11月の雇用統計では雇用者数が前月比14.0万人減と予想外に減少した。失業率は6.7%で横ばいとなった。雇用者数の減少は新型コロナ流行で経済活動が停止した4月以来、8カ月ぶりとなり、失業率の低下も止まった。ただ、ワクチンの普及や財政刺激策への期待感から米主要株価指数は高値の更新が続いている。
雇用者数、12月は14万人減 水準は2月を980万人下回る
11月の雇用統計では、非農業部門の雇用者数は前月比14万人減となり、市場予想の5万人増に反して減少した。12月の雇用者数は2月の水準を6.5%、980万人下回った。
業種別では、レジャー・ホスピタリティが49.8万減と大幅な落ち込みを示した。このうち、飲食業が37.2万人減と4分の3を占めた。娯楽・賭博・レクリエーション業では9.2万人、宿泊業では2.4万人それぞれ減少した。レジャー・ホスピタリティは2月の水準を23.2%、390万人下回った。
民間の教育部門で6万3000人減、同部門は2月の水準を45万人下回っている。
政府部門は4.5万人の減少となった。教育部門を除く州政府で3.2万人減、州政府の教育部門は2.0万人減少した。連邦政府は0.6万人増加した。
政府部門は2月の水準を130万人下回っている。
専門・ビジネスサービス業は16.1万人増となり、このうち派遣サービスが6.8万人増と最も大きく伸びた。専門・ビジネスサービスでの雇用者数は2月を85.8万人下回っている。
小売業は12.1万人増となり、スーパーが5.9万人増と約半数を占めた。オンラインストアで1.4万人、自動車ディーラーで1.3万人、健康・日用品店で1.0万人、食料品店で0.8万人それぞれ増加した。小売業での雇用者数は2月を41.1万人下回っている。
建設業では5.1万人増加したが、2月を22.6万人下回っている。
運輸・物流業は4.7万人増となり、宅配業が3.7万人増と大半を占めた。運輸・物流業は2月の水準を8.9万人下回っているが、宅配業で同じ期間に22.2万人増加した。
平均時給は0.23ドル増の29.81ドル。週平均労働時間は0.1時間減の34.7時間だった。
10月分が4.4万人上方修正されて65.4万人増、11月分は9.1万人上方修正されて33.6万人増となり、2カ月合計では13.5万人の上方修正となった。
12月失業率は6.7%、前月から変わらず
11月の失業率は6.7%と前月から横ばいとなった。市場予想は6.8%だった。失業者数は1070万人だった。失業率は4月からは大きく低下したものの、2月の失業率3.5%、失業者数570万人からはほぼ2倍となっている。
失業率は、成人女子が6.3%に低下した。成人男子が6.4%、白人は6.0%、黒人は9.9%、アジア系は5.9%でほとんど変化はなかったが、ヒスパニック系は9.3%に上昇した。
一時解雇者は27.7万人増の300万人となり、4月の1800万人から大きく減少しているものの、2月を230万人上回っている。一方、通常の失業者は前月から34.8万人減の340万人となったが、2月を210万人上回った。
失業期間が5週未満の失業者数は44.9万人増の290万人となった。一方、15~26週は30.3万人減の160万人だった。27週以上の長期失業者は400万人でほぼ変わらずとなったが、2月を280万人上回り、全体の37.1%を占めた。
労働参加率は横ばいの61.5%となり、2月を1.8ポイント下回った。雇用率もほぼ横ばいの57.4%となり、2月を3.7ポイント下回った。
フルタイムを希望しているが、見つからないなどの理由でパートタイムで働く経済的理由でのパートタイマーは47.1万人減と620万人となった。4月を1090万人下回る一方で、2月を180万人上回った。
求職活動をしていないことから、労働人口にも失業者にもカウントされない非労働人口は前月からほぼ変わらずの730万人となり、2月を230万人上回った。このうち、過去12カ月以内に求職活動をしていたが、最近4週間では活動をしていない周縁労働者は220万人で、前月からほぼ変わらずとなった。
新型コロナの影響で在宅勤務をしている就業者は全体の23.7%で10月の21.8%から上昇した。新型コロナの影響で職場が閉鎖となり、まったく仕事をしていないかごく限られた勤務に従事している人は1580万人で11月から100万人増えた。このうち12.8%には少なくとも給与の一部が支払われ、11月からほぼ横ばいとなった。
約460万人が新型コロナの影響で職探しができない状態にあり、11月の約390万人から増加した。こうした人たちは職探しをしていないことから失業者にはカウントされていない。
失業保険申請は高止まり、ワクチン普及と景気対策への期待で株価上昇
1月2日までの1週間の失業保険申請件数は78.7万件と前週の79万件から0.3万件減少した。減少は3週連続となり、市場予想の80万件も下回った。12月26日までの週の失業保険受給者数は507万件で前週から12.6万件減少した。市場予想は520万人だった。
新型コロナウイルス感染者数が急増していることから、米主要都市の多くでコロナ対策での活動制限が再導入されており、短期的な雇用情勢の悪化が危惧されている。直近のデータでは、失業保険の申請件数が予想外の減少となったが、年末年始の季節要因が影響した可能があり、季節調整前の数字は前週比7.7万件増の92.2万件だった。
1月8日時点でのGDPナウは10-12月期のGDPを前期比年率8.7%増と予想。1月8日時点のナウキャストは2.22%増を見込んでいる。
米食品医薬品局(FDA)は12月11日、米製薬大手ファイザーと独バイオ企業ビオンテックが共同開発したコロナワクチンの緊急使用許可を承認し、14日から接種を開始した。12月18日には米バイオ医薬品企業モデルナが開発したコロナワクチンについても緊急使用許可を承認し、21日から接種が開始された。
配送上の問題や副反応への警戒感などから、当初の予定ほど接種は進んでいないものの、バイデン次期政権はワクチンの配布拡大に最優先で取り組む構えを見せている。ワクチンの高い予防効果を引き出すには1人2回の接種が必要だが、1回目の接種を優先して2回目のための保管分を放出する方針を明らかにした。ファイザーやモデルナのワクチンは3~4週間空けて2回の接種が前提となっていた。接種人数は増えるが、2回目の接種が遅れ、効果が低下するリスクがある。
米議会上下両院は12月21日、9000億ドル(約93兆円)規模の新型コロナウイルス追加経済支援策の採決を行い、賛成多数で可決した。ワクチンの普及と景気刺激策による景気浮揚への期待感を背景に、雇用情勢が悪化する中でも米主要株価指数は高値の更新が続いている。
