7月の雇用統計では雇用者数が前月比94.3人増と7カ月連続で増加し、失業率は0.5ポイント低下して5.4%に改善した。雇用者数と失業率は共に市場予想を上回る好結果となり、
新型コロナウイルスの変異株の流行にもかかわらず、米経済が堅調に拡大していることが確認され、株式市場ではダウ平均とS&P500が最高値を更新した。
雇用者数、7月は94.3万人増 水準は昨年2月を570万人下回る
7月の雇用統計では、非農業部門の雇用者数は前月比94.3万人増となり、市場予想の84.5万人増を上回った。2020年4月以降、雇用者数は累計で1670万人増加したが、20年2月の水準を570万人下回っている。
業種別では、レジャー・ホスピタリティが38万人増と大きく増えた。飲食業が25.3万人増と全体の3分の2を占めた。また、宿泊業で7.4万人、娯楽関連で5.3万人それぞれ増加した。レジャー・ホスピタリティでの就業者数は、ここ最近で急増しているものの、昨年2月を10.3%、170万人下回っている。
教育関連では、地方自治体で22.1万人、私立で49万人それぞれ増加した。コロナ流行の影響で、例年の季節的な増員が見送られたことから、同じく季節的なレイオフも実施されなかったことが季節調整値で見た7月の増加につながった可能性がある。教育関連での雇用者数は、昨年2月の水準に比べると地方自治体で20.5万人、私立で20.7万人それぞれ減少している。
専門・ビジネスサービス業は6万人増加。このうち、専門・技術サービスが4.3万人増となり、昨年2月から12.1万増加した。専門・ビジネスサービス業全体では昨年2月の水準を55.6万人下回った。
このほかでは、ヘルスケアで3.7万人、製造業で2.7万人、情報で2.4万人、金融業で2.2万人、鉱業で0.7万人、それぞれ増加した。
一方、小売業は0.6万人減とほぼ横ばいとなり、6月までの2カ月間の大幅増が一服した。小売業での雇用者数は昨年2月の水準を27万人下回っている。
平均時給は0.11ドル増の30.54ドルと、4カ月連続で増加した。こ数カ月のデータは、経済活動の再開にともなう労働需要の高まりを受けて、賃金の上昇圧力が高まっていることを示唆している。
週平均労働時間は34.8時間で、前月から横ばいとなった。
5月分が3.1万人分上方修正され61.4万人増、6月分は8.8万人分上方修正されて93.8人増となり、2カ月合計では11.9万人の上方修正となった。
7月失業率は5.4%、前月から0.5ポイント低下
7月の失業率は5.4%と前月から0.5ポイント低下した。市場予想では5.7%への低下が見込まれていた。失業者数は870万人で、前月から78.2万人減少した。コロナ流行前の昨年2月は失業率が3.5%、失業者数は570万人だった。
失業率は、成人男子が5.4%、成人女子が5.0%、白人が4.8%、黒人が8.2%、 ヒスパニック系が6.6%にそれぞれ低下した。ティーンエイジャーは9.6%、アジア系は5.3%となり、それぞれ前月から大きな変化はなかった。
失業者のうち、一時解雇者は57.2万人減の120万人で、昨年4月のピーク1800万人から大きく減少しているものの、昨年2月を依然として48.9万人上回っている。通常の失業者は前月比25.7万人減の290万人で、昨年2月を160万人上回った。
失業期間が27週以上の長期失業者は56万減の340万人。長期失業者は昨年2月の水準を230万人上回り、全体の39.3%を占めた。5週未満の失業者数は27.6万人増の230万人だった。
労働参加率はほぼ横ばいの61.7%で、昨年6月以降は61.4~61.7%のレンジ内で推移している。7月は昨年2月を1.6ポイント下回った。雇用率は0.4ポイント上昇の58.4%となり、昨年2月を2.7ポイント下回っものの、昨年12月からは1.0ポイント上昇した。
フルタイムを希望しているが、見つからないなどの理由でパートタイムで働く経済的理由でのパートタイマーは前月からほぼ横ばいの450万人となった。昨年2月に経済的理由で働いていたパートタイマーは440万人だった。
求職活動をしていないことから、労働人口にも失業者にもカウントされない非労働人口はほぼ変わらずの650万人となり、昨年2月を150万人上回った。このうち、過去12カ月以内に求職活動をしていたが、最近4週間では活動をしていない周縁労働者はほぼ変わらずの190万人で、昨年2月を43.5万人上回った。
新型コロナの影響で在宅勤務をしている就業者は全体の13.2%となり、6月の14.4%から低下した。新型コロナの影響で職場が閉鎖となり、まったく仕事をしていないかごく限られた勤務に従事している人は520万人で6月の620万人から減少した。このうち9.1%には少なくとも給与の一部が支払われ、割合は6月とほぼ同じとなった。
160万人が新型コロナの影響で職探しができない状態にあり、数字は6月からほぼ横ばいとなった。こうした人たちは職探しをしていないことから失業者にはカウントされていない。
失業保険申請件数は減少、米経済のコロナ耐久性を示唆
7月31日までの1週間の新規失業保険申請件数は38.5万件と、前週から1.4件減少した。
市場予想(38.4万件に減少)はわずかに上回ったものの、労働力不足を背景に、減少は2週連続となった。
州別では、新型コロナの感染が再拡大しているフロリダ州でも減少しており、感染力の強いとされているデルタ株の流行にもかかわらず、これまでのところ雇用が減少する兆しはうかがえず、コロナ再拡大に対して米経済が持ちこたえている様子が示された。
失業保険の継続受給者は7月24日までの1週間で392万件と、前週の329万件から減少し、コロナ流行後で最も低い水準に改善した。
米疾病対策センター(CDC)によると、8月8日時点で米国内に配布された新型コロナワクチンは4億7500万本余りで、約3億5100本が投与された。人口の50.1%が接種を完了し、58.7%が少なくとも1回の投与を受けた。65歳以上では80.4%が接種を完了し、90.5%が少なくとも1回の投与を受けている。18歳以上では61.1%が接種を完了し、71%が少なくとも1回の投与を受けた。
8月6日時点でのGDPナウは7-9月期のGDPを前期比年率6.0%増と予想。同じく8月6日時点のナウキャストは3.74%増と予想しており、堅調な拡大が続く見通しだ。
堅調な雇用統計を受けて、市場では米連邦準備制度理事会(FRB)の早期量的緩和縮見通しが強まり、債券利回りの上昇とドル高をもたらしている。とはいえ、主要株価指数は引き続き過去最高値の更新を続けており、株式市場は上昇基調を維持している。
