10月の米小売売上高が底堅い数字となり、消費者信頼感指数も上昇していることから年末商戦に向けて楽観的なムードが広がっています。ただし、所得が伸びておらず、借り入れ主導の消費拡大となる中、金融機関の融資基準が厳格化しており、油断は禁物となりそうです。
10月コア小売売上高の好調で、年末商戦への期待が膨らむ
10月の小売売上高が底堅い数字となったことで、年末商戦に向けて楽観的なムードが広がっています。
10月の小売売上高は前月比0.2%増と事前予想の横ばいを上回りました。9月はハリケーンの影響で、自動車が前月比4.6%増、ガソリンが6.4%増、建築資材が3.0%増と軒並み大幅増となり、全体でも1.9%増となりました。10月はガソリンと建築資材がともに1.2%減となり、前月からの反動が出ましたが、自動車は0.7%増と引き続きプラスを維持したこが明るい材料となっています。
自動車を除くと0.1%増と寂しい数字となりますが、自動車、ガソリン、建築資材を除くコア小売売上高が0.3%増と堅調な伸びを示したことで安心感が広がっています。コア小売売上高はGDPの個人消費の算出に用いられることから、年末に向けて個人消費が底堅く推移していると受け止められています。
借り入れ需要が強まる中、金融機関は融資態度を厳格化
10月の小売売上高は悪い数字ではありませんでしたが、油断は禁物となりそうです。
自動車の売上高は反動減の予想を覆して増加しましたが、台数ではなく価格の影響を受けているようです。ハリケーンの影響で需要が急速に高まったことで、10月は中古車の販売価格が前月比0.7%上昇しています。その一方で、新車の販売価格は2カ月連続でマイナスとなったほか、10月の新車販売台数は前年同月比1.3%減と2カ月ぶりに前年割れとなっています。
また、金融機関が融資基準を厳格化していることも気がかりです。
個人の可処分所得は実質ベースではほとんど伸びておらず、貯蓄を取り崩すか借金を増やして消費を拡大しています。こうした中、クレジットカードや自動車ローンの遅延率が上昇していることから、金融機関はこれらのローンに対して審査基準を厳しくしています。
10月の消費者信頼感指数が2000年以来、17年ぶりの高水準となったことからも伺えるように、消費意欲の高まりから消費者の借り入れ需要は強まっていますが、金融機関は貸出に慎重になっていますので、借金の拡大は限界に近づきつつあるようです。
10月の消費者物価(CPI)統計では、家賃や医療費の上昇が確認されており、消費を圧迫する恐れもありそうです。
所得の伸びが物価の伸びに追いついていないこと、また借金の拡大も限界に近づいていることなどを踏まえると、自動車を中心とした個人消費の堅調な拡大が持続するのかどうか、やや慎重に見守る必要がありそうです。
