12月の雇用統計では雇用者数が前月比19.9万人増と、市場予想の40万人増を大幅に下回った。一方、失業は3.9%に低下し、市場予想の4.1%よりも大幅な改善となった。雇用者数は増勢が鈍化しているものの、高インフレが続いていることを踏まえて、12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)ではテーパリング(資産の購入規模縮小)の加速が決定された。早ければ3月にも利上げが開始される見通しとなり、株式市場は年初から軟調に推移している。
雇用者数、12月は19.9万人増 市場予想を大きく下回る
12月の雇用統計では、非農業部門の雇用者数は前月比19.9万人増となり、市場予想の40万人増を大きく下回った。2021年は月平均で53.7万人増加した。雇用者数は2020年4月以降の累計で1880万人増加したが、新型コロナウイルス流行前の20年2月を360万人(2.3%)下回っている。
業種別では、レジャー・ホスピタリティ、専門・ビジネスサービス業、製造業、建設業、輸送・倉庫業で増加傾向が続いた。
レジャー・ホスピタリティでは12月に5.3万人増加した。通年では260万人増加したが、20年2月と比べると120万人(7.2%)減少している。飲食サービス業は12月に4.3万人増加したものの、20年2月を65.3万人下回った。
専門・ビジネスサービス業は4.3万人増加した。コンピュータシステム(1.0万人増)、建築・エンジニアリング(0.9万人増)、研究開発(0.6万人増)などが堅調だった。専門・ビジネスサービス業は20年2月の水準を3.5万人下回っている。
製造業では2.6万人増加した。主に耐久財で増加した。ストライキからの復帰で機械(0.8万人増)も大きく伸びた。製造業は20年2月の水準を21.9万人下回っている。
建設業は2.2万人増加した。過去3カ月間では平均で3.8万増となった。建設業は20年2月の水準を8.8万人下回っている。
輸送・倉庫業は1.9万人の増加となった。配送支援(0.7万人増)、航空輸送(0.6万人)、倉庫業(0.5万人増)などが好調だった。輸送・倉庫業での雇用者数は20年2月の水準を21.8万人上回っている。
平均時給は前月比0.19ドル増の31.31ドルだった。前年同月比では4.7%増加した。
週平均労働時間は前月から横ばいの34.7時間だった。
10月分が10.2万人上方修正されて64.8万人増に、11月分は3.9万人上方修正されて24.9万人増となり、2カ月合計では14.1万人の上方修正となった。
11月失業率は3.9%、前月から0.3ポイント低下 予想上回る改善
12月の失業率は3.9%と前月から0.3ポイント低下し、市場予想の4.1%よりも大幅な改善を示した。失業者数は48.3万人減の630万人となった。ただし、コロナ流行前の20年2月は失業率が3.5%、失業者数は570万人だった。
失業率は、成人男子が3.6%、成人女子が3.6%、白人が3.2%に低下した。ティーンエイジャー(10.9%)、黒人(7.2%)、アジア系(3.8%)、ヒスパニック系(5.2%)は前月から大きな変化はなかった。
失業者のうち、通常の失業者は前月比20.5万人減の170万人で、21年通年では180万人減少した。20年2月と比べると40.8万人増加した。一時解雇者は前月がほぼ変わらずの81.2万人となり、21年通年では230万人減少した。水準は20年2月とほぼ同じとなった。
失業期間が27週以上の長期失業者は200万人で、前月から18.5万人減少した。21年通年で400万人減少したが、20年2月の水準を88.7万人上回っている。長期失業者は全体の31.7%を占めた。
労働参加率は61.9%で横ばいとなり、20年2月を1.5ポイント下回った。21年通年では0.4ポイント上昇した。雇用率は前月比0.2ポイント上昇の59.5%だった。20年2月を依然として1.7ポイント下回っている。21年通年では2.1ポイント上昇した。
フルタイムを希望しているが、見つからないなどの理由でパートタイムで働く経済的理由でのパートタイマーは前月比33.7万人減の390万人だった。21年通年では220万人減少し、20年2月を46.1万人した回った。
求職活動をしていないことから、労働人口にも失業者にもカウントされない非労働人口は570万人と前月からほぼ横ばいとなった。21年通年では160万人減少したが、20年2月を71.7万人上回った。このうち、過去12カ月以内に求職活動をしていたが、最近4週間では活動をしていない周縁労働者は160万人で、前月とほぼ同じだった。
新型コロナの影響で在宅勤務をしている就業者は全体の11.1%で、前月とほぼ同じだった。
新型コロナの影響で職場が閉鎖となり、まったく仕事をしていないかごく限られた勤務に従事している人は310万人で前月の360万人から減少した。このうち15.9%には少なくとも給与の一部が支払われ、この割合は前月からおおむね変わらずとなった。
110万人が新型コロナの影響で職探しができない状態にあり、数字は11月からほぼ横ばいだった。こうした人たちは職探しをしていないことから失業者にはカウントされていない。
失業保険申請件数は23万件に増加、FRBは3月利上げ開始へ
1月8日までの1週間の新規失業保険申請件数は23万件と、前週から2.3万件増加した。新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」の感染が急拡大している中で、市場予想(20万件)に反して増加した。ただし、労働市場がタイトな状態にあることに変わりはない。
失業保険の継続受給者は1月1日までの1週間で155.9万件となり、前週から19.4万件減少して1973年6月以来の低水準となった。
米疾病対策センター(CDC)によると、1月15日時点で米国内に配布された新型コロナワクチンは6億4900万本で、5億2600万本が投与された。人口の62.9%が接種を完了し、74.8%が少なくとも1回の投与を受けた。65歳以上では88%が接種を完了し、95%が少なくとも1回の投与を受けている。18歳以上では73.5%が接種を完了し、86.8%が少なくとも1回の投与を受けた。
12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、テーパリング(資産の購入規模縮小)ペースの加速が決定された。月間での縮小ペースは150億ドルから300億ドルに増額され、この結果、テーパリングの終了時期は6月から3月へと前倒しされる見通しとなった。
また、FOMC参加者の政策金利見通しでは、2022年に3回の利上げが実施されると予想され、前回の1回から利上げペースも加速し、早ければ3月にも利上げが開始される可能性が示された。オミクロン株の影響もあり、雇用情勢は堅調さにやや陰りが見え始めているものの、高インフレを踏まえて、FRB はテーパリングや利上げ見通しについてはタカ派的な姿勢を維持しており、株式市場は年初からおおむね軟調となっている。
