3月の雇用統計では雇用者数の伸びが予想を大きく下回り、市場の失望を招きました。賃金の伸びが加速したことから、年内あと2回との利上げ見通しに変更はなかった模様です。失業率が低下したなかったこと、そして雇用の増加がパートに集中したことが警戒されそうです。
雇用者数は予想外の失速、賃金は伸びを加速
3月の米雇用統計では雇用者数が前月比10.3万人増と事前予想の18.5万人増に届きませんでした。
3月は過去5年のうち4年で事前予想に届かず、平均で6.2万人多く見積もっていることから、今回も3月特有のアノマリーに終わるかもしれません。また、悪天候で仕事に行けなかった人が15.9万人いたことも予想を下回った一因とされています。
3月までの3カ月平均では20.2万人増と前年同期の17.7万人増を上回っていることから増勢に大きな変化はないとも考えられています。
3月の時間当たり賃金は前月比0.3%上昇と2月の0.1%上昇から伸びを加速。前年同月比でも2.7%上昇と2月の2.6%上昇を上回りました。
ただ、業種別の就業者数をみると、2月に4.7万人増加していた小売が0.4万人減少、同様に人材派遣サービスが2.1万人増加から0.1万減少となっており、比較的人件費の安い業種で働く人が相対的に減っています。したがって、賃金の上昇は低賃金労働者がカットされたことを反映しており、既存の従業員の賃金が上昇したわけではない可能性があります。
失業率は6カ月連続で横ばい、雇用の増加はパートに集中
3月の失業率は4.1%と前月から横ばい。これで6カ月連続で4.1%となり、下がりそうで下がらない状況が続いています。
就業者数が小幅に減少した中で、失業者も減少したことで横ばいとなっており、労働市場から退出した人が大幅に増えています。仕事はなくなったが職探しを諦めたことで失業率が維持されており、内容はよくありません。
また、フルタイム労働者が31.1万人減少した一方で、パートタイム労働者が31.0万人増えており、フルタイムの減少をパートで穴埋めしている様子がうかがえることも気がかりです。
注目度の高い賃金の伸びが加速したことから、FRBの利上げペースはこれまで通り年内にあと2回が維持されて模様です。
ただし、低賃金業種での就業者数の減少を踏まえると、賃金の上昇を数字通りに受け止めるのは危険かもしれません。
雇用者数は増勢を維持していますので、単月での失速を懸念するのは時期尚早といえますが、予想外に大幅に下回ったことから市場には失望感が広がった模様です。
失業率が4.0%への低下が予想された中で下げなかったこと、そして雇用の増加がパートに集中していた点は下振れリスクとして警戒が必要かもしれません。
