4月の米雇用統計では雇用者数の伸びが予想を大きく上回ったが、賃金の伸びは予想に届かず、強弱まちまちの内容となった。
雇用者数は+26.3万人、増勢鈍化は一時的か
4月の米雇用統計では非農業部門の雇用者数が前月比+26.3万人と事前予想の18.5万人を大きく上回った。
基調的な動きの目安とされる3カ月間の平均値は+16.9万人に減速したものの、人口の増加を吸収するのに必要な雇用の伸びは10万人程度と考えられていることから、基調的な数字も依然として堅調を維持している。2月の+5.6万人が例外的に低かった可能性が高まっており、3月・4月の強い数字を踏まえると、3カ月平均も今後は持ち直す公算が大きくなっている。
失業率は3.6%、49年ぶりの低水準
4月の失業率は3.6%と前月の3.8%から0.2%ポイント低下し、1969年12月以来、約49年ぶりの水準へと改善した。米連邦準備制度理事会(FRB)は年末の失業率を3.7%と見込んでおり、4月はこの水準を下回った。
とはいえ、内容は芳しくない。事業所調査では雇用者数が大きく増加した一方で、家計調査での就業者数は前月比-10.3万人と減っている。労働参加率は62.8%と前月の63.0%から0.2%ポイント低下。2月の63.2%と比べると0.4%ポイント低下した。4月は非労働力人口が+64.6万人と急増し、失業者が38.7万人減っている。これらの数字は仕事が見つからず、職探しを諦めたことを示唆している。
正社員を希望しながらもパートしか見つからない労働者などを含む広義の失業率は7.3%と前月と同じだった。
企業が求める人材と、仕事を求める労働者のスキルに差があり、求人側と求職者側の要望が一致しない雇用のミスマッチが起きているようだ。
賃金の伸びは予想に届かず、労働時間も縮小
4月の平均時給の伸びは前月比+0.2%と事前予想の+0.3%に届かなかった。また、4月の周平均労働時間は34.4時間と前月の34.5時間から縮小した。労働時間の短縮は平均時給を押し上げる効果があるので、平均時給の伸びは数字以上に弱いと判断できそうだ。
また、労働時間の短縮は人員削減と同じ効果が指摘されており、実質的な雇用の伸びは数字ほどではない可能性もある。
ヘッドラインは完璧だが内容に不安、年内利下げを警戒も
雇用の大幅な伸びと失業率の低下というヘッドラインの数字のみで判断するなら、FRBが年内に利上げ再開してもおかしくはない数字が並んだ。
ただ、賃金の伸びが緩慢で、足もとでのインフレ率の低さも合わせて考えると、利上げ再開のハードルは高いと言えそうだ。
さらに、労働参加率の低下が雇用のミスマッチを示唆しており、個人消費にネガティブな影響を与える恐れもある。実際に消費が弱含むようだと、利下げを余儀なくされるかもしれない。
