米コアPCE物価指数が予想外の低下、利上げ観測は維持

8月の米コアPCE物価指数は予想外の低下となりましたが、米利上げ観測は維持された模様です。

PCE物価指数は1.4%で横ばい、コア指数は低下

米商務省が9月29日に公表した8月の個人消費支出(PCE)統計によると、PCE物価指数は前年同月比1.4%上昇と伸び率は前月から横ばいとなりました。事前予想では1.5%への上昇が見込まれていました。

米連邦準備理事会(FRB)は政策金利の判断でPCE物価指数を重要視しています。同指数は今年2月の2.2%を直近のピークに鈍化傾向となり、6月以降は3カ月連続で1.4%にとどまっています。

また、変動の激しいエネルギーと食品を除く8月のコアPCE物価指数は1.3%上昇と2カ月連続での低下となりました。事前予想は1.4%と前月から横ばいが見込まれていました。

FRBは物価目標を2.0%としていますが、コアPCE物価指数が最後に2.0%を超えたのは2012年4月と約5年半前になります。それ以降、基調的な物価の伸びは目標を下回り続けています。

この間、FRBは2015年12月、2016年12月、2017年3月と6月の計4回の利上げを実施し、10月からはバランスシート(保有資産残高)の縮小を開始しています。

FRBは、失業率が長期的な目標を下回っていることを踏まえ、物価も目標に向かって反転するとの見方を崩していません。イエレンFRB議長も26日の公演で「物価の停滞は一時的で、数年で2%に達する」と述べています。

とはいえ、実際のところ物価は目標からどんどんと遠ざかっているのも事実です。9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)ではイエレン議長が「インフレの鈍化は“謎”」と述べており、インフレの鈍化が一時的ではない可能性にも含みを持たせています。

9月FOMCでの金利見通しでは、大方のメンバーが年内の追加利上げを予想したことから、市場でも利上げは規定路線と考えられています。CMEのフェッドウォッチによると、12月FOMCでの利上げ確率は、PCE発表後で71%と発表前の76%からやや低下したものの、利上げ目処となる70%はキープしていますので、利上げ観測は維持された模様です。

実質個人消費が8カ月ぶりに減少、ハリケーンの影響で

8月のPCEは前月比0.1%増と前月の0.3%増から伸びが鈍化しました。耐久財が1.1%減とハリケーンの影響で新車販売が落ち込んだことが響いています。また、インフレ調整後のPCEは前月比0.1%減と8カ月ぶりにマイナスとなりました。

8月は個人所得も前月比0.2%増と低調で7月の0.3%増から伸びが鈍化しています。ハリケーンによる操業停止などの影響があった模様です。また、インフレ調整後の実質可処分所得は0.1%減と、今年初めてマイナスとなっています。

8月下旬にテキサス州を直撃した“ハービー”のほか、9月上旬には“イルマ”がフロリダ州を直撃しています。2つのハリケーンの影響で7-9月期のGDPは0.6%ポイント押し下げられるとの試算も出ており、GDP成長率は4-6月期の3.1%から2%台前半へと低下する見通しです。

ハリケーンの影響で統計に歪みが生じており、個人消費はトレンドをつかみにくくなっています。10-12月期には復興による反動増が予想されていることもあり、深刻な影響は想定されていませんが、8月の数字はインフレの鈍化や低調な個人消費を示唆していますので、警戒感をもって今後の推移を見守る必要があるのかもしれません。