1月の米雇用統計では引き続き堅調な雇用の拡大が見込まれています。ただし、改善余地が乏しくなっており、その徴候が見られるのかどうかにも注目です。また、景気に過熱感がうかがえることから、賃金の上昇が確認された場合には利上げペースの加速が織り込まれることになりそうです。
雇用者数は+18万人と予想、力強い伸びを継続
12月の米雇用統計の結果は、雇用数が前月比+14.8万人、失業率は4.1%、賃金の伸びは前年比+2.5%でした。1月分の事前予想は雇用者数が+18.0万人、失業率は4.1%、賃金の伸びは+2.7%となっています。
雇用者数は2014年をピークの増勢が鈍化しており、月平均で見ると、2014年が+25.0万人、2015年が+22.6万人、2016年+18.6万人、そして2017年が+17.1万人となっています。
人口の増加を吸収するのに必要な雇用者数の増加は7.5万人から10.0万人程度と推計されていますので、現在はこのレベルへと収れんする過渡期にあるといえるでしょう。
事前予想通り、雇用の伸びが10万人を大きく上回るようですと、米GDP成長率も潜在成長率とされている+2.0%弱を上回る伸びが期待できる一方で、インフレリスクが強まることになりそうです。
一方、10万人程度まで増勢が鈍化した場合、米成長率は2.0%弱に落ち着くことが見込まれます。2018年の米成長率はIMFが+2.7%、民間のエコノミストらは+2.9%を見込んでいますので、10万人程度の増加では大きな失望を招く恐れがあります。
尚、今回の発表ではベンチマークの変更に伴う年次改訂が実施され、季節調整前のデータは2016年4月以降、季節調整後では2013年1月以降のデータが改訂されます。
求人数が2カ月低下、ピークアウトの可能性も
11月の雇用動態調査(JOLTS)によると、非農業部門の求人数は前月から4.6万件減の587.9万件と2カ月連続での減少となりました。11月は採用も10.4万件減の548.8万件とさえない数字となっています。
求人数は昨年9月に、2000年12月の統計開始以来の最高値(617.7万件)を記録しましたが、その後は伸び悩んでいます。求人、採用ともにピークアウトした可能性があり、今後の動きが注目されています。
こうした中、1月の雇用統計ではフルタイムの雇用者数に注目です。12月の雇用統計ではフルタイムの雇用者数が減少した一方で、パートタイムの雇用者数が増加しており、雇用の増加はパートタイマーに依存していたことが確認されています。
雇用の拡大も限界に近づいている可能性がありますので、フルタイムの雇用者数の動きは雇用改善余地のバロメータとして関心が集まるかもしれません。また、フルタイムの雇用者数のピークは景気のピークに一致することが多いのでの、この点でも注目されそうです。
景気に過熱感、賃金上昇なら利上げペース加速へ
10-12月期の米GDP成長率は前期比年率+2.6%と前期の+3.2%から減速しましたが、国内最終需要を見ると+4.6%と絶好調となっており、景気に過熱感がうかがえます。
10-12月期のPCE物価指数は前期比年率で+2.8%と前期の+1.5%から大幅に伸び、瞬間風速ではFRBが目標とする2.0%を大きく上回りました。また、基調的な物価の動きを示すエネルギーと食品を除いたコアPCEも+1.9%と前期の+1.3%から伸びが加速しています。
また、10-12月期の雇用コスト指数も前期比0.6%上昇、前年同期比では2.6%上昇し、2015年1-3月期以来の大きな伸びとなり、労働市場のひっ迫が賃金の上昇につながっている可能性を示唆しています。
同様に、10-12月期の単位労働コストは前期比年率+2.0%と7-9月期の-0.1%からプラスサイドに大きく転じており、賃金の伸びが高まっている様子がうかがえます。
こうした物価関連の経済指標の改善もあって、1月FOMCの声明文では近い将来に2%の物価目標を達成できるとの自信を匂わせています。
1月の雇用統計では賃金上昇への期待が高まる一方で、賃金の上昇が確認できた場合にはFRBによる利上げペースの加速が一段と織り込まれることになり、金利上昇への警戒感も強まることになりそうです。
