【6月米雇用統計】雇用者数は85万人増、失業率は5.9%に上昇

6月の雇用統計では雇用者数が前月比85万人増と6カ月連続で増加した一方で、失業率は0.1ポイント上昇して5.9%に悪化した。堅調な雇用の拡大が続いているが、足もとでは新型コロナウイルス変異株の流行が拡大し、失業保険の申請件数が増加しており、7月の数字でこのあたりの影響を確認することになる。

雇用者数、6月は85万人増 水準は昨年2月を680万人下回る

6月の雇用統計では、非農業部門の雇用者数は前月比85万人増となり、市場予想の70.6万人増を上回った。20204月以降、雇用者数は累計で1560万人増加したが、202月の水準を680万人下回っている。

業種別では、レジャー・ホスピタリティが34.3万人増と大きく増えた。新型コロナウイルス流行に起因した行動制限の緩和継続が寄与した。飲食業が19.4万人増と全体の半分以上を占めた。また、娯楽関連で7.4万人、宿泊業で7.5万人それぞれ増加した。レジャー・ホスピタリティでの就業者数は昨年2月を12.9%、220万人下回っている。

一部地域での対面授業や学校に関連した活動の再開を受けて、公立・私立の教育関連の大幅な伸びを継続した。ただ、新型コロナの流行で季節的なパターンが変化しており、雇用のトレンドを把握するのが困難になっている。地方自治体で15.5万人、連邦政府で7.5万人、私立で3.9万人それぞれ増加したが、昨年2月の水準を地方自治体で41.4万人、連邦政府で16.8万人、私立で25.5万人それぞれ下回った。

専門・ビジネスサービス業は7.5万人増加したが、昨年2月の水準を63.3万人下回った。6月は派遣サービスが3.3万人増加した。

小売業は6.7万人増加したが、昨年2月の水準を30.3万人下回った。6月は衣料品店が2.8万人増加した。

平均時給は0.10ドル増の30.40ドル。5月と4月はそれぞれ0.13ドル、0.20ドル増加していた。ここ数カ月のデータは、経済活動の再開にともなう労働需要の高まりを受けて、賃金の上昇圧力が高まっていることを示唆している。

週平均労働時間は34.7時間で、前月から0.1時間低下した。

4月分が0.9万人分下方修正され26.9万人増、5月分は2.4万人分上方修正されて58.3人増となり、2カ月合計では1.5万人の上方修正となった。

6月失業率は5.9%、前月から0.1ポイント上昇

6月の失業率は5.9%と前月から0.1ポイント上昇した。市場予想では5.6%への低下が見込まれていた。失業者数は950万人で、前月からほぼ横ばいだった。昨年2月は失業率が3.5%、失業者数は570万人だった。

失業率は、成人男子が5.9%、成人女子が5.5%、ティーンエイジャーが9.9%、白人が5.2%、黒人が9.2%、アジア系が5.8%、ヒスパニック系が7.4%で、それぞれ前月から大きな変化はなかった。

失業者のうち、自発的な離職者は16.4万人増の94.2万人だった。一時解雇者は180万人で前月とほぼ同じとなった。一時解雇者は昨年4月の1800万人から大きく減少しているものの、昨年2月を110万人上回っている。通常の失業者は前月とほぼ変わらずの320万人で、昨年2月を190万人上回った。

失業期間が27週以上の長期失業者は23.3万増の400万人。5月は43.1万人減少していた。長期失業者は昨年2月の水準を290万人上回り、全体の42.1%を占めた。5週未満の失業者数は200万人で前月からほぼ横ばいとなった。

労働参加率はほぼ横ばいの61.6%で、昨年6月以降は61.461.7%のレンジ内で推移している。6月は昨年2月を1.7ポイント下回った。雇用率もおおむね横ばいの58.0%となり、昨年2月を3.1ポイント下回った。ただし、昨年12月からは0.6ポイント上昇している。

フルタイムを希望しているが、見つからないなどの理由でパートタイムで働く経済的理由でのパートタイマーは64.4万人減の460万人となった。労働市場の緩みで労働時間を短縮されていた労働者が減少した。経済的理由のパートタイマーは昨年2月を22.9万人上回った。

求職活動をしていないことから、労働人口にも失業者にもカウントされない非労働人口はほぼ変わらずの640万人となり、昨年2月を140万人上回った。このうち、過去12カ月以内に求職活動をしていたが、最近4週間では活動をしていない周縁労働者はほぼ変わらずの180万人で、昨年2月を39.3万人上回った。

新型コロナの影響で在宅勤務をしている就業者は全体の14.4%となり、4月の16.6%から低下した。新型コロナの影響で職場が閉鎖となり、まったく仕事をしていないかごく限られた勤務に従事している人は620万人で5月の790万人から減少した。このうち10.0%には少なくとも給与の一部が支払われ、割合は5月とほぼ同じとなった。

160万人が新型コロナの影響で職探しができない状態にある。数字は5月の250万人から減少した。こうした人たちは職探しをしていないことから失業者にはカウントされていない。

デルタ株拡大で失業保険申請件数が予想外に増加

717日までの1週間の新規失業保険申請件数は41.9万件と、前週から5.1万件増加した。市場予想(35万件に減少)に反して増加となったものの、コロナ流行で季節調整が難しくなっており、申請件数の増加は必ずしも雇用情勢の悪化を示唆していない可能性がある。

コロナ対策で通常は失業保険手当ての受給対象とならない人にも手当が拡大されていることもデータのひずみの原因となっている。ただし、共和党の知事が率いるすくなくとも20州では、週300ドルの追加給付を含む連邦政府の失業対策を打ち切っている。企業は政府の手厚い失業対策が職場への復帰意欲を削いでいると主張している。

一方、失業保険の継続受給者は710日までの1週間で324万人に減少した。新型コロナウイルスの変異株「デルタ型」が急拡大していることで、失業者が増加している可能性もある。

米疾病対策センター(CDC)によると、727日時点で米国内に配布された新型コロナワクチンは39500万本余りで、約34300本が投与された。 人口の49.2%が接種を完了し、56.9%が少なくとも1回の投与を受けた。65歳以上では79.8%が接種を完了し、89.5%が少なくとも1回の投与を受けている。18歳以上では60.1%が接種を完了し、69.1%が少なくとも1回の投与を受けた。

727日時点でのGDPナウは7-9月期のGDPを前期比年率7.4%増と予想。723日時点のナウキャストは4.1%増と予想しており、堅調な拡大が続く見通しだ。

景気の急回復を受けて、市場には米連邦準備制度理事会(FRB)の早期量的緩和縮小観測がくすぶっているものの、足もとではデルタ株の流行が拡大していることが緩和政策維持との安心感につながっている。雇用統計で強い数字が出ると堅調な景気見通しが、弱い数字が出ると緩和的な金融政策維持との見通しが強まり、いずれにしても株高の支援材料となっている。