税制改革は「景気を損ねる恐れ」、ダドリーNY連銀総裁が懸念

ニューヨーク連銀のダドリー総裁がトランプ政権が目指す税制改革を「タイミングが悪い」とし、景気を損ねる恐れがあるとクギをさしています。

景気は順調、財政刺激のタイミングではない

ニューヨーク連銀のダドリー総裁は18日、ダラス連銀のカプラン総裁とともにニューヨーク市内で開かれた討論会に参加。その席で、トランプ政権と共和党が取り組んでいる税制改革が「短期的には景気を押し上げるが、長期的には景気を損なう恐れがある」と懸念しています。

ダドリー総裁は「税制の簡素化などで企業の投資が加速すると同時に、生産性が向上する」との認識を示しており、税制改革そのものは景気にプラスと評価しています。

ただし、「景気は極めて順調で、景気後退に対する耐久性が弱いということはない」と述べたほか、「景気の拡大が長期に及んでも景気後退の理由にはならない」とも語っており、景気が好調であることから景気刺激策は不要と考えているようです。

減税による財政悪化を懸念

同席したカプラン総裁は「雇用環境が良好であるにもかかわらず、負債を増やしながら減税を行うのは将来、反動がある」と指摘しています。

同総裁は、「財政赤字でファイナンスされた減税を実施した場合、短期的には景気を押し上げるとしても、しばらくすると景気は元のトレンドに戻り、財政赤字は減税の実施前より拡大することになる」と述べ、減税による財政赤字の拡大に懸念を示しています。

投資家は金利上昇リスクに無頓着、資産価格の急落も

ダドリー総裁は、減税により財政が悪化するリスクに同意した上で、政府債務のコストについて投資家が無頓着であることが「さらに深刻な問題だ」と警鐘を鳴らしています。

同総裁は、「低金利が政府債務のコストを抑えているが、米連邦準備理事会(FRB)が短期金利の引き上げを始めたことで政府債務のコストも上昇し始めている。政策金利の引き上げで政府債務の返済が困難になる恐れがあるにもかかわらず、投資家は世界中で政府債務が膨張していることをまったく気にしていない」と語っています。

ダドリー総裁は、現在は完全雇用かそれに近い状態にあり、最近の低いインフレは意外としながらも、いずれ上昇するとの立場を崩していません。年内の追加利上げと来年3回の利上げを支持しています。

FRBの景気見通しには税制改革は織り込まれていません。税制改革案が成立するのであれば、FRBは現在の見通しよりも積極的に利上げに取り組む必要があり、リスク資産の価値を急降下させる恐れがありそうです。