11月の雇用統計では雇用者数が前月比26.3万人増と、20万人程度の増加を見込んでいた市場予想をやや上回った。失業は前月から横ばいの3.7%で、市場予想に一致した。堅調な雇用拡大が確認されたほか、賃金の伸びが市場予想を大きく上回ったことからインフレ鈍化への期待が後退。米連邦準備制度理事会(FRB)の将来的な利下げ期待も合わせて後退し、株式市場は総じて軟調となった。
雇用者数、11月は26.3万人増 市場予想を上回る
米労働省が発表した11月の雇用統計によると、非農業部門の雇用者数は前月比26.3万人増加し、20万人程度の増加を見込んでいた市場予想を上回った。10月までの3カ月間平均(28.2万人増)とほぼ一致した。2022年はここまで月平均で39.2万人増加、昨年は56.2万人増加だった。
業種別では、レジャー・ホスピタリティ、ヘルスケア、政府部門が主に増加した。一方、小売業、輸送・倉庫業で減少した。
レジャー・ホスピタリティは8.8万人増加。飲食店が6.2万増と好調だった。レジャー・ホスピタリティは今年ここまで月平均で8.2万人増と、昨年の月19.6万人増とくべると半分以下の伸びとなっている。レジャー・ホスピタリティでの雇用者数は2020年2月の水準を98万人(5.8%)下回っている。
ヘルスケアは4.5万人増加した。外来診療サービス(2.3万人増)、病院(1.1万人増)、介護施設(1.0万人増)などで増えた。ヘルスケアは10月までの月平均が4.7万人増となった。21年は月平均で0.9万人増だった。
専門・技術サービスは4.3万人増加した。経営・技術コンサルタント(0.7万人増)、建築・エンジニアリング(0.7万人増)、科学調査・開発サービス(0.5万人増)が引き続き好調だった。10月までの月平均は4.1万人増となった。21年は5.3万人増だった。
政府部門は4.2万人増加した。主に地方政府(3.2万人増)で増えた。政府部門は今年ここまで月平均で2.5万人増加した。昨年は月3.8万人増だった。政府部門の雇用者数は2020年2月の水準を46.1万人(2.0%)下回っている。
一方、小売業では3万人、輸送・倉庫業では1.5万人ぞれぞれ減少した。
平均時給は前月比0.18ドル(0.6%)増の32.82ドルだった。前年同月比では5.1%の増加となった。週平均労働時間は34.4時間で前月から0.1時間減少した。
9月分が4.6万人下方修正されて26.9万人増に、10月分は2.3万人上方修正されて28.4万人増となり、2カ月合計では2.3万人の下方修正となった。
11月失業率は3.7%、前月から横ばい 予想%と一致
11月の失業率は3.7%と前月から横ばいとなり、市場予想に一致した。失業率は3月以降、3.5~3.7%の狭いレンジ内で推移している。失業者数はほぼ変わらずの600万人だった。
失業率は、成人男子(3.4%)、成人女子(3.3%)、ティーンエイジャー(11.3%)、白人(3.2%)、黒人(5.7%)、アジア系(2.7%)、ヒスパニック系(3.9%)のいずれも前月から大きな変化はなかった。
失業者のうち、通常の失業者は前月比12.7万人増の144万人だった。一時解雇者は80.3万人で前月からほぼ変わらずとなった。
失業期間が27週以上の長期失業者は120万人で、前月比でおおむね変わらず。長期失業者は全体の20.6%を占めている。
労働参加率は62.1%、雇用率は59.9%で共に前月からほぼ変わらずとなった。労働参加率、雇用率ともに2020年2月の水準を1.3ポイント下回っている。
フルタイムを希望しているが、見つからないなど経済的理由でのパートタイマーは370万人で前月からほぼ変わらずだった。
求職活動をしていないことから、労働人口にも失業者にもカウントされない非労働人口は前月からほぼ変わらずの560万人となった。2020年2月は500万人だった。このうち、過去12カ月以内に求職活動をしていたが、最近4週間では活動をしていない周縁労働者は150万人で、前月からほぼ変わらずとなった。
12月FOMCは0.5ポイントに上げ幅縮小、ターミナルレートの持続性に注目
11月雇用統計では、堅調な雇用の拡大が確認されたほか、賃金も高い伸びを維持。堅調な雇用拡大によりインフレ率が高止まりする可能性が警戒されて、株式市場は総じてネガティブな反応を示した。次回FOMCでの利上げ幅は0.50ポイントに縮小される見通しだが、ターミナルレートがどの程度長期的に維持されるのかが注目されている。
シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループが発表しているフェデラル・ファンドレート(FFレート)先物市場が織り込む金利変更確度を示す「フェドウォッチ」によると、12月13日現在、12月会合での0.5ポイントの利上げ確率は83%となっている。
