【9月米雇用統計】雇用者数は19.4万人増、失業率は4.8%に低下

9月の雇用統計では雇用者数が前月比19.4万人増にとどまり、市場予想を大幅に下回った。一方、失業は4.8%に改善し、市場予想よりも低下した。予想を下回る雇用の伸びを受けて、株式市場も軟調となったが、想定の範囲内との見方が優勢で、米連邦準備制度理事会(FRB)のテーパリング(資産の買い入れ規模縮小)開始見通しに変更はないようだ。

雇用者数、9月は19.4万人増 予想大きく下回る

9月の雇用統計では、非農業部門の雇用者数は前月比19.4万人増となり、市場予想の50万人増を大きく下回った。1-9月は平均で月56.1万人増となった。雇用者数は昨年4月以降の累計で1740万人増加したが、新型コロナウイルス流行前の昨年2月を500万人(3.3%)下回っている。

業種別では、レジャー・ホスピタリティ、専門・ビジネスサービス業、小売業、輸送・倉庫業で顕著に増加した。一方、公的な教育機関で減少した。

レジャー・ホスピタリティは7.4万人増加した。芸術・娯楽・遊戯施設が4.3万人増と引き続き大きく伸びた。1-7月は平均で月19.7万人増加していた飲食店は、2カ月連続でほぼ変わらずとなった。レジャー・ホスピタリティは昨年2月の水準を160万人(9.4%)下回っている。

専門・ビジネスサービス業は6.0万人増加した。エンジニアリングサービス(1.5万人増)、経営コンサルタント(1.5万人増)、コンピュータ関連サービス(0.9万人増)などで増えた。専門・ビジネスサービス業は昨年2月の水準を38.5万人下回っている。

小売業では5.6万人増加した。9月までの2カ月はほぼ変わらずとなっていた。衣料品店(2.7万人増)、百貨店(1.6万人増)、建材・園芸店(1.6万人増)などで増えた。一方、食料品店では1.2万人減少した。小売業での雇用者数は昨年2月の水準を20.2万人下回っている。

輸送・倉庫業は4.7万人の増加となり、9月までの2カ月間と同程度の伸びを維持した。倉庫業(1.6万人増)、宅配業者(1.3万人増)、航空輸送(1.0万人)などで増えた。輸送・倉庫業での雇用者数は昨年2月の水準を7.2万人上回っている。

教育関連では、州政府で14.4万人、地方自治体で1.7万人ぞれぞれ減少した。私立教育は1.9万人の減少だった。新学期のスタートに伴う雇用は大半が9月となる。今年は例年に比べて雇用が少なかったことが、季節調整後での減少につながった。コロナ流行の影響で、教育関連で、例年の季節的な増減員が見送られていることから、実勢の把握が困難になっている。教育関連での雇用者数は、昨年2月の水準に比べると地方自治体で31万人、州政府で19.4万人、私立で17.2万人それぞれ減少している。

平均時給は0.19ドル増の30.85ドルと、6カ月連続で増加した。ここ数カ月のデータは、経済活動の再開にともなう労働需要の高まりを受けて、賃金の上昇圧力が高まっていることを示唆している。

週平均労働時間は0.2時間増の34.8時間となった。

7月分が3.8万人分上方修正され109.1万人増、8月分は13.1万人分上方修正されて36.6万人増となり、2カ月合計では16.9万人の上方修正となった。

9月失業率は4.8%、前月から0.4ポイント低下 予想上回る改善

9月の失業率は4.8%と前月から0.4ポイント低下し、市場予想の5.1%よりも大幅な低下となった。失業者数は71万人減少して770万人となった。コロナ流行前の昨年2月は失業率が3.5%、失業者数は570万人だった。

失業率は、成人男子が4.7%、成人女子が4.2%、白人が4.2%、黒人が7.9%に低下した。一方、ティーンエイジャーは11.5%、アジア系は4.2%、ヒスパニック系は6.3%でそれぞれ前月から大きな変化はなかった。

失業者のうち、一時解雇者は110万人で前月からおおむね横ばいとなった。昨年4月のピーク1800万人から大きく減少しているものの、昨年2月を依然として37.4万人上回っている。通常の失業者は前月比23.6万人減の230万人で、昨年2月を95.3万人上回った。

失業期間が27週以上の長期失業者は49.6万減の270万人。長期失業者は昨年2月の水準を160万人上回り、全体の34.5%を占めた。5週未満の失業者数は220万人でほぼ変わらずだった。

労働参加率はほぼ横ばいの61.6%で、昨年6月以降のレンジ61.461.7%に収まった。9月は昨年2月を1.8ポイント下回った。雇用率は58.7%で前月からわずかに上昇した。昨年4月のボトム51.3%から持ち直しているものの、昨年2月の61.1%を依然として下回っている。

フルタイムを希望しているが、見つからないなどの理由でパートタイムで働く経済的理由でのパートタイマーは前月からほぼ横ばいの450万人となった。昨年2月に経済的理由で働いていたパートタイマーは440万人だった。

求職活動をしていないことから、労働人口にも失業者にもカウントされない非労働人口は600万人と前月からほぼ横ばいとなり、昨年2月を95.9万人を上回った。このうち、過去12カ月以内に求職活動をしていたが、最近4週間では活動をしていない周縁労働者は170万人で、前月からわずかに増加した。

新型コロナの影響で在宅勤務をしている就業者は全体の13.2%となり、前月からおおむね横ばいとなった。新型コロナの影響で職場が閉鎖となり、まったく仕事をしていないかごく限られた勤務に従事している人は500万人で8月の560万人から減少した。このうち15.5%には少なくとも給与の一部が支払われ、割合は8月からおおむね変わらずとなった。

160万人が新型コロナの影響で職探しができない状態にあり、数字は8月からほぼ横ばいとなった。こうした人たちは職探しをしていないことから失業者にはカウントされていない。

失業保険申請件数は34.6万件に減少、7-9月期成長率見通しは1.3

102日までの1週間の新規失業保険申請件数は34.6万件と、前週から3.8件減少した。市場予想では34.8万件が見込まれていた。

州別では、カリフォルニア、ミシガン、オハイオなどで減少した一方で、ペンシルベニア、バージニアなどで増加した。

失業保険の継続受給者は925日までの1週間で271.4万件となり、前週から9.7万件減少して20203月中旬以来の低水準となった。

米疾病対策センター(CDC)によると、1013日時点で米国内に配布された新型コロナワクチンは48900万本で、4400万本が投与された。人口の56.6%が接種を完了し、65.6%が少なくとも1回の投与を受けた。65歳以上では84.1%が接種を完了し、95.3%が少なくとも1回の投与を受けている。18歳以上では68%が接種を完了し、78.5%が少なくとも1回の投与を受けた。

108日時点でのGDPナウは7-9月期のGDPを前期比年率1.3%増と予想。景気拡大の勢いが鈍化している可能性を示唆した。

低調な雇用統計を受けて、株式市場は軟調に推移。ただし、米連邦準備制度理事会(FRB)の量的緩和縮小見通しに変更はなく、11月のテーパリング開始が規定路線となっている。