2017年の中国経済は7年ぶりに成長を加速する見通しです。ただし、2018年は急減速する恐れがあり、10-12月期の経済指標にはその徴候が現れていると中国版ベージュブックが警鐘を鳴らしています。
党大会終了で2018年は成長へのインセンティブが低下
2017年の中国のGDP成長率は6.8%と前年の6.7%から加速し、2010年以来、7年ぶりに成長を加速する見通しです。ただし、2017年は10月に5年に一度の党大会があった関係で政治的に高い成長が演出された可能性があり、2018年は急減速となる公算もありそうです。
米調査会社のチャイナ・ベージュブック・インターナショナル(CBB)がまとめた最新の調査リポートによると、賃金や雇用が伸び悩んでいることから、2018年の中国経済が大幅に減速する恐れがあると指摘しています。
調査は中国企業3300社を対象に実施されました。製造業を中心とした「オールドエコノミー」企業では、政府主導のインフラ投資により、建設と輸出が好調となり、生産能力と生産の拡大が続いてきました。しかし、党大会後、政府は企業債務削減の動きを積極的に進めるとしており、債務の抑制が景気の重しとなりそうです。
賃金と雇用、製造業受注の伸びが鈍化しているほか、在庫の急増や物価の弱含みも懸念されています。賃金と雇用は全体的に伸び悩んでいますが、特に小売業が最も大きな打撃を受けており、売上高の低迷、雇用の鈍化、キャッシュフローの悪化に直面しています。10-12月期の企業借入は前期から減少しており、銀行による「シャドーバンキング」も減少しています。自動車もこれまでの高水準から伸びが鈍化しており、衣料品やぜいたく品で在庫が急速に積み上がっています。
景気減速の背景として、10月に党大会を終え、経済成長を支える動機が乏しくなったことが挙げられています。習国家主席は党大会で、これまでのように成長を重視せず、金融リスクや環境、貧困への対応を約束しています。
インフラ投資、2018年に大幅減速?債務抑制で経済成長に逆風
中国では政府主導で債務リスクの軽減に取り組んでいることから、2017年に活況を呈してきた道路や橋、地下鉄建設は2018年に大きく減速する見通しで、経済成長にとって逆風となりそうです。
ブルームバーグの調査によると、中国の2018年のインフラ向け固定資産投資は12%増と2017年1-10月累計の約20%増から鈍化する見通しです。調査対象のエコノミスト18人全員が減速を予想しており、モルガン・スタンレーやゴールドマン・サックス、UBSもリポートで同様のトレンドを予測しています。
10月の共産党大会後、当局が債務リスクの管理を重視したことで建設の鈍化が顕在化しています。中国では珍しく一部の都市の地下鉄プロジェクトが止められたほか、プロジェクトの資金調達で幅広く使われてきた手法、官民パートナーシップ(PPP)に対する審査も厳しくなっています。
モルガン・スタンレーのエコノミストは「中国はレバレッジ縮小や過剰生産能力の削減、汚染対策、不動産価格抑制の取り組みを強化している」と指摘。「このため、不動産やインフラ投資は鈍化し、中国経済は減速すると考えている」と述べています。
6.0%でも想定の範囲内?ハードランディング・シナリオを警戒
ロイターの調査によると、2018年の中国の成長率は6.4%に減速する見通しです。これはOECDが11月に公表した「世界経済見通し」での6.6%を下回っており、足元で予想が下振れていることが伺えます。
OECDは2016年11月に2017年を6.4%、2018年を6.1%と予想していました。この予測をベースラインにすると、2017年は予想外の高成長となり、2018年にその反動が起きた場合には6.0%前後までの下振れも想定の範囲内といえるかもしれません。
いづれにしても、2018年の展望として、中国のハードランディング・シナリオには用心したほうがよさそうです。
