8月の米雇用統計では雇用者数の伸びが予想に届きませんでした。全般的に見てもさえない数字が並んだことから、景気の先行きに対する警戒感を強める必要がありそうです。
雇用者数は15.6万人増、予想に届かず
8月の雇用者数は15.6万人増と事前予想の18万人増を下回りました。7月までの2カ月分も4.1万人分の下方修正となっており、やや期待はずれの数字となっています。
とはいえ、過去3カ月の平均値は18.5万人増と2016年通年での平均値18.7万人増とほぼ同じ水準となっており、雇用者数は昨年来の増勢を維持しています。
また、人口の増加を吸収のに必要な雇用の増加は7.5万人から10万人と考えられていますが、8月の結果はこの水準を上回っています。
賃金の伸びは横ばい、高齢化が賃金を抑制?
8月の米雇用統計では時間当たり賃金の伸びが前年同月比2.5%上昇と4カ月連続で横ばいとなりました。
米連邦準備理事会(FRB)が目標とする2%の物価上昇を達成すためには、3.0%から3.5%の賃金の伸びが必要と考えられていますので、賃金の低い伸びがFRBに利上げを思いとどまらせる可能性もありそうです。
賃金の伸びが鈍い背景には高齢化も関係がありそうです。
ニューヨーク連銀の調査によると、新たな職に就く際の受け入れ最低年収は7月時点で5万7960ドルとなり、3月の5万9660ドルから低下しました。低下は昨年11月から続いており、高齢者ほどその傾向が高いとしています。
また、今後4カ月間で提示される予想年収額は5万0790ドルと3月の5万4590ドルから7%も低下しています。
高齢化に伴い就労者に占める高齢者の割合が増加していますが、高齢者は転職の際に以前よりも低い賃金を受けて入れる傾向にあり、この傾向は今後とも続く見通しです。
フルタイムの減少が加速、パートも2カ月連続で増加
8月の米雇用統計では、フルタイムでの就業者数が2カ月連続で減少し、減少幅は7月の5.4万人から8月は16.6万人へと拡大しています。
フルタイムの就業者は4月をピークに減少傾向にあり、過去2回の景気後退ではフルタイムの就業者数のピークと景気の山がほぼ一致していることから、景気後退の兆しとして警戒感を強める必要がありそうです。
一方、パートタイムの就業者数は2カ月連続で増加しており、雇用が増えてもパートのみが増えてことが賃金の伸び悩みにつながっているのかもしれません。
雇用の増勢鈍化と賃金の低い伸びへの警戒が続く
8月の雇用統計の結果は景気そのものの減速を懸念するほど弱い数字ではありませんが、増勢が鈍化していることから雲行きは怪しくなっています。
また、フルタイムが減少し、パートが増加しており、高齢化の影響も手伝って賃金の伸びが低いことも気がかりです。
米景気の拡大は既に9年目に突入しており、雇用の拡大もいつ限界が訪れてもおかしくはありませんので、先行きに対する警戒を強める必要があるのかもしれません。
