9月の米雇用統計では、雇用者数は予想を小幅に下回ったものの、着実な伸びを示した。失業率は50年ぶりの低水準となり、総じて景気減速懸念を和らげる内容となった。結果を受けて、10月FOMCでの利下げ見通しに大きな変化はなく、市場は利下げを織り込んでいる。利下げ観測から株価は大きく上昇した。
雇用者数は+13.6万人、増勢鈍化を継続 景気減速を示唆
9月の米雇用統計では非農業部門の雇用者数が前月比+13.6万人と事前予想の+14.5万人に届かなかった。過去2カ月分は合計で4.5万人上方改定され、基調的な動きの目安とされる3カ月間の平均値は+15.7万人と、8月の+17.1万人、前年9月の+18.9万人から鈍化した。2018年は月平均で+22.3万人だった。
人口の増加を吸収するのに必要な雇用の伸びは10万人程度と考えられていることから、景気後退を回避するには十分な伸びを維持しているが、増勢の緩やかな鈍化を継続した。
製造業の低迷続く、サービスにも波及の兆し 小売業は8カ月連続減
9月は製造業での雇用者数が-0.2万人と、3月以来、今年2回目の減少となった。年初からの累計は+4.1万人で、前年の同じ期間の+18.8万人を大きく下回っている。また、小売業は-1.1万人と、8カ月連続で減少した。
ゼネラル・モーターズ(GM)では9月15日から約4万6000人がストに突入した。今回の統計には反映されていないが、来月発表される9月の改定値で製造業の雇用者数は下げ幅を拡大することになりそうだ。また、10月分以降の数字にも影響する可能性がある。
米供給管理協会(ISM)が1日発表した9月の製造業総合景況指数は、2カ月連続で活動の縮小を示した。8月に3年ぶりに判断の分かれ目となる50を下回ったが、9月は一段と低下し、製造業の活動がさらに弱まったことが示された。
9月は非製造業指数も予想以上の低下となり、製造業からサービス業にも低迷が波及している様子が浮き彫りとなった。
民間部門の低調続く、9月政府部門は+2.2万人
9月の政府部門の雇用者数は+2.2万人となり、このうち0.1万人は2020年の国勢調査に向けた臨時雇用だった。8月は2.5万人が臨時雇用されていた。
民間に限ると、9月の雇用者数は+10.9万人と、8月の+12.1万人、7月の+12.6万人から減少した。3カ月平均で見ると、9月は+11.9万人と、8月の13.5万人から鈍化し、昨年9月の+17.6万人を大きく下回った。
失業率は3.5%に低下、50年ぶりの低水準に
9月の失業率は3.5%と前月の3.7%から0.2%ポイント低下した。同じく3.5%だった1969年12月以来、50年ぶりの低い水準となった。
9月の家計調査では就業者数が+39.1万人、失業者数は-27.5万人、非労働力人口は+8.9万人となった。労働参加率は63.2%と前月と同じだった。
米国では、中小企業を中心に人手不足が深刻化しており、適当な人材を見つけづらくなっている。
賃金の伸びは予想に届かず、労働時間も縮小
9月の平均時給の伸びは前月比横ばい、前年同月比+2.9%と、市場予想の+0.2%、+3.2%に届かなかった。8月は+0.4%、+3.2%だった。
週平均労働時間は34.4時間と前月と同じだった。
平均時給の伸びが3.0%を下回るのは14カ月ぶりのこと。ただ、インフレ率が低いことから実質賃金がプラスを維持していることは明るい材料だ。
人材不足から、企業は未経験者の採用を余儀なくされており、賃金の伸び鈍化につながっているようだ。
利下げ確率はほぼ変わらず、10月FOMCで0.25%利下げへ
9月ISM指数の結果を受けて、10月米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げムードが一気に広まった。
CMEグループによると、9月30日時点での10月FOMCでの0.25%ポイントの利下げ確率は40%だったが、10月3日には89%にまで高まった。
9月雇用統計発表後、利下げ確率は78%にまで低下したが、利下げはほぼ織り込まれた格好だ。利下げ観測が維持されたことから、4日の米株式市場は大幅高で引けた。
ただ、月末近くのFOMCまでにはまだ時間がある。今後発表される経済指標では利下げ見送りもありうるだろう。また、来週には米中貿易協議が予定されているほか、企業の7-9月期決算も本格化する。企業決算では、3四半期連続での減益が見込まれており、業績リセッションからの脱却に向けて業績見通しにも注目が集まりそうだ。
