7月の米雇用統計では雇用者数の伸びが予想に届きませんでした。ただ、前月までが好調だったことから、力強いトレンドは維持されています。また、失業率も低下したことから、FRBの利上げ路線を後押しする内容だと受け止められたようです。ただ、賃金の伸びは低調なままで、物価の伸びを下回っています。米中貿易戦争の悪影響はこれからとみられていますので、油断は禁物です。
雇用の伸び鈍化も失業率は低下、堅調さを維持
7月の米雇用統計では雇用者数の伸びが前月比+15.7万人と事前予想の19.3万人に届きませんでした。
ただ、玩具チェーンのトイザラスの事業清算により3.3万人が失職したと伝えられており、7月の雇用統計はこの影響を受けているもようです。
6月は+24.8万人と大きく増加しており、3カ月平均も22.4万人と20万超をキープしていますので、数字的にはまったく問題がないといえそうです。
失業率は3.9%と前月の4.0%から0.1%ポイント低下し、再び3%台に戻っています。労働参加率が62.9%で前月から横ばいとなった点や非労働力人口の増加は気がかりではありますが、良好な雇用環境が崩れている様子がうかがえません。
正社員を希望しながらも見つからずにパートに甘んじている人や就職を希望しながらも希望とは開きがあることから職探しをあきらめている人などを含む広義の失業率は7.5%と前月の7.8%から0.3%ポイント低下し、2001年以来の低水準となっています。
平均時給は横ばい、労働時間は低下
雇用者数や失業率を見る限りでは死角は見当たりませんが、これまで同様、賃金の伸びはさえません。
平均時給は前年同月比2.7%と前月から変わらず。前月比では+0.3%と前月の0.1%から伸びを加速した点は明るい材料ですが、6月の消費者物価指数(CPI)が前年同月比+2.9%だったことを踏まえると、決して満足できる数字ではありません。
また、平均労働時間が34.5時間と前月の34.6時間から低下している点も気がかりです。物価の伸びに賃金の伸びが追いついていませんので、家計が消費の拡大に慎重になる恐れもありそうです。
年内にあと2回、9月と12月の利上げを後押し
とはいえ、7月の雇用統計の結果は雇用の拡大や失業率の低下を背景にFRBの金融正常化を後押しする見通しで、年内にあと2回、9月と12月の利上げが規定路線であることに変化はなさそうです。
米中貿易戦争に対する警戒から株価は伸び悩みとなっていますが、実態経済への悪影響はまだ確認されておらず、これまでのところは懸念にとどまっています。
とはいえ、関税合戦は既に始まっており、来年以降の成長見通しは相次いで引き下げられています。悪影響が本格するのはこれからとみられていますので、今後の推移を慎重に見守る必要がありそうです。
また、賃金が伸び悩む中、関税の引き上げで生産コストが上昇しており、インフレが加速するリスクも警戒されています。低賃金、高インフレ、高金利が堅調な実体経済の足を引っ張らないとも限りません。
雇用情勢に変調が見られないのかどうか、引き続き注意が必要となりそうです。
