OPECが減産延長を決定も原油価格は反応薄、米増産を意識か

OPEC総会で減産の延長が決定されましたが、市場の反応はいまいちで原油価格はほぼ変わらずとなっています。予想通りの結果ということもありますが、米シェールオイルの増産やOPECの生産余力拡大が意識されているようです。

OPEC総会で減産を9カ月間延長

30日に開かれたOPEC総会で主要産油国による減産の延長が決定されました。2018年3月までとされていた現行の日量約180万バレルの減産を12月まで9カ月間延長することで合意しています。

また、これまでは適用が除外されていたナイジェリアとリビアについて、両国の合計の産油量の最近の水準に近い日量280万バレルとすることも合わせて決定したもようです。両国では昨年、国内の政情不安で生産が落ち込んでいましたが、最近では以前の生産量に近づいていたことから、総会を前にイランから上限を設けるべきとの声が出ていました。

このほか、減産の延期に消極的と伝えられていたロシアへの配慮から、減産の延期は6月に見直される可能性があることを明言しています。次回の総会は6月に予定されていますので、その場で“見直し”に関する議論がありそうです。

市場は反応薄、米シェール増産とOPECの生産余力拡大を意識か

減産の延期が決定されましたが、市場はほとんど反応を示さず、原油価格は決定前とほぼ変わらずとなっています。

減産延期が確実視されていたことや決定された内容が想定内だったこともありますが、米シェールオイルの増産やOPECの生産能力拡大も意識された模様です。

IEAは減産が延期されなかった場合、2018年は日量130万バレルの供給過剰になると予想していたことからも伺えるように、減産延期が見送られた場合には、需給が崩れ、価格が値崩れを招く恐れがありました。したがって、減産を延期しないという選択肢は事実上存在せず、減産が確実視されていたわけです。

一方、11月24日現在の米原油生産量は日量968万バレルと昨年末と比べ91万バレル増加、昨年10月からは123万バレル増加しており、近い将来1000万バレルに到達することはほぼ確実な情勢となっています。

米増産を支えているのが原油価格の上昇であり、米背シェールオイルの採算ラインは50ドル程度と推定されています。米原油生産の先行指標とされるリグ稼動数も、原油価格が50ドル割れとなったことから一時減少していましたが、最近では価格の持ち直し合わせて再び増加に転じていることも米シェールオイルの増産観測につながっています。

また、OPECの生産余力が高まっていることも価格を抑制している可能性があります。IEAによると、2017年のOPECの生産余力は日量210万バレルで2016年の114万バレルから増加しており、減産延長により生産余力はさらに拡大する見通しです。大まかな関係としては生産余力が大きいと原油価格には弱材料、逆に小さいと強材料となります。

6月の“見直し”に注目、過剰在庫や米増産ベースの見極めへ

来年6月に見直し条項を入れた背景には長期的な目標の達成とシェア争いに対する危機感の2つが交錯しているようです。

OPECは長期的な目標として在庫が過去5年平均と一致することを挙げています。OPECによると、OECDの過剰在庫(5年平均からのかい離)は今年5月の2億8000万バレルから10月には1億4000万バレルに半減しています。在庫が増えさえしなければ時間の経過とともに5年平均に近づくことになりますので、足もとでは在庫が改善していることも踏まえると、来年6月までに過去5年平均に近づいてもおかしくはありません。

また、過剰在庫の解消が進むにしたがって原油価格が上昇した場合、米シェールオイルの生産が加速し、マーケットのシェアを奪われる恐れがあります。

OPECは米シェールオイルの増産を加速させない水準として60ドルを意識しており、価格が60ドル以上で推移した場合、米シェール企業が増産を加速させるのではないかと警戒しています。

米シェールオイルの採算ラインは技術進歩により30ドル程度にまで低下するとの見方もありますので、米シェールオイルの増産ペース次第ではOPECの目標価格も下振れる可能性もあります。

いずれにしても、来年6月まで原油価格が50ドル以上を維持した場合には、シェールオイルとのシェア争いも減産見直しの大きな動機となりそうです。