米銀が相次いで株価の調整を警告、年末年始に10%以上の下落も

連日の最高値更新に沸く米株式市場ですが、米大手行からは相次いで株価の調整見通しが出ており、先行きに対しては慎重な見方が増えているようです。

株価の調整を引き起こす10のリスト

バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチ(BAML)は19日、顧客向けのリポートでサンクスギビングデーからバレンタインデーまでの間に10%以上の株価の調整が訪れると予想しました。

BAMLは急落のきっかけとして10のリストを挙げて警鐘を鳴らしています。

1. BAMLが算出しているブルベア指数が短期的な“売り”サインである8を超えたとき(現在は7.4)。2001年以降で“売り”サインが出たのは11回で、その後のMSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(ACWI)の騰落率は平均で1カ月後が-5.9%、2カ月後が-8.5%、3カ月後が-12.0%だった。

2. 低いキャッシュ比率。今後2~3カ月の間にBAMLファンドマネージャー調査でキャッシュ比率が現在の4.7%から4.2%へ低下したとき。

3. 株への投資比率の高さ。GWIMの株式への投資比率が過去最高の63%を超えたとき(現在は60.6%)。

4. テクノロジーへの高依存度。GWIMのFAANGへの投資比率がS&P500の12.9%を超えたとき(現在は9.9%)。

5. 製造業の失速。ISM製造業指数が52への急落したとき。(3カ月平均、現在は58.6)。

6. 中銀のバランスシート。BAMLはG4の中銀のバランスシートは来年3月に15.3兆ドルでピークを迎えると予想。このピークを見越して株価の調整が始まる可能性がある。

7. ユーロ圏での国債スプレッド。イタリアとドイツの10年債利回り格差が200bpsを超えたとき(現在は165bps)。スペインも同様(現在は122bps)。

8. 税制改革。税制改革が成立してしまうと、相場を押し上げる材料がなくなる。残ったのはFRBの金融正常化のみとなり、“うわさで買って、事実で売る”ことになりかねない。

9. 賃金とインフレ。賃金の上昇率が3.5%、インフレ率が2.5%になり、金利が上昇してボラティリティが高まったとき。

10. 1987年の再来。1987年や1998年と同様に、いったん下落が始まると、恐怖心からパッシブな投資家やリスク中立なファンドまでが手じまい売りに走り、ボラティリティの売り手が買い戻しに追い込まれるなど、構造的なイベントも脅威となる。

金利のボラティリティに注意

BAMLは「景気後退が起きないと仮定した場合、急落のきっかけは賃金とインフレの上昇となる可能性が高く、米連邦準備理事会(FRB)の金融引き締めに対する警戒感が強まることだ」と指摘した上で、「株式市場で調整が起きるためには、金利とボラティリティの上昇が必要だ」との見方を示しています。

タイミングを見極める上で重要視しているのは米税制改革です。税制改革が景気を刺激することで、インフレ率と賃金が上昇し、金利とボラティリティが高まることを警戒しています。

メインシナリオとしては、まず税制改革が成立するのかどうか、次に成立した場合に賃金やインフレが上昇するのかどうか、そして最後に金利のボラティリティが高まるのかどうかが注目となりそうです。

モルガン・スタンレーは年末までに5%下落を予想

モルガン・スタンレー(MS)も17日に年末までに5%程度の調整があるとの見通しを公表しており、株高への警戒感を強めています。

MSはきっかけとなりうるリスクを5つ挙げています。

1. FRBのバランスシート縮小

2. 税制改革が公約通りに実現されないこと

3. FRB議長の交代が市場の混乱を招く可能性

4. ここ数年での最低レベルにあるドルの反転

5. 既に高水準にある景気先行指数のピークアウト

MSはFRBのバランスシート縮小をメインリスクに挙げています。バランスシートの縮小には先例がありませんので、「何が起こるか分からない」ことが投資家を慎重にさせていると指摘しています。

ただ、BAMLに比べると、調整は軽微と考えているほか、長期的な上昇トレンドも維持するとみています。MSは来年3月のS&P500指数を2700と予想しており、10月23日現在の2564を5.3%上回っています。