S&P500は28.9%高で2019年を終えた。年間の上昇率では2013年以来の伸びとなる。2018年に下落した反動もあるが、ややスピード違反であった観も否めず、ウォール街の2020年の米株式市場の展望はかなり控え目だ。
2020年の上値余地は2.8%、インフレ圧力強まり金利上昇へ
2019年のS&P500は3230.78で引けた。バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチが機関投資家約200人を対象に、12月6日~12日にかけて実施した12月のファンドマネジャー調査によると、S&P500は3322でピークに達すると予想された。これは、S&P500の上値余地がわずか2.8%しかないことを意味する。
機関投資家は米株式市場はほぼピークに達したとみていることが分かった。
一方、インフレ圧力が強まり、米10年債利回りは2.71%まで上昇する可能性があるという。10年債利回りは2018年末の2.69%から昨年9月には一時1.4%台まで低下したが、12月30日現在は1.90%となっている。
景気や企業業績は蚊帳の外、金融相場が続く
過去2年がそうであったように、2020年も経済ファンダメンタルズや企業業績は脇役とみられている。
2018年は減税効果で企業業績が好調で、GDP成長率も2.9%と高成長を記録したが株価は下落。一方、2019年は7-9月期まで3四半期連続で減益となり、景気後退懸念はほぼ皆無とはいえ、7-9月期のGDP成長率は前年同期比2.1%に減速している。にもかかわらず、株価は急騰となった。
跡付けではあるが、こうした動きを主導したのはFRBだ。2018年の利上げ路線から一転し、2019年は3回の金利引き下げを実施した。米中貿易戦争がエスカレートする中で、トランプ政権の要求にあさりと屈する形で金融相場を演出している。
政治リスクを意識、現時点での予想は当てにならず
米バロンズ誌が10人のストラテジストに聞いた2020年の株価予想も平均でS&P500の上昇率はわずか4%程度と見込まれている。
経済のファンダメンタルズや企業業績が株価に反映されている様子がないことから、株式相場は米中貿易協議の行方や米大統領選挙の結果次第となり、ウォール街のアナリストは予想が難しいと頭を抱えている状態だ。
アナリストの多くがトランプ氏の再選が株式市場にとってはベストとしているが、4年前にはトランプ大統領誕生ならリーマン以上の大ショックと指摘していたことを踏まえると、この予想はまったくあてにならないだろう。
ウォーレン氏やサンダース氏が大統領となれば、株価に黄信号と指摘されているが、その心配もほとんどない。
クリントン氏やオバマ氏など、民主党には無名の若手が大統領に上り詰めた例が多くあり、こうした歴史の流れを踏襲するならば、ブーティジェッジ氏が最有力となるからだ。現職とは真逆の人物が選ばれる傾向があることも踏まえると、37歳の同氏の魅力はさらに増すことになりそうだ。
経済好調もFRBは動きにくい、株式市場は凪か
GDP成長率は鈍化しているものの、景気後退を予想する向きはほぼ皆無である。足もとで低迷が続いている製造業も2020年に持ち直すと期待されている。
鉱工業生産の先行指標としてウォール街が注目する、FRBの貸出担当者調査によると、2019年の春から夏にかけて融資態度が緩んでおり、これは2020年の上半期中に鉱工業生産が活発化することを示唆しているという。
好景気を維持した上で再選を果たせなかった大統領はいなかったことを踏まえると、景気見通しはトランプ氏の再選を後押ししている。
とはいえ、大統領選挙を目前に控えて、FRBは金融政策を変更しづらい。利上げ、利下げのいずれであっても、どちらかに加担したとの誹りを免れないからだ。ここ数年の金融相場を踏まえると、FRBが動かないのであれば、株式市場も上下どちらにも動きづらいことは確かだろう。
