1月の米小売売上高は約1年ぶりとなる大幅な落ち込みとなり、想定外の結果となりました。背景には実質賃金の低下があるようです。減税法案の成立で成長の加速が期待されましたが、加速どころが失速を警戒する局面を迎えている恐れがあります。
1月の米個人消費は想定外の減少
1月の米小売売上高は前月比0.3%減少と事前予想の0.2%増加に反して減少しました。減少するのは5カ月ぶりのことで、減少幅は昨年2月以来、約1年ぶりの大きさとなっています。
また、12月分も前回発表の0.4%増から横ばいへと下方修正されました。
内訳では、建築資材が前月比2.4%減少したほか、自動車関連も1.3%減と全体の足を引っ張りました。
1月は寒波の影響により建設資材や自動車が不振となった可能性もありますが、天候不良が確認できない12月も低調だったことを踏まえると、年末から年始にかけての個人消費は想定外の落ち込みとなった恐れもありそうです。
賃金は伸び悩みが影響か
個人消費失速の背景として低調な賃金の伸びが挙げられています。
1月の時間当たりの実質賃金は前月比0.2%低下、週間での労働時間が減少したことから週ベースでの賃金は0.8%低下とさらに大きな下げとなっています。また、非管理職に限ると、1月の時間当たり実質賃金は前月比0.5%低下、前年同月比で0.1%上昇とこの1年でほとんど伸びていません。
1月の米消費者物価指数(CPI)は前月比0.5%上昇、前年同月比でも2.1%上昇となり、物価は上昇圧力を強めています。こうした中、賃金の伸びが物価の伸びに追いつかず、実質ではマイナスとなっていることが消費に悪影響を与えている模様です。
遠のく3%成長、失速懸念も
昨年末に成立した減税法案が景気を押し上げるとの期待から、2018年の米GDP成長率は3.0%を超えると強気な予想も出始めていましたが、個人消費は出足から躓いた格好となりました。
自動車やガソリン、建設資材などを除いた1月のコア売上高は前月から横ばい、12月分は当初発表の0.3%増から0.2%減へと下方修正されています。
コア売上高はGDPの基礎統計となりますので、1-3月期のGDPでは個人消費の鈍化が示されることになりそうです。また、10-12月期に3.8%増と好調だった個人消費が下方修正され、GDP成長率も2.6%から引き下げられる公算が大きくなりました。
1月の小売売上高が予想外の減少となったことで、バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチは1-3月期のGDP成長率を2.3%から2.0%へ引き下げています。また、バークレーズも2.5%から2.3%へと引き下げるなど、GDP見通しの下方修正が相次いでいます。
こうした状況を踏まえると、米経済は流れ的には3%成長を目指すという感じではなくなり、むしろ失速が警戒される局面を迎えているようです。
