1月の米雇用統計では雇用者数の増加が市場予想を上回った一方で、賃金の伸びは予想を下回った。予想を上回る雇用者数の伸びは、3月FOMCでの金利据え置き見通しを支持した。ただ、年次改定で雇用者数が大幅に下方修正されたことで、算出方法に課題があることが浮き彫りとなったほか、雇用情勢の先行き不安も示された。
雇用者数は+22.5万人、増勢加速で景気に安心感
1月の米雇用統計では、非農業部門の雇用者数は前月比+22.5万人と事前予想の+15.8万人を大きく上回った。過去2カ月分は合計で0.7万人上方改定され、基調的な動きの目安とされる3カ月間の平均値は+21.1万人と、12月の+19.8万人から増勢を加速させた。ただ、11月の+21.8万人と比べると増勢は鈍化した。
年次改定の影響で2019年の雇用者数の増加は、従来の+268万人から+231万人に下方修正された。月平均では+17.5万人となった。事後的には、1月の結果は2019年での平均的な伸びを上回るスピードとなった。
雇用者数の増加幅が予想を上回ったことで、FRBの金利据え置きが支持される格好となった。
ただ、年次改定では、2019年3月の雇用者数が51.4万人分下方修正された。修正幅は2009年以来の大きさとなり、算出方法に問題がある可能性を示唆した。雇用情勢が減速する局面では、雇用者数が実際より多く見積もられる傾向があるとの見方もあることから、大幅な下方修正は労働市場のピークアウトを示している公算もありそうだ。
製造業は低迷を継続、小売りも弱い
1月は製造業で-1.2万人となり、低迷が継続していることを示した。ゼネラル・モーターズ(GM)が9月中旬から約4.6万人のストに突入し、10月下旬に解除された影響で、10月は-4.5万人、11月は+5.8万人と基調的な動きが見えにくくなっていたが、12月の-0.5万人に続き、1月は2カ月連続でマイナスとなった。
米供給管理協会(ISM)が3日発表した1月の製造業総合景況指数は50.9と、12月の47.8から上昇し、6カ月ぶりに判断の分かれ目となる50を上回った。1月は、米中が「第1段階」の通商合意で署名したことが心理的な改善を促した。ただ、運航停止中のボーイング737型機は依然として運用再開のめどが立っていないほか、中国で発生した新型ウイルスの感染拡大で、中国では工場の稼働停止が相次いでいる。
小売りも弱く、前月から8300人減少した。12月は+4.49万人と盛り返したが、製造業と同様に基調的な減少が続いている。
一方、ヘルスケアが+4.72万人と大きく伸びたほか、建設や輸送も好調だった。
失業率は3.6%で0.1%ポイント上昇、労働参加率も上昇
1月の失業率は3.6%で、1969年12月以来、半世紀ぶりの低水準を維持した12月の3.5%から0.1%ポイント上昇した。
年次改定の影響を調整した就業者数は+41.8万人と大幅に増加したが、失業者も+15.6万人となったことが失業率に響いた。
労働力人口が+57.4万人、非労働力人口は-44.2万人となり、労働参加率は0.2%ポイント上昇して、64.3%となった。労働参加率は2013年以来の高水準となった。
1月にやむなくパートタイム職に就いていた人の数は41.8万人と前年同月から9.3万人減少した。周縁労働者は13.4万人と1年前と比べ1.6万人減少した。職探しをあきらめた人は33.7万人と、前年同月から8.1万人減少した。
やむなくパートタイム職に就いている人や職探しを諦めた人も含む広義の失業率は6.9%と、12月の6.7%から上昇した。前年同月は8.0%だった。
賃金の伸びは前月比で加速、予想は下回る
12月の平均時給の伸びは前月比+0.2%と前月の+0.1%から加速した。ただ、予想の+0.3%には届かなかった。前年同月比では+3.1%と12月の+3.0%から加速した。
賃金の伸びに弾みがつかない状況が続いているものの、インフレ圧力も低いことから、賃金の伸びはインフレ率を上回り続けており、個人消費の下支え要因となっているもよう。
週平均労働時間は34.3時間と前月と同じだった。
3月FOMCでの金利据え置き確率は約90%で変わらず
1月雇用統計の結果を受けて、市場の3月米連邦公開市場委員会(FOMC)での金利見通しに大きな変化はなかった。
CMEグループによると、2月7日時点での3月FOMCでの金利据え置き確率は89%と、雇用統計発表前とほぼ同じとなっている。
ただ、堅調な雇用情勢がFRBの金利据え置き見通しを支持する一方で、新型肺炎の影響で利下げが催促される可能性が高まっている。
