3月の雇用統計では雇用者数が前月比43.1万人増と、市場予想の49万人増を下回った。一方、失業率は前月の3.8%から3.6%に低下し、市場予想の3.7%よりも改善した。堅調な結果を受けて株式市場は上昇した。失業率とインフレ率がトレードオフの関係にある旧ノーマルが復活しており、5月FOMCでは0.5ポイントの利上げが見込まれている。
雇用者数、3月は43.1万人増 市場予想は下回る
3月の雇用統計では、非農業部門の雇用者数は前月比43.1万人増となり、市場予想の49万人増には届かなかった。1-3月期は月平均で56.2万増加となり2021年の月平均に並んだ。3月の水準は新型コロナウイルス流行前の2020年2月を160万人(1.0%)下回っている。
業種別では、レジャー・ホスピタリティ、専門・ビジネスサービス業、小売業、製造業でで主に増加した。
レジャー・ホスピタリティでは3月に11.2万人増加した。飲食サービス業が6.1万人増、宿泊が2.5万人増と好調だった。レジャー・ホスピタリティは20年2月と比べると150万人(8.7%)減少している。
専門・ビジネスサービス業は10.2万人増加した。ビル・住居サービス(2.2万人増)、会計サービス(1.8万人増)、経営・技術コンサルタント(1.5万人増)、コンピュータシステム(1.2万人増)、 研究開発サービス(0.5万人増)などが好調だった。専門・ビジネスサービス業は20年2月の水準を72.3万人上回っている。
小売業では4.9万人増加した。総合スーパー(2.0万人増)、食料品店(1.8万人増)などが好調だった。一方、ヘルスケア・日用品店では0.5万人減少した。小売業は20年2月の水準を27.8万人上回っている。
製造業では3.8万人増加した。耐久財では2.2万人の増加となり、輸送機器(1.1万人増)や電子機器(0.4万人増)などが好調だった。非耐久財では1.6万人増加した。製造業は20年2月の水準を12.8万人(1.0%)下回っている。
平均時給は前月比0.13ドル増の31.73ドルだった。前年同月比では5.6%増加した。週平均労働時間は前月から0.1時間減の34.6時間だった。
1月分が2.3万人上方修正されて50.4万人増に、2月分は7.2万人上方修正されて75.0万人増となり、2カ月合計では9.5万人の上方修正となった。
3月失業率は3.6%、前月から0.2ポイント低下 予想上回る改善
3月の失業率は3.6%と前月から0.2ポイント低下し、市場予想の3.7%よりも大幅な改善を示した。失業者数は31.8万人減の600万人となった。コロナ流行前の20年2月は失業率が3.5%、失業者数は570万人だった。
失業率は、成人女子が3.3%に低下した。成人男子(3.4%)、ティーンエイジャー(10.0%)、白人(3.2%)、黒人(6.2%)、アジア系(2.8%)、ヒスパニック系(4.2%)は大きな変化はなかった。
失業者のうち、通常の失業者は140万人で、前月から19.1万人減少した。20年2月は130万人だった。一時解雇者は前月からほぼ変わらずの78.7万人で、20年2月とほぼ同じ水準に戻っている。
失業期間が27週以上の長期失業者は140万人で、前月から27.4万人減少した。長期失業者は全体の23.9%を占め、2020年2月の水準を30.7万人上回っている。
労働参加率は62.4%で前月からほぼ変わらずとなり、20年2月(63.4%)を下回った。雇用率は0.2ポイント上昇して60.1%となった。20年2月は61.2%だった。
フルタイムを希望しているが、見つからないなどの理由でパートタイムで働く経済的理由でのパートタイマーは420万人で前月からほぼ変わらずとなり、20年2月の水準とおおむね一致した。
求職活動をしていないことから、労働人口にも失業者にもカウントされない非労働人口は38.2万人増の570万人となった。2020年2月は500万人だった。このうち、過去12カ月以内に求職活動をしていたが、最近4週間では活動をしていない周縁労働者は140万人で、前月とほぼ同じだった。
新型コロナの影響で在宅勤務をしている就業者は全体の10.0%で、前月の13.0%から低下した。新型コロナの影響で職場が閉鎖となり、まったく仕事をしていないかごく限られた勤務に従事している人は250万人で前月の420万人から減少した。このうち15.4%には少なくとも給与の一部が支払われ、この割合は前月の20.3%から低下した。
87.4万人が新型コロナの影響で職探しができない状態にあり、数字は1月の120万人から減少した。こうした人たちは職探しをしていないことから失業者にはカウントされていない。
旧ノーマル復活、FRBは5月会合で0.50%利上げへ
3月の米消費者物価指数(CPI)の伸び率は前年同月比8.5%となり、前月の7.9%から伸びを加速し、市場予想の8.4%上昇を上回った。失業率がコロナ禍前の低水準に戻りつつある半面で、インフレ圧力が高まっており、これは低インフレと低失業率の共存を特徴とするニューノーマルが終焉し、失業とインフレのトレードオフで知られる旧ノーマルの復活を示唆している。
ニューヨーク連銀のウィリアムズは4月14日、5月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での0.5ポイントの利上げについて、「妥当な選択だ」との考えを示した。インフレ率の上昇は景気過熱の証左であり、失業率の低下は物価の上昇につながることから、3月の雇用統計の結果は米利上げスピードの加速を後押しすることになる。
シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループが発表しているフェデラル・ファンドレート(FFレート)先物市場が織り込む金利変更確度を示す「フェドウォッチ」によると、4月14日現在、5月会合での0.25ポイントの利上げ確率が9.0%、0.5ポイントが91.0%となっている。
