米7-9月期GDP成長率、予想外に好調も内需が弱く持続性に不安

7-9月期の米GDP成長率は、ハリケーンの影響で鈍化するとの予想を覆し、高い伸びを記録しました。ただし、内容を見ると内需が弱いことから手放しでは喜べないようです。

在庫や外需が全体を押し上げ、内需は低調

7-9月期の米国内総生産(GDP)は前期比年率+3.0%と4-6月期の+3.1%に続き、2四半期連続で3%超えの高成長となりました。8月下旬と9月上旬に襲来した2つの大型ハリケーンの影響で、成長が下振れるのではないかと懸念されていましたが、結果は予想の+2.5%を大きく上回りました。

ハリケーンの被害により、自動車の買い替えが進んだほか、家具や家電などの耐久消費財が好調となり、ハリケーンによって消費はむしろ押し上げられたもようです。

全体としては申し分ない数字ですが、項目別に見ると手放しで喜んでばかりもいられないようです。

まず、柱となる個人消費ですが、健闘したとはいえ、7-9月期の伸びは+2.4%にとどまっており、前期の+3.3%から大きく低下しています。通常は、個人消費の伸びが全体の伸びを上回り、成長のけん引役を果たしていることから、個人消費の低い伸びには一抹の不安が残ります。

たとえば、2016年はGDP成長率が+1.5%だったのに対し個人消費の伸びは+2.7%、同様に2015年は+2.9%に対して+3.6%となっています。これが、7-9月期は+3.0%に対して+2.4%と全体を下回ってしまいました。

では、何が成長を押し上げたのかを見ると、在庫でした。+3.0%のうち0.73ポイントが在庫の増加によるものです。在庫は将来の売上増加を見込んで積み増す場合もあれば、売れ残りの場合もあり、いずれにしても“増えた”場合にはGDPを押し上げます。したがって、今後の売れ行き次第では在庫調整を余儀なくされる恐れもありますので、在庫増のよる高成長はリスクと裏腹であるといえます。

また、外需も成長を押し上げています。米国は貿易赤字国ですが、赤字が減ると統計上は成長の押し上げ要因となります。7-9月期は輸出が増えて、輸入が減ったことから貿易収支が改善し、GDP成長率を0.41ポイント押し上げました。輸入の減少は6四半期ぶりのことで、国内での需要の弱さが指摘されています。

国内での需要、すなわち内需の指標として国内最終需要があり、GDPから在庫と外需を差し引いて求められます。7-9月期の内需は+1.8%にとどまり、前期の+2.7%から大きく低下しています。GDPが+1.5%だった2016年でも+2.1%、2015年と2014年はそれぞれ+3.3%、+2.7%だったことを踏まえると、7-9月期の数字が物足りないことは一目瞭然です。

7-9月期の米GDP成長率は全体としては高い伸びとなりましたが、在庫と外需が主導しており、内需に不安を残しました。在庫統計は振れが大きいことから、1四半期のみで判断するのは早計ではありますが、在庫の増加と輸入の減少はともに内需が弱まっている可能性を示唆しています。ハリケーン特需で自動車などが想定外に好調だったことも踏まえると、今後の内需の見通しには警戒感を強めたほうがよさそうです。

所得の低い伸び、貯蓄率低下にも不安

GDPの構成項目以外にも不安材料が散見されます。

まず、警戒されるのが物価の低い伸びです。7-9月期の個人消費支出(PCE)物価指数は前年同期比+1.5%、食品とエネルギーを除くコア指数は+1.3%でした。4-6月期と比べてやや減速しており、物価の低い伸びは需要の弱さを裏付けている可能性があります。

また、実質可処分所得は前期比年率+0.6%とわずかな伸びとなっていますので、堅調な個人消費は貯蓄の取り崩しで賄われていることになります。

7-9月期の貯蓄率は3.4%と前期から0.4ポイント低下し、2007年10-12月期以来と低水準となりました。ちなみに2007年10-12期は前回の景気のピークに相当しており、足もとの貯蓄率は前回の景気のピーク以来の低水準となっています。

貯蓄の取り崩しによる消費の拡大はいつまでも続けられませんので、所得の伸びが拡大しないことには消費の拡大も期待できないでしょう。また、貯蓄率の低下はローン遅延率の上昇につながる恐れもあります。