6月FOMCの結果を受けて、市場では次回7月会合での利下げ期待が高まり、米株価を過去最高値へと導いた。
「忍耐強く」との文言削除 前回会合から状況が大きく変化
6月18日・19日に開かれた米連邦公開市場委員会(FOMC)では、声明文から金利調整に当たり「忍耐強く」対処するとの文言が削除された。
この忍耐強くとの文言は幅広く解釈することができるが、これまでの流れでは利上げに対する慎重姿勢と捉えられてきた。
忍耐強くとの文言が外れたことで、市場は近い将来に米連邦準備制度理事会(FRB)が金融政策を変更するとの匂いを嗅ぎつけた。
FRBのパウエル議長は、FOMC後の記者会見で、「7週間前の雇用統計は力強く、前回FOMCの時点では米経済やFRBの政策は良好だという感触があった」とした上で、「その後、貿易に関するニュースが心理に影響する重要な要素となった」と述べた。また、インフレ率の低下は一時的との見方も示さなかった。
FOMCでは投票権を持つ10人のうち9人が据え置きを支持。セントルイス地区連銀のジェームズ・ブラード総裁が利下げを求め、唯一、反対票を投じた。ジェローム・パウエル氏が2018年2月に議長に就任して以降、反対票が出たのはこれが初めて。
こうした状況から、前回会合後に状況が大きく変化し、政策スタンスのハト派シフトが鮮明化した。
7月利下げ確率100%
CMEのフェドウォッチによると、6月21日現在で7月FOMCでの利下げが100%織り込まれている。0.25%ポイントの利下げが72%、0.50%ポイントが28%となっており、0.5%を見込む声はFOMC前の18%から10%ポイント上昇した。
今回のFOMCでは17人の政策当局者のうち7人が年末までに政策金利を0.5%ポイント引き下げることが適切になるとの見解を表明。また、1人が0.25%ポイントの利下げが適切との見方を示した。前回は6人が利上げを見込み、利下げを適切と考える当局者はゼロだった。長期のFF金利見通しは2.80%から2.50%に引き下げられた。
インフレ率見通しは、今年が1.5%、来年は1.9%となり、20年も2.0%の目標を達成できないと見込みとなった。前回3月の見通しでは、19年が1.8%、20年は2.0%だった。
このように、市場もFRBも利下げモード入りしたことが数字からも明らかとなった。
中国と貿易合意でも利下げの可能性排除せず
FRBが利下げに傾いた理由として、米中貿易摩擦が挙げられているが問題はもっと根深い。設備投資が減速している背景として、関税の直接的な影響よりもトランプ外交への不信感があるとみられているからだ。
例えば、メキシコに対して移民問題の解決を迫るために関税を利用しており、不公正な貿易慣行の是正ではない。このように、関税が外交の武器として利用されていることから、今後どのような問題に関税が利用されるのかまったく見通しがただず、このことが設備投資の減少を招いている。
パウエル議長は、会見で米中貿易協議が合意に達したとしても、利下げの可能性を排除しないと述べている。欧州にほ英国のEU離脱(ブレグジット)を巡る不透明感が残るほか、米国が欧州車に25%の関税を課す可能性はまだ残されている。
トランプ政権は5月に欧州製や日本製の自動車に対する25%の関税発動を180日延期した。
世界的に生産活動が鈍化しており、米中貿易協議合意に達したとしても、トランプ政権が関税を外交政策の一環として利用し続ける限り、生産の停滞が続く恐れがありそうだ。
