【3月米雇用統計結果】雇用者数-70.1万人、コロナ対策本格化前

3月の雇用統計では雇用者数、失業率ともに事前予想を大きく上回る悪化となった。外出自粛要請など、本格的なコロナ対策が敷かれる前の数字であり、コロナショックのインパクトをはかるには4月の雇用統計が待たれるが、3月時点でも深刻な影響の一端がうかがえる内容となった。

雇用者数は-70.1万人、雇用増加は113カ月で途切れる

3月の米雇用統計では、非農業部門の雇用者数は前月比-70.1万人と事前予想の-10万人を大きく上回る減少となった。過去2カ月分は合計で5.7万人分下方修正された。

雇用者数は12日を含む給与支払い期間に給与が支払われた雇用者を数えており、この数字はこの期間に発行された給与明細の数と一致する。労働省によると、約3分の1の雇用者が週次で給与を受け取っていて、2週間ごとの受け取りが最も一般的で40%超が当てはまる。月2回も約20%なので、6割強がおおむね2週間ごとに受け取っている計算だ。米国では月に1度(毎月)の受け取りは10%未満で、マイナーが受け取り方となる。

コロナ対策をめぐっては、ニューヨーク州が非常事態を宣言したのが37日、世界保健機関(WHO)がパンデミックを宣言したのが311日、トランプ氏が非常事態を宣言したのが313日、ニューヨークで外出制限が敷かれたのが22日となる。

新規失業保険申請件数の動きを見ると、14日終了週は前週比7万件増の281000件、21日週は328万件、28日週は665万件と桁違いの増加となっている。

3月の雇用者数の減少幅は20093月の80万人以来の大きさとなり、20109月から続いていた雇用の増加は113カ月で途切れた。

ソーシャルディスタンスへの取り組みから、最も打撃の受けたのはバー・レストランが含まれる娯楽・接客業が最も大きな打撃の受け45.9万人減少となった。このほか、ヘルスケアが6.1万人減、専門職が5.2万人減、小売業が4.6万人減となり、比較的大きな減少を示した。

失業率は0.9%ポイント上昇の4.4%、広義失業率は1.7%ポイント上昇の8.7

3月の失業率は4.4%となり、前月の3.5%から0.9%ポイント上昇した。市場予想は3.8%だった。1カ月での上昇幅は19751月以降で最大となった。

一時解雇は185万人と前月の80.1万人からほぼ2倍増。1カ月での増加幅は統計を取り始めた1960年代以降で最大。就業者数は298.7万人減少し、失業者数は714万人で前月から135.3万人増加した。非労働力人口が176.3万人増加したことで、失業率の上昇が抑制された。

失業保険の申請件数から、4月は2000万人近くが失業するともみられており、失業率は10%を突破するとの見方が増えている。

家計調査週は8-14日なので、外出制限が本格化する以前の数字となる。労働省は3月の結果について、失業者を正確に把握できていない可能性を指摘している。家計調査はアンケート調査となるが、回答者が質問の内容を誤解した可能性があるという。

雇用契約があっても8-14日の間に働いていない人は一時解雇に分類される。ただ、3月の雇用統計では、雇用されているが働かなった人のうち、その理由として「その他」を選んだ人が急増した。こうした人を一時解雇とみなすと、失業率は約1%ポイント上昇したと推計されている。

労働参加率は62.7%、0.7%ポイント低下。雇用率は60.0%と1.1%ポイント低下した。経済的理由でのパートタイム労働者は140万人増の580万人となった。

職探しをあきらめた人などを含む広義の失業率は8.7%と前年の7.0%から1.7%ポイント上昇した。

賃金の伸びは加速、低賃金労働者の減少で

平均時給の伸びは前月比0.4%増と前月の0.3%増から伸び率を加速した。前年同月比でも3.1%増と前月の3.0%増を上回った。比較的給与水準の低いレストランの従業員などが減少したことから、雇用者数が大幅に減少したにもかかわらず、平均時給はむしろ上昇した。

週平均労働時間は34.2時間と前月の34.4時間から低下し、2011年以来の低水準となった。

レジャー・接客業で1.4時間縮小しており、企業が解雇前に労働時間の短縮に動いた可能性を示唆した。

大恐慌以来の景気後退へ

コロナショックの影響はリーマンショックを超え、大恐慌に匹敵する景気後退が訪れるとの見方が強まっている。

米議会予算局(CBO)は4-6月期は7%超のマイナスと予想。失業率は10%を突破すると予想した。

モルガンスタンレーは1-3月期のGDP成長率をマイナス3.4%、4-6月期をマイナス38%、2020年通年ではマイナス5.5%と予想した。また、失業率は4-6月期に15.7%でピークと予想した。

ゴールドマンサックスは1-3月期をマイナス9%、4-6月期のGDP成長率はマイナス34%と予想。失業率は年央までに15%に上昇すると予想した。ただ、7-9月のGDPはプラス19%とV字回復を見込んでいる。