9月の米消費者物価指数(CPI)と9月の米小売売上高はどちらも強い数字となりましたが、いずれも事前予想には届きませんでした。金利見通しに大きな変化は見られず、12月の追加利上げ見通し維持されています。ただ、低インフレが一時的ではないとの見方もくすぶり続けており、利上げ観測の後退リスクには警戒が必要となりそうです。
9月CPIは大幅上昇もコア指数の伸びは低調
米労働省が10月13日に公表した9月の米CPIは前月比0.5%上昇しました。事前予想の0.6%は下回ったものの、上昇は3カ月連続となり、前年同月比は2.2%上昇と5カ月ぶりに2.0%を上回りました。
ただし、変動の激しいエネルギーと食品を除くコアCPIは前月比0.1%上昇と小幅な伸びにとどまりました。前年同月比でも1.7%上昇と4カ月連続で横ばいとなっており、基調的な物価の伸びは2.0%を下回ったままとなっています。
9月はハリケーンの影響でガソリン価格が前月比13.1%上昇したことが全体を押し上げており、ハリケーンの影響を除くとやや物足りない数字となりました。
金融政策の正常化を進める米連邦準備理事会(FRB)にとって、コア指数の緩慢な伸びが続いていることは引き続き悩みの種となりそうです。
9月のCPIでは家賃の伸びが弱まったほか、自動車や医療サービス、衣料、家庭用雑貨など幅広い領域で前月比マイナスとなっています。その一方で、携帯電話サービスは前月比0.4%上昇と15カ月ぶりに上昇しています。
FRBは最近の物価の鈍化を携帯電話の値下げキャンペーンなど一時的な要因としてきましたが、低インフレが長期化する恐れがあるとの認識が徐々に広まっているようです。
9月小売売上高は2年半ぶりの伸びも予想には届かず
米商務省が10月13日に公表した9月の米小売売上高は前月比1.6%増加し、2015年3月以来、2年半ぶりの高い伸びとなりました。
ハリケーン被害でガソリン価格が急騰したため、ガソリンスタンドの売り上げが前月比5.8%増と大きく伸びました。同じくハリケーン被害で買い替えが増えた自動車の売り上げが3.6%増となったほか、復興需要で建設資材も2.1%増となりました。
国内総生産(GDP)の算出に使用される飲食店、自動車、建設資材、ガソリンを除くコア売上高も0.4%増と前月の横ばいから回復しています。
ただ、今回の数字はハリケーンの影響により一時的に高まった可能性も否めず、8月が低調だったことや事前予想の1.7%増に届かなかったことを踏まえると、持続的に堅調さを維持できるかどうかはまだ不透明といえそうです。
12月の追加利上げ見通しに変化なしも予断は禁物
9月CPIと9月小売売上高の結果を受けて、12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げ確率に大きな変化はありませんでした。市場が織り込む利上げ確率は80%台をキープしており、利上げの目安とされるのは70%ですのでかなり確信に近づいているといえそうです。
ただし、9月のコアCPIの数字はFRBの目標を下回るインフレ率が一過性の要因ではなく、構造的な要因に伴うものである可能性があるとの見方を裏付ける格好となりました。また、10月以降の個人消費の動きも楽観視できない状況ですので、利上げ見通しが後退するリスクには注意したいところです。
