【直前リポート】3月米雇用統計、過度な期待を警戒か

3月の雇用統計では雇用者数の堅調な拡大が続く見通しです。ただし、今年に入り企業の人員削減計画が急上昇しており、拡大の終了が近づいている恐れがあります。また、賃金の伸びは依然として低調な中、物価の伸びが高まっており、その影響で個人消費が抑制されている様子がうかがえることも気がかりです。

雇用者増加は18.5万人、失業率は4.0%へ低下と予想

2月の米雇用統計は雇用者数が31.3万人増、失業率が4.1%、賃金の伸びが前月比0.1%上昇、前年同月比2.6%上昇でした。

雇用者数が予想を大きく上回ったものの、賃金の伸びが予想に届かなかったことから、「FRBは利上げを急がず」と見方が強まり、株価が急騰した一方で債券が下落しました。

3月の雇用者数は18.5万人増が予想されています。類似の統計である3月ADPが24.1万人増だったことを踏まえると、問題なくクリアできそうな数字となっています。

予想通りの数字となれば、2月からは騰勢が鈍化しますが、3月までの3カ月平均が24.6万人増となりますので、力強い拡大が続いていると判断できるでしょう。

ただ、雇用の拡大が米金融政策に与える影響は限定的となりそうです。

フェドウォッチによると、5月FOMCでの利上げ確率はわずかに3%、据え置きが97%となっており、今回の雇用統計で見通しが変更がされるとはかんがえづらいからです。また、6月FOMCでは利上げ確率が85%となっており、こちらも既に織り込み済みとなっています。

個人消費の動きとのミスマッチを警戒

3月の失業率は4.0%への低下が見込まれています。失業率は2月まで5カ月連続で4.1%が続いており、このところは下げ渋っています。

失業者数が2カ月連続で増加しており、雇用と失業が同時に増えて失業率が横ばいとなっています。したがって、失業者が増え続けると失業率が低下することも難しくなりますので、失業者の増勢にも注目したいところです。

2月の賃金の伸び鈍化は週間労働時間の増加の影響を受けていると考えられますので、数字ほど内容は悪くありません。

ただし、賃金の伸びが鈍いことに変わりはなく、個人消費への影響が懸念されています。2月の個人消費はインフレ調整後の実質で横ばい、1月は0.2%減となっているからです。

一方、2月の消費者物価指数は前年同月比2.2%上昇となっていますので、実質的な賃金の上昇は0.4%ということになります。

物価がジリジリと上昇する中で、賃金があまり上がらないことから消費が抑制されている恐れがありそうです。

雇用の大幅な拡大が続いているにもかかわらず、個人消費がさえないというミスマッチが心配されます。

3月の人員削減計画は前年比39%増、雇用拡大の終わりの始まり?

チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマスによると、3月の米企業・政府機関による雇用削減計画数は6万357人と前年同月比39%上昇、2月の3万5369人から2倍近く増加しています。

1-3月期で見ても14万379人の削減と前年同期と比べ44%上昇しており、企業が人員削減に動いている様子がうかがえます。

雇用の拡大が終わろうとしている恐れがあり、楽観的過ぎる見通しには警戒感を持つ必要があるのかもしれません。