【1月米雇用統計結果】賃金加速で株価急落、金利上昇でドルは全面高に

1月の米雇用統計では賃金の伸びが予想外の上昇となったことから、米長期金利が急上昇となり、金利上昇を嫌気して株価が急落した一方で、ドルが全面高となりました。

賃金加速で金利が急騰、ドルは全面高に

1月の米雇用統計では雇用者数が前月比+20.0万人、失業率が4.1%、賃金の伸びが前年同月比+2.9%となりました。

寒波の影響で雇用者数の伸びが下振れるとの見方もありましたが、結果は事前予想の+18.0万人を上回り、うれしい誤算となりました。

また、+2.7%が見込まれていた賃金の伸びが+2.9%と2009年6月以来の高い伸びとなったことも大きなサプライズとなりました。

10-12月期の米雇用コスト指数が前年同期比+2.6%と2015年1-3月期以来の大きな伸びとなり、労働市場のひっ迫が賃金の上昇につながっている可能性が示される中、1月の雇用統計でも賃金の伸びが加速していることが確認されました。

FRBは2%の物価目標のために必要な賃金の伸びとして+3.0%を見込んでおり、1月の数字は近い将来に目標の達成が十分に可能であることをうかがわせています。

1月のFOMCで物価目標の達成に自信が示されたこともあり、インフレ見通しは急速に強まっているようで、米10年債利回りも2.8%台半ばまで上昇しています。

金利の上昇を嫌気して米株価が急落となり、ダウ平均は666ドル安と金融危機からの回復以降で最大の下げ幅を記録しています。一方、金利上昇で魅力を高めたドルは対ユーロや対円など、主要通貨に対して全面高となりました。

賃金の伸びは寒波が影響も?非管理職では伸びは横ばい

サプライズを巻き起こした賃金の伸びですが、いくつかの留意点が指摘されています。

まず、週間の労働時間が低下している点です。1月の雇用統計調査週には米北東部を爆弾低気圧が襲っており、記録的な寒波が訪れた影響で労働時間が短縮された可能性があります。仮に、週払いでの賃金が固定されていた場合には単位時間当たりの賃金が上昇することになります。

また、時間当たり賃金が伸びているにもかかわらず、労働時間が低下したことから週ベースでの賃金は低下しています。結局のところ、所得が伸びておらず、この意味では賃金も伸びていないといえます。

加えて、非管理職の賃金の伸びは+2.4%と前月から横ばいとなっており、賃金の伸びは管理職以上の高所得層に限られていたことを示唆しています。金融危機以前でみると、たとえば2008年1月の賃金の伸びは全体の+2.9%に対し、非管理職では+3.8%と全体の伸びを大きく上回っていました。

非管理職の賃金の伸びが比較的低いことから、賃金の伸びが幅広い層に浸透していない恐れがあります。労働時間が減っていること、また非管理職では賃金が伸びていない点は来月以降の雇用統計での注目ポイントとなりそうです。

雇用の拡大も限界へ、年内景気後退の可能性を警戒

2018年に入ったことから、基礎統計が変更となり、失業率の算定に利用されている家計調査は12月と1月で連続性がありません。

たとえば、1月の就業者数は前月比+40.9万人となっていますが、統計変更の影響を除くと+9.1万人となります。同様に失業者数は+10.8万人ですが、調整後は+9.3万人となります。

このように、家計調査の数字はやや不安定な面も否めず、割り引いて考える必要があるかもしれませんが、いくつかの不安材料が指摘できます。

まず、失業率ですが、1月は4.1%と昨年10月以降4カ月連続で同じ数字が並んでいます。また、広義の失業率をみると1月は8.2%とこちらは2カ月連続で上昇しています。特に、黒人の失業率は7.7%と前月の6.8%から跳ね上がっています。また、1月は失業者数が増加している中、兼業者数が19.8万人も増えています。

米雇用動態調査では、求人数が昨年9月をピークに11月まで2カ月連続で減少しており、11月は採用数も減っています。

こした数字は雇用の拡大もそろそろ限界に近づいていることを匂わせています。こうした中、FRBが金融正常化に前向きに取り組む姿勢を崩していないことから、利上げペースの加速で景気にブケーキがかかり、年内に景気後退が始まる可能性もあるのではないか、との警戒感が広がっているようです。