【5月米雇用統計】雇用者数は55.9万人増、失業率は5.8%に低下

5月の雇用統計では雇用者数が前月比55.9人増と5カ月連続で増加し、失業率は0.3ポイント低下して5.8%に改善した。大型の追加景気対策やワクチンの普及により、米労働市場の改善傾向は続いている一方で、失業保険の特別給付金が終了する9月までは労働市場の回復ペースは緩やかとなる可能性も引き続き示された。

雇用者数、5月は55.9万人増 水準は昨年2月を760万人下回る

5月の雇用統計では、非農業部門の雇用者数は前月比55.9万人増となり、市場予想の67.1万人増に届かなかった。4月の27.8人増を上回ったが、3月の78.5万増は下回った。5月の雇用者数は昨年2月の水準を5.0%、760万人下回っている。

業種別では、レジャー・ホスピタリティが29.1万人増と全体の半数以上の増加を占めた。新型コロナウイルス流行に起因した行動制限の緩和継続が寄与した。飲食業が18.6万人増とセクター全体の3分の2を占めた。また、娯楽関連で5.8万人、宿泊業で3.5万人それぞれ増加した。レジャー・ホスピタリティでの就業者数は1年間で540人増加したものの、昨年2月を15.0%、250万人下回っている。

公立・私立の教育関連も大きく伸びた。一部地域での対面授業や学校に関連した活動の再開が寄与した。地方自治体で5.3万人、連邦政府で5.0万人、私立で4.1万人それぞれ増加した。ただし、昨年2月と比べると、地方自治体で55.6万人、連邦政府で24.4万人、私立で29.3万人それぞれ下回った。

ヘルスケアおよびソーシャルアシスタンスは4.6万人増加した。ヘルスケア(2.3万人増)では外来でのヘルスケアサービス(2.2万人増)が、ソーシャルアシスタンス(2.3万人増)では子供のデイケアサービス(1.8万人増)がそれぞれけん引役となった。昨年2月と比べると、ヘルスケアでは50.8万人、ソーシャルアシスタンスでは25.7万人それぞれ下回った。

専門・ビジネスサービス業は3.5万人増加、製造業では2.3万人増加した。

一方、建設業で2万人、小売業で0.6万人それぞれ小幅に減少した。

金融業はほぼ横ばいだった。

平均時給は0.15ドル増の30.33ドル。4月は0.21ドル増加だった。ここ2カ月のデータは、経済活動の再開にともなう労働需要の高まりを示唆している。週平均労働時間は34.9時間で、3カ月連続で同じとなった。

雇用者数は3月分が1.5万人分上方修正されて77.0万人増、4月分は1.2万人分上方修正されて27.8人増となり、2カ月合計では2.7万人の上方修正となった。

5月失業率は5.8%、前月から0.3ポイント低下

5月の失業率は5.8%と前月から0.3ポイント低下した。市場予想では5.9%への低下が見込まれていた。失業者数は49.6万人減の930万人。昨年2月は失業率が3.5%、失業者数は570万人だった。

失業率は、ティーンエイジャーが9.6%、白人が5.1%、、ヒスパニック系が7.3%にそれぞれ低下した。一方、成人男子が5.9%、成人女子が5.4%、黒人が9.1%、アジア系が5.5%でそれぞれ前月から大きな変化はなかった。

一時解雇者は29.1万人減の180万人となった。昨年4月の1800万人から大きく減少しているものの、昨年2月を110万人上回っている。通常の失業者は前月から29.5万人減の320万人で、昨年2月を190万人上回った。

失業期間が5週未満の失業者数が39.1万人減の200万人となった。27週以上の長期失業者は43.1万人減の380万人で、昨年2月の260万人上回り、全体の40.9%を占めた。

労働参加率はほぼ横ばいの61.6%で、昨年6月以降は61.461.7%のレンジ内で推移している。5月は昨年2月を1.7ポイント下回った。雇用率もおおむね横ばいの58.0%となり、昨年2月を3.1ポイント下回った。ただし、昨年12月からは0.6ポイント上昇している。

フルタイムを希望しているが、見つからないなどの理由でパートタイムで働く、経済的理由でのパートタイマーは前月とほぼ変わらずの530万人で、昨年2月を87.3万人上回った。

求職活動をしていないことから、労働人口にも失業者にもカウントされない非労働人口もほぼ変わらずの660万人となり、昨年2月を160万人上回った。このうち、過去12カ月以内に求職活動をしていたが、最近4週間では活動をしていない周縁労働者はほぼ変わらずの200万人で、昨年2月を51.8万人上回った。

新型コロナの影響で在宅勤務をしている就業者は全体の16.6%となり、4月の18.3%から低下した。新型コロナの影響で職場が閉鎖となり、まったく仕事をしていないかごく限られた勤務に従事している人は790万人で4月の940万人から減少した。このうち9.3%には少なくとも給与の一部が支払われ、割合は4月とほぼ同じとなった。

250万人が新型コロナの影響で職探しができない状態にある。数字は4月の280万人から減少した。こうした人たちは職探しをしていないことから失業者にはカウントされていない。

ティーンエイジャーの失業率9.6%に低下、1953年以来の低水準

529日までの1週間の新規失業保険申請件数は38.5万件と、前週から2万件減少し、コロナ流行後で初めて40万件を下回った。失業保険申請件数の減少は5連続となった。経済活動の制限措置緩和が進み、ワクチン接種を完了した人が旅行やレジャーなどを通じて人との交流を再開していることが背景となっている。

一方、失業保険の継続受給者は522日までの1週間で16.9万人増の377.1万人。何らかの失業給付を受け取っている人は515日までの1週間で約1540万人となっている。

3月に成立した米国救済計画で、失業保険の特別給付金が9月末まで週400ドル上乗せされたことが、職場への復帰意欲を削いでいる可能性がある。こうした懸念を受けて、約半数の州が期限前に特別給付金を打ち切ると発表している。

特別給付を打ち切られた人が職場に復帰すれば雇用増加につながるが、その一方で、こうした人たちが再就職で得られる所得は上乗せされた給付金を下回る公算もある。さらに、再就職できなければ、失業率は低下せず、所得の減少が景気の下押し要因となる恐れがある。

5月雇用統計でのティーンエイジャーの失業率低下は注目に値する。ティーンエイジャーの5月の失業率は9.6%と、前月の12.3%から低下した。これは195311月以来の低水準で、20195月の12.3%も大きく下回っている。

5月の雇用者数増加をけん引したのは、コロナ禍で深刻な打撃を受けたレジャーやホスピタリティ、飲食業などで、こうしたセクターは比較的賃金が低い。低賃金労働者ほど手厚い失業手当を手放すインセンティブが低く、経済活動の再開に伴って低賃金セクターでの人手不足が深刻化している。この点、若年層は低賃金労働を受け入れやすく、失業率の低下につながっているもようだ。

米疾病対策センター(CDC)によると、64日時点で米国内に配布された新型コロナワクチンは36900万本余りで、29900本余りが投与された。

61日時点でのGDPナウは4-6月期のGDPを前期比年率10.3%増と予想。同じく64日時点のナウキャストは4.4%増と予想しており、堅調な拡大が続く見通しだ。

5月の雇用統計発表を受けて株価は上昇した。景気の急回復を背景に、市場には米連邦準備制度理事会(FRB)の早期量的緩和縮小観測がくすぶっているが、5月の雇用統計では雇用者数の増加が市場予想に届かず、このことが緩和政策維持との安心感につながった。