10月の雇用統計では雇用者数が前月比53.1万人増と、市場予想の45万人を大幅に上回った。また、失業は4.6%に低下し、市場予想の4.7%よりも大幅な改善となった。成長鈍化やテーパリング開始といった逆風が吹く中でも、予想を上回る雇用者数の伸びを受けて株式市場は最高値を更新した。
雇用者数、10月は53.1万人増 市場予想を大きく上回る
10月の雇用統計では、非農業部門の雇用者数は前月比53.1万人増となり、市場予想の45万人増を大きく上回った。雇用者数は昨年4月以降の累計で1820万人増加したが、新型コロナウイルス流行前の昨年2月を420万人(2.8%)下回っている。
業種別では、レジャー・ホスピタリティ、専門・ビジネスサービス業、製造業、輸送・倉庫業で顕著に増加した。一方、公的な教育機関で減少した。
レジャー・ホスピタリティは16.4万人増加した。1-10月は累計で240万人の増加となった。飲食店で11.9万人、宿泊施設等で2.3万人それぞれ増えた。レジャー・ホスピタリティは昨年2月の水準を140万人(8.2%)下回っている。
専門・ビジネスサービス業は10万人増加した。派遣サービス(4.1万人増)、経営コンサルタント(1.4万人増)、その他専門・技術サービス(0.9万人増)、科学研究開発サービス(0.6万人増)、法律サービス(0.5万人増)などで増えた。専門・ビジネスサービス業は昨年2月の水準を21.5万人下回っている。
製造業では6万人増加した。自動車・部品(2.8万人増)が大きく伸びた。製造業は昨年2月の水準を27万人下回っている。
輸送・倉庫業は5.4万人の増加となった。倉庫業(2.0万人増)、交通・陸上旅客輸送(1.6万人増)、航空輸送(0.9万人)、トラック輸送(0.8万人増)などで増えた。輸送・倉庫業での雇用者数は昨年2月の水準を14.9万人上回っている。
一方、教育関連では、地方自治体で4.3万人、州政府で2.2万人ぞれぞれ減少した。私立教育はほぼ変わらずだった。コロナ流行の影響により、教育関連で例年見られる季節的な増減員が見送られており、実勢の把握が困難になっている。教育関連での雇用者数は、昨年2月の水準に比べると地方自治体で37万人、州政府で20.5万人、私立で14.8万人それぞれ減少している。
平均時給は0.11ドル増の30.96ドルと、7カ月連続で増加した。前年同月比では4.9%上昇した。
週平均労働時間は0.1時間減の34.7時間となった。
8月分が11.7万人分上方修正され48.3万人増、9月分は11.8万人分上方修正されて31.2万人増となり、2カ月合計では23.5万人の上方修正となった。
10月失業率は4.6%、前月から0.2ポイント低下 予想上回る改善
10月の失業率は4.6%と前月から0.2ポイント低下し、市場予想の4.7%よりも大幅な低下となった。失業者数は740万人に減少した。ただし、コロナ流行前の昨年2月は失業率が3.5%、失業者数は570万人だった。
失業率は、成人男子が4.3%に低下した。成人女子が4.4%、ティーンエイジャーが11.9%、白人が4.0%、黒人が7.9%、アジア系は4.2%、ヒスパニック系は5.9%でそれぞれ前月から大きな変化はなかった。
失業者のうち、一時解雇者は110万人で前月からおおむね横ばいとなった。昨年4月のピーク1800万人から大きく減少しているものの、昨年2月を依然として30.6万人上回っている。通常の失業者は前月比ほぼ変わらずの210万人で、昨年2月を82.8万人上回った。
失業期間が27週以上の長期失業者は35.7万減の230万人。長期失業者は昨年2月の水準を130万人上回り、全体の31.6%を占めた。
労働参加率はほぼ横ばいの61.6%で、昨年6月以降のレンジ61.4~61.7%に収まった。10月は昨年2月を1.7ポイント下回った。雇用率は58.8%で前月からおおむね横ばいとなった。昨年4月のボトム51.3%から持ち直しているものの、昨年2月の61.1%を依然として下回っている。
フルタイムを希望しているが、見つからないなどの理由でパートタイムで働く経済的理由でのパートタイマーは前月からほぼ横ばいの440万人で、昨年2月に経済的理由で働いていたパートタイマーとほぼ同じ数字となった。
求職活動をしていないことから、労働人口にも失業者にもカウントされない非労働人口は600万人と前月からほぼ横ばいとなり、昨年2月を96.8万人を上回った。このうち、過去12カ月以内に求職活動をしていたが、最近4週間では活動をしていない周縁労働者は170万人で、前月とほぼ同じだった。
新型コロナの影響で在宅勤務をしている就業者は全体の11.6%となり、前月の13.2%からおおむね横ばいとなった。新型コロナの影響で職場が閉鎖となり、まったく仕事をしていないかごく限られた勤務に従事している人は380万人で9月の500万人から減少した。このうち13.3%には少なくとも給与の一部が支払われ、この割合は9月からおおむね変わらずとなった。
130万人が新型コロナの影響で職探しができない状態にあり、数字は9月の160万人から減少した。こうした人たちは職探しをしていないことから失業者にはカウントされていない。
失業保険申請件数は26.9万件に減少、FRBはテーパリング開始
10月30日までの1週間の新規失業保険申請件数は26.9万件と、前週から1.4件減少し、コロナが本格的に流行して以降での最少となった。市場予想では27.5万件が見込まれていた。
失業保険の継続受給者は10月23日までの1週間で210.5万件となり、前週から13.4万件減少して2020年3月中旬以来の低水準となった。
米疾病対策センター(CDC)によると、11月7日時点で米国内に配布された新型コロナワクチンは5億3400万本で、4億3100万本が投与された。人口の58.4%が接種を完了し、67.4%が少なくとも1回の投与を受けた。65歳以上では85.6%が接種を完了し、98.2%が少なくとも1回の投与を受けている。18歳以上では70.1%が接種を完了し、80.6%が少なくとも1回の投与を受けた。
7-9月期の米GDPは前期比年率2.0%増と、4-6月期の6.7%増から大きく減速した。人手不足や原材料の供給不足が響いた。11月4日時点でのGDPナウは10-12月期のGDPを前期比年率8.5%増と予想。景気拡大の勢いが加速する可能性を示唆した。
米連邦準備制度理事会(FRB)は3日、テーパリング(資産の買い入れ規模縮小)を今月から開始すると明らかにした。FRBは現在、毎月1200億ドル相当の資産を買い入れいているが、月ごとに150億ドルずつ減らし、2022年の半ばをめどに量的緩和を終了したい考えだ。
成長鈍化やテーパリング開始といった逆風にもかかわらず、堅調な雇用統計を受けて株式市場は最高値を更新した。
