で70.9万人の上方修正、6月分と7月分が合計で80.7万人下方修正されるなどした結果、2021年通年では21.7万人上方修正された。
1月失業率は4.0%、前月から0.1ポイント上昇 予想よりもやや悪化
1月の失業率は4.0%と前月から0.1ポイント低下し、市場予想の3.9%よりもやや悪化した。失業者数は651万人で、1月分には最新の人口推計が反映されている。コロナ禍前の2020年2月は失業者数が570万人、失業率は3.5%だった。
失業率は、成人男子が3.8%、成人女子が3.6%、ティーンエイジャーは10.9%、白人が3.4%、黒人は6.9%、アジア系は3.6%、ヒスパニック系4.9%だった。
失業期間が27週以上の長期失業者は169万人で、全体の26%を占めた。
労働参加率は62.2%、雇用率は59.5%だった。
フルタイムを希望しているが、見つからないなどの理由でパートタイムで働く経済的理由でのパートタイマーは372万人だった。
失業保険申請件数は23.8万件に減少、FRBは利上げペース加速も
1月29日までの1週間の新規失業保険申請件数は23.8万件と、前週から2.3万件減少し、市場予想(24.5万件)よりも少なかった。
1月22日までの1週間の失業保険継続受給者は162.8万件で、前週から4.4万件減少した。
1月の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、テーパリングを3月に終了すると明言し、金利の引き上げが「近く適切になると考えている」として3月利上げの可能性を示唆した。
また、FOMC後の記者会見でパウエル議長は、利上げ開始後に量的引き締め実施する考えを示したが、時期については今後議論するとして明らかにしなかった。
パウエル議長は利上げペースについて、「現時点では何も決まっていない」と述べた一方で、高インフレと低失業率を踏まえて、経済状況が前回の利上げ局面とは「大きく異なる」と指摘。労働市場の改善や景気回復を損なうことなく金利を引き上げる余地が十分にあるとの見方を示した。
金利先物取引からシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)が算出する「フェドウオッチ」では、堅調な雇用統計を受けて3月FOMCでの0.50%ポイントの利上げ確度は33.7%と、1週間前の8.5%から大幅に上昇した。1カ月前は2.6%だった。一方、3月FOMCでの利上げは100%織り込まれていることから、0.25%ポイントの利上げ確度は雇用統計発表前91.5%から66.3%に低下した。
1月雇用統計は予想を上回る堅調さを示したものの、FRB利上げペースの加速や量的引き締めを後押しする内容となったことから、4日の米株式市場でダウ平均は小幅に下落して取引を終えた。
