12月FOMC議事録で景気を抑制するために金融を引き締める必要があるとの認識が示されたことで米金利が上昇しています。その影響で、長短金利差の縮小から将来的な逆イールドの発生、また2年債利回りが配当利回りを上回ったことによる株価への影響が警戒されています。また、中国から米国債の購入ペース低下を匂わす発言が出たことも、米国債の下落を後押ししたようです。
12月FOMC議事録、減税の影響で金融引き締めを示唆
FRBが3日に公表した12月のFOMC議事録によると、大半の委員が「緩やかな利上げを支持する」と表明していたことが分かりました。12月のFOMC後に公表された金利見通しでは、2018年中に3回の利上げが見込まれています。ただし、利上げには積極派から慎重派まで幅広く意見が分かれており、コンセンサスは収斂しているわけではありません。
こうした中、大半の委員がインフレ目標達成のために、長期的な均衡を上回る水準まで金利を引き上げ、経済成長を抑制する必要があると認識していることも明らかになりました。これは、利上げペースが速まることはあっても遅くなることはないことを匂わせています。
議事録では、多くの委員が減税で個人消費や設備投資が拡大すると予想。その上で、財政刺激によって過度なインフレ圧力がかかってくることを警戒しています。
2018年に3回と予想されている利上げ回数をもっと増やす必要があるとの見方はまだ少数派ですが、今後の経済指標次第ではタカ派色を強める公算も小さくはなさそうです。
逆イールド、配当利回り、そして中国に警戒感
FRBは昨年9月にバランスシート(BS)の縮小を決定し、翌10月から縮小を開始していますが、8日公表された報告書によると、BSの縮小はFRBが損失から身を守るためにも有効なようです。
報告書では、BSの規模を現在の水準に維持した場合、将来的に損失を出す確率を30%と試算しています。ただし、準備預金を1兆3000億ドル以上縮小することで、損失が出る確率は5.0%以下に低下すると試算しています。
財政刺激によるインフレ圧力や保有資産の損失を未然に防ぐため、FRBは緩やかな利上げとBSの縮小を継続したい考えですが、いくつか懸念材料が指摘されています。
まず、長短金利が縮小し、近い将来逆イールドになるのではないかと心配されています。米10年債と2年債の利回り格差は、4日現在で50bpsとこの1年で70bps以上縮小しています。昨年同様、FRBが年3回の利上げを実施し、BSの縮小幅を予定通り拡大した場合には、年末までには長短金利差が逆転する恐れがありそうです。逆イールドは景気後退サインの一つと考えられいますので、このまま長短金利差の縮小が続くのかどうかが注目です。
また、2年債利回りがS&P500の配当利回りを上回ったことも注目を集めています。2年債利回りが配当利回りを上回るの2008年以来のことで、金融危機発生後では初めてのことです。年初からの2年債利回りは1.9%台を推移していますが、配当利回りは株高の影響もあって1.8%前後に低下している模様です。
債券の利回りが配当利回りを上回ったことで、一部の投資家が株から債券へと運用先をシフトする可能性が指摘されおり、株式市場の変調が警戒されています。2年債利回りはこの1年で70bps以上上昇しており、米利上げペースが昨年と同じであれば、同程度の上昇が見込まれています。
最後に、米中貿易摩擦を背景に中国が米国債の購入ペースを低下または停止すると発言している点も気がかりです。中国からの発言が伝えられた10日には米国債が一時急落するなど市場も神経を尖らせており、FRBの金融政策にも影響が及ぶかもしれません。
