次期FRB議長にパウエル氏を指名、“トランプのFRB”へ前進

トランプ大統領は2日、次期FRB議長にパウエルFRB理事を指名しました。議長が決まったことで関心は副議長を含む残り3名の理事の人選に移っています。また、イエレン議長の身の振り方も注目されています。

パウエル氏の承認に複雑な思いも

パウエル氏は共和党員でありながら民主党のオバマ政権下で理事に指名されるという複雑な経緯を経ています。

2012年に任期途中の理事の後任として、上院で賛成74票、反対21票で承認された後、2014年には改めて理事として賛成67票、反対24票で再任されています。ただし、それぞれの採決で反対したのは1名を除いてすべて共和党員であり、上院を束ねるマコネル上院院内総務もその1人でした。

共和党は上院(定員100名)で過半数を超える52議席を占めており、パウエル氏が承認されることは間違い模様ですが、かつては反対回った共和党議員のなかには複雑な思いで賛成票を投じる人もいることでしょう。

複雑な事情はあるにせよ、パウエル氏の指名は1期目の大統領は現職の議長を再任してきたこれまでの慣例を破るものであり、“トランプのFRB”への前進をほのめかしています。

焦点は副議長の人選に、テイラー氏に注目か

フィッシャー副議長が10月で辞任したことから、FRBは7名の理事のうち副議長ポストを含む3名が空席となっています。議長の椅子を争ったスタンフォード大学のテイラー教授は副議長の候補にも挙げられており、行方が注目されています。コーンNEC委員長によると、副議長は年内に指名される見通しです。

共和党はFRBが採用している“裁量的”な金融政策には批判的であり、“ルール・ベース”の導入を望んでいます。テイラー教授は“テイラー・ルール”と呼ばれるルール・ベースの金融政策の発案者として知られていますので、同教授が副議長となればルール・ベース導入の流れが強まることになりそうです。

トランプ政権下ではクオールズ理事(銀行監督担当副議長)が既に承認されていますが、同理事はテイラー・ルールの支持者です。テイラー氏が副議長に指名されなかったとしても、テイラー・ルールの支持者が指名された場合には、やはりルール・ベースの導入を後押しすることになります。したがって、どのような人選になろうとも、テイラー・ルールの支持者がどうかという点は大きなポイントとなりそうです。

イエレン議長の去就にも注目

CNBCのフェドウォッチでは、パウエル氏が次期議長に指名されると予想しながらも、「誰がなるべきか」との質問には44%がイエレン議長と答えています。パウエル氏は17%にとどまっており、ウォール街ではイエレン議長が高い支持を集めていたことが伺えます。

ムニューシン財務長官は8日、イエレン議長が「FRBに残るかどうか決めかねている」と発言しています。イエレン議長は、議長としての任期は来年2月で切れますが、理事としての任期は2024年まであり、本人が望めば理事として残ることは可能です。

慣例的には議長の交代と同時に理事も退任していることから、イエレン氏がFRBに残る公算は小さいと考えられます。ただ、1期4年という異例の短さでの交代の影には政治的な圧力があったことは否めません。また、同氏はトランプ政権と共和党議会が進める金融規制の緩和に強い懸念を表明しています。こうしたことを踏まえると、政治的な圧力に対する危機感から理事として残るという選択肢もあるのかもしれません。