【11月米雇用統計】雇用者数は21万人増、失業率は4.2%に低下

11月の雇用統計では雇用者数が前月比21万人増と、市場予想の53.7万人を大幅に下回った。一方、失業は4.2%に低下し、市場予想の4.5%よりも大幅な改善となった。成長鈍化見通しやテーパリング加速観測など株式市場では逆風が強まっている中、失業率の低下や労働参加率の上昇などが下支え材料となった。

雇用者数、11月は21万人増 市場予想を大きく下回る

11月の雇用統計では、非農業部門の雇用者数は前月比21万人増となり、市場予想の53.7万人を大きく下回った。雇用者数は昨年4月以降の累計で1850万人増加したが、新型コロナウイルス流行前の昨年2月を390万人(2.6%)下回っている。

業種別では、専門・ビジネスサービス業、輸送・倉庫業、建設業、製造業で増加した。一方、小売業では減少した。

専門・ビジネスサービス業は9万人増加した。廃棄物処理サービス(4.2万人増)で大きく伸びた一方で、派遣サービス(0.6万人増)は小幅な伸びにとどまった。経営コンサルタント(1.2万人増)、コンピュータシステム(1.0万人増)も引き続き好調だった。専門・ビジネスサービス業は昨年2月の水準を6.9万人下回っている。

輸送・倉庫業は5.0万人の増加となった。配送・配達(2.7万人増)、倉庫業(0.9万人増)などで増えた。輸送・倉庫業での雇用者数は昨年2月の水準を21.0万人上回っている。

建設業は3.1万人増加と、過去2カ月とほぼ同じ伸びを維持した。建設業は昨年2月の水準を11.5万人下回っている。

製造業では3.1万人増加した。耐久財で1.0万人、金属加工で0.8万人それぞれ増加した。

一方、自動車・部品(1.0万人減)で減少した。ストライキの影響で機械も0.6万人減となった。製造業は昨年2月の水準を25.3万人下回っている。

金融業は1.3万人増と好調を維持した。金融業での雇用者数は昨年2月の水準を3.0万人上回った。

小売業は2.0万人減少した。スーパー(2.0万人減)、衣料品・アクセサリー(1.8万人減)、スポーツ・趣味・本・音楽(0.9万人減)なで減少した。一方、食料品(0.9万人増)では増加した。小売業での雇用者数は昨年2月を17.6万人下回っている。

平均時給は31.03ドルと前月比0.08ドル増加した。前年同月比では4.9%増加した。

週平均労働時間は0.1時間増の34.8時間となった。

9月分が6.7万人上方修正され37.9万人増、10月分は1.5万人上方修正されて54.6万人増となり、2カ月合計では8.2万人の上方修正となった。

11月失業率は4.2%、前月から0.4ポイント低下 予想上回る改善

11月の失業率は4.2%と前月から0.4ポイント低下し、市場予想の4.5%よりも大幅な改善と示した。失業者数は54.2人減の690万人となった。ただし、コロナ流行前の昨年2月は失業率が3.5%、失業者数は570万人だった。

失業率は、成人男子が4.0%、成人女子が4.0%、白人が3.7%、黒人が6.7%、ヒスパニック系が5.2%にそれぞれ低下した。ティーンエイジャー(11.2%)とアジア系(3.8%)は前月から大きな変化はなかった。

失業者のうち、通常の失業者は前月比20.5万人減の190万人で、昨年2月を62.3万人上回った。一時解雇者は前月比25.5万人減の80.1万人だった。昨年4月のピーク1800万人から大きく減少しているものの、昨年2月の75万人を上回っている。

失業期間が27週以上の長期失業者は220万人で、前月からおおむね横ばいだった。長期失業者は昨年2月の水準を110万人上回り、全体の32.1%を占めた。

労働参加率は61.8%に上昇した。11月は昨年2月を1.5ポイント下回った。雇用率は前月比0.4ポイント上昇の59.2%だった。昨年4月のボトム51.3%から持ち直しているものの、昨年2月の61.1%を依然として下回っている。

フルタイムを希望しているが、見つからないなどの理由でパートタイムで働く経済的理由でのパートタイマーは前月からほぼ横ばいの430万人で、昨年2月とおおむね同水準だった。

求職活動をしていないことから、労働人口にも失業者にもカウントされない非労働人口は590万人と前月からほぼ横ばいとなり、昨年2月を84.9万人を上回った。このうち、過去12カ月以内に求職活動をしていたが、最近4週間では活動をしていない周縁労働者は160万人で、前月とほぼ同じだった。

新型コロナの影響で在宅勤務をしている就業者は全体の11.3%となり、前月から0.3%ポイント低下した。

新型コロナの影響で職場が閉鎖となり、まったく仕事をしていないかごく限られた勤務に従事している人は360万人で前月の380万人からほぼ横ばいとなった。このうち15.8%には少なくとも給与の一部が支払われ、この割合は前月からおおむね変わらずとなった。

120万人が新型コロナの影響で職探しができない状態にあり、数字は10月からほぼ横ばいだった。こうした人たちは職探しをしていないことから失業者にはカウントされていない。

失業保険申請件数は22.2万件に増加、FRBはテーパリング加速へ

1127日までの1週間の新規失業保険申請件数は22.2万件と、前週から2.8万件増加した。1969年以降で最少となった前週からは増加したものの、市場予想の24万件は下回った。

失業保険の継続受給者は1120日までの1週間で195.6万件となり、前週から10.7万件減少して20203月中旬以来の低水準となった。

米疾病対策センター(CDC)によると、126日時点で米国内に配布された新型コロナワクチンは58000万本で、47200万本が投与された。人口の60%が接種を完了し、71.1%が少なくとも1回の投与を受けた。65歳以上では86.6%が接種を完了し、99.9%が少なくとも1回の投与を受けている。18歳以上では71.5%が接種を完了し、83.5%が少なくとも1回の投与を受けた。

フィラデルフィア連銀の最新の経済予測調査(1115日公表)によると、10-12月期の米GDPは前期比年率4.6%増を予想され、前回(8月)の見通しから0.6ポイント低下した。20221-3月期の予想は3.9%で、こちらも0.6ポイントの低下となった。一方、インフレ見通しは10-12月期が4.6%と前回の2.6%から2.0ポイント上昇した。1-3月期は2.2%から3.0%に上昇した。

パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)は1130日に開かれた上院銀行委員会で、121415日に予定されている次回米連邦公開市場委員会(FOMC)でテーパリング(資産の買い入れ規模縮小)の加速を検討べきとの考えを示した。

FRBは利上げ開始前にテーパリングを終了させる意向であり、テーパリングの加速は利上げ開始時期の前倒しを意味する。インフレ率はFRBが目標とする2%を超える状況が来年後半以降も続くとの見通しが強まっており、高インフレ長期化への対処が急務となりつつあるようだ。

利上げ時期の前倒し観測を受けて、テクノロジー株を中心に株式市場は一時下押されたものの、失業率の低下や労働参加率の上昇などを支援材料に持ち直しの動きを見せている。