6月の米雇用統計では雇用者数は予想を上回る増加となりましたが、賃金の伸びが予想に届かなかったことから米利上げ観測がやや後退し、株価上昇をサポートしました。
雇用者数の増加は予想を上回り+21.3万人、賃金は伸び鈍化
6月の米雇用統計では雇用者数は+21.3万人と事前予想の+19.5万人を上回りました。過去2カ月分も合計で3.7万人分上方修正されており、予想を上回るスピードでの雇用拡大が継続しています。
ただ、賃金の伸びは前月比+0.2%と前月の+0.3%から伸びが鈍化しています。前年同月比も+2.7%にとどまり、予想の+2.8%には届きませんでした。
FRBが物価の目安とするコア個人消費支出(PCE)価格指数は5月+2.0%となり、6年ぶりの目標の2.0%に到達しています。6月のFOMCでは今年2回目となる利上げが決定されたほか、年内にあと2回の利上げを実施することが示唆されました。
市場ではインフレ目標の達成で利上げスピードが加速するのではないかとの警戒感が広がっていましたが、今回の雇用統計で賃金の伸びは予想を下回ったことで、米利上げに対する警戒感が緩和され、金利の低下と株価の上昇を後押ししています。
失業率は上昇、労働参加率の上昇で
6月の失業率は4.0%と18年ぶりの低水準となった5月の3.8%から0.2%ポイント上昇しました。また、労働参加率も62.9%と前月の62.7%から0.2%ポイント上昇しています。
家計調査では6月の就業者数の増加が+10.2万人に留まった一方で、失業者数は+49.9万人と急増しています。また、非労働力人口も+41.3万人と大きく増加しています。
これらの数字はこれまで職探しを諦めていた労働者が職探しを再開してことを示唆しています。したがって、失業率の上昇は必ずしも雇用情勢の悪化を示してはおらず、労働供給量が増えている点はポジティブにとらえることもできます。
ポイントは職探しを再開した労働者に仕事が見つかるのかどうかであり、来月以降の統計でこの点を確認することになります。
関税報復合戦の影響を警戒へ
雇用統計が発表された7月6日、米政府による中国からのへの追加関税がついに発動されました。米関税当局は中国から輸入される半導体や航空機部品など340億ドルの輸入品に対し25%の追加関税の徴収を開始しています。
また、トランプ大統領はこれとは別に160億ドル相当の中国製品への関税を2週間以内には発動する可能性があり、最終的には5500億ドル相当の中国製品が対象になる得ることを示唆しています。
中国政府は、米製品に対し同額の関税を課す報復措置を発表しており、関税は報復合戦となる様相を呈しています。
米国は鉄鋼・アルミニウムへの輸入関税でカナダや欧州連合(EU)からの報復関税を受けており、報復合戦は中国のみならず世界的な広がりを見せています。
雇用統計の結果は米経済の堅調な拡大を示す内容となりましたが、市場では関税報復合戦への警戒感が広がっているようです。
